昨年末に、斯界の畏友たちから忘年会を兼ねて「 REA NET ] の現状を見てみないかと誘われました。地価公示を離れてからは、《地価公示評価員にのみ接続が限定される》 REA NET に接することは無く、その利用の現状を知ることはありませんでした。 REA NET は2013.07.01より全国の日鑑連会員に展開されるようになりましたが、登録した不動産鑑定業者会員等に接続が限定され、主に取引事例の閲覧システム《REA-JIREI》として利用されています。
日鑑連イントラネットであるREA NET は、REA-JIREI《有料の事例閲覧システム》以外にもREA-INFO《情報交換、電子会議機能等》、REA-DATA《データファイル配信機能》、REA-MAP《地理情報システム》などの機能が用意されていますが、他の機能は利用されていなかった。
ところが、2015地価公示評価業務からはREA MAPの利用が開始されたから、その更新された機能などを見てみないかというのです。
REA MAPは、日鑑連情報委員会・地理情報活用検討チーム(NSDI-PT)が構築して、2010年度より全国14の都府県士協会にて試験施行が行われてきた機能です。地理院地図及びYahoo Map(変更可能)を背景地図として使用し、地価公示等公的評価地点並びに取引事例を電子地図上に展開するシステムである。REA MAPはREA JIREIともリンクしており、表示される取引事例地点等の詳細をREA JIREIを通して閲覧できるものである。 公示、調査データについては国土数値情報を用いるものであり、その他の評価データ並びに事例データは参加を申し出た士協会が提供するデータを、当該士協会会員に限定して閲覧に供していた。
《注》NSDI:National Spatial Data Infrastructure(国土空間基盤データ)
2011年度にはRea Mapの機能を向上させるものとして、事例資料等地理情報(緯度経度等)取得システムとしてのMap Clientの構築に着手し、2011.09よりRea Netにおいてβ版の全国開示を開始していた。 Clientの意味はネット上の地図(Yahooもしくは地理院地図)を背景図として使うが、データはクライアントマシン上におきオフライン作業を行うというものである。
さらに、以上の工程で取得した事例地地理データや標準地地理データを読み込んで地図に表示するモジュールとしてMap ClientⅡを開発し、2011.10より全国開示していた。Map ClientⅡでは、標準地のメモ価格を表示して、価格の均衡を検討するほかに、事例地の位置修正も可能である。 Map Clientを開示したものの、一部エリアでの試行並びに限られた会員の利用に止まっており、地理情報(緯度経度情報)活用が全体の流れとはなっていなかった。
ところが2015地価公示評価業務より、REA MAPはMAP CLIENTと機能を統合して、地価公示事例カードの位置図並びに地形図作成業務に利用され、同時にそれらのデータ閲覧にも利用されるようになったということである。 これらの機能更新に際して日鑑連はZENRIN地図利用ライセンスを取得して、位置図・地形図作成をより簡便なものとしたというのである。
拝見した新REA MAPの機能は納得できるものであった。ジオコーデイングデータに基づいて、地図上に表示される確定三次データについて詳細位置の修正を行い、次いで表示されるZENRIN詳細地図データの上に地形を描けば、公示納品成果物としての位置図と地形図が速やかに完成するのである。細部にはブラッシュアップされることが望ましい部分も残るが、2011年当時にNSDI-PTが目標とした到達点の70%程度は達したといってよいであろう。
REA-MAPの機能というよりはその利用方法として改善が望ましいことは、三次データ《照会調査回収結果》を調査確定してゆく都度、地理情報的位置を確定し、事例地地形を確定してゆければ利用効率は格段に向上するであろうと考えられる。 さらには三次データの地理上の分布状況の確認とその選択の利便性向上が図られることが期待される。
同時に原始データ《発生取引情報データ》について、ジオコーデイング結果を地図上に表示することや、多面的なその閲覧利用の開始が近い時期に始まることが望まれる。 三次データの調査業務においては、施設距離を主とする属性データの自動取得や、事例地写真《位置情報添付》の取得と開示閲覧機能を充実させることなどが、今後の改善点として期待できる。
個々の取引情報データには、取引価格の有無をはじめとして様々な属性データが付属するのである。 それら属性データは個々の取引情報を明らかにするものであるが、同時に事例群全体像を示すものも存在する。ある種のマスデータ解析結果ともいえるものである。そのためには原始データの不動産鑑定評価 利用が不可欠なのである。それは不動産鑑定評価 の恊働作業としての意味と役割を示すものでもある。
特に取引情報マスデータの解析結果の社会への開示は、不動産鑑定士と社会の接点をより深くより太くするものであろうと考える。 「鑑定士残日録−2−DI調査」でも触れたことであるが、社会への積極的な情報開示こそが社会から情報を得る近道なのであり、社会における不動産鑑定士のプレゼンスを高めてゆく王道であろうと考えるのである。
《追記》この記事は、垣間見たREA-NETについて、業界を離れて久しい茫猿が綴るものである。だから「鑑定士残日録−1」に記したように的外れや見当違いの箇所もあろうかと思われる。そのような際には平に御寛恕を願うものである。
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