安倍晋三首相は27日、首相官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部で、私立を含め全国全ての小中学校、高校、特別支援学校に、3月2日から春休みに入るまで臨時休校とするよう呼び掛けた。
もうこれはパンデミックであろう。それともパンデミックを後押ししようとするのか、自覚させようとする発言なのか。何がかと云えば、総理大臣が慌てふためいて思い付きを公表したようにも見える。日頃、なにかと云えば「やってるフリ、テレビ画像向けのしてるフリの安倍総理」と揶揄されることの多い安倍総理である。
《新型コロナウイルス感染症とは日本感染症学会のサイトから・概略引用》
コロナウイルスは、いわゆる風邪の原因となるウイルスの 1 つ。細菌、ウイルスなどの病原体は、外来遺伝子の獲得や突然変異により常に強毒化する可能性が考えられます。今回の新型コロナウイルスは、遺伝学的に SARS-CoV に近縁であることが報告されている。
唐突に全国学校全面閉鎖を呼びかけるなど、意図は理解できるものの余りに突然で混乱を誘発するだけ、デマ蔓延を後押しするだけのようにも見える。なにせ、森友・加計問題に始まり東京高検・検事長の定年延長問題、桜を観る会問題など、国民の信頼を欠く方のご発言なのである。
学校を長期間、つまり3/2から4/6まで閉鎖すれば何が起きるか、予測も準備対策も無い思い付き発言に思える。総理の発言の重さも影響も念頭には無いのだろう。
長期間全国一斉に学校を閉鎖すれば、誰が考えても及ぼす影響は大きい。一番の懸念は母子父子家庭はどうせよと言うのだろうか。両親が揃っていても非正規雇用共稼ぎ家庭などに及ぼす影響は小さく無い。安倍総理お決まりの低所得家庭に配慮の無い「民のカマドの煙など見ようとしない」愚かな為政姿勢に思える。
夏休みと同じように、”春休みを長くするだけだ”には止まらないだろう。長年の慣行も実績も準備もある夏休みだが、唐突な長期春休みは何の準備も無いのである。他にも、入試や進級進学をどうするのか。せめて数日のあいだ衆知を集めて練り上げた発言や施策では無かろう。
「緊急事態ですから」と愚かな側近に入れ知恵された不用意な発言に思えてならない。何よりも長期間休校などは、内閣や総理が指導するものではあるまい。各地の教育委員会が地域の実情に鑑みて熟慮の上で実行するものであろうし、学校は開いておくが登校するか休むかは各家庭の保護者の自主的判断であるべきではなかろうか。学校や教育委員会はそれぞれの保護者の判断を最大限尊重する準備と施策を用意するべきと考える。
自主登校、自主不登校であれば、通学し自習し給食も取れるし、家に止まり自習するも有りと云うことである(その場合でも集団登校をどうするか等、様々な障害は見えてくる)。一億総員右に倣えと云う場合ではなかろう。それとも、それ程に日本人は劣化してしまったのか。
何につけ、全国一斉など「愚かな右に倣え」行為であろう。国民の判断を尊重し自主性を育てる施策が今は望ましく好ましいものと考える。地方自治尊重も行政各部署の司つかさの判断尊重も見えてこないのが残念である。
四月中に新型コロナウイルス感染症を終息させて、2020東京五輪を円滑に開催したいと云う下心が透けて見えると言えば「穿ち過ぎ」であろうか。かねてよりの安倍総理の発言や行動に照らせば、決して穿ち過ぎに思えないのが、(観光客が激減し株価が大幅下落する今における)茫猿の心境である。
兎にも角にも、安倍政権の延命も評判も二の次三の次なのである。先ずは国民の健康と安全で安定した暮らし維持が最優先であろうし、感染症対策は重要な安全保障政策の一つであろう。同時に児童が安全に教育を受ける権利も忘れてはならないことである。
憲法第26条はこう規定する。すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
感染症対策が喫緊の最重要事なのは言うまでもないが、総理の十分な準備を経ていない不用意な発言が、児童の教育を受ける権利を侵害するようなことがあってはならないので有る。習近平訪日も五輪開催も国民の暮らし維持に比べれば次の次なのである。
《追記》
この記事を公開したその夜のこと、ロッキングチェアで見るともなくうたた寝していた時、つけ流していたテレビから「SWITCHインタビュー 達人達(たち)『鈴木おさむ×中邑賢龍』」の深夜再放送が流れていた。始まってから1/3がすでに終わっていたが2/3には引き込まれた。
教育とは何なのか、教室でカリキュラムを追いかけるだけが教育なのか、実はカリキュラムに追いかけられてはいないか。こんなエピソードが紹介された。不登校など応募してきた”いわゆる問題児”を集めて、二つの児童グループが稚内と枕崎という南端と北端へ各駅停車の列車を使い6日間をかけて旅をする中邑賢龍が主宰するプロジェクトがあった。
様々な出会いや偶然を経験する旅を終えた彼らの感想は「遠かった」であり「二度と行きたくない」だった。飛行機を使えば今や数時間も経たないで到達する最果ての地である。しかし、6日間かけて行ったからこそ、遠さを身体で実感できたのだと中邑は言い鈴木は大きく頷く。
教室で地図と時刻表で遠さを識ることは知識ではあるが、それは意識(理)であるが感覚・実感(情)ではない。この実感を得るということも大事な教育である。
鈴木おさむ….放送作家・脚本家・作詞家・パーソナリティ・タレント、映画監督
中邑賢龍….教育実践家、東京大学先端科学技術研究センター教授
正しくは番組を見て頂くしかないけれど、二人の対談を通じて流れていたテーマは、「偶然を楽しむ学び」、「人と違うことを互いに認め合う」、「カリキュラムが全てではない」、「人を変えるのではなく、環境を変える」などと見て取った。
・NHK番組紹介サイトの記述を引用する
前半、鈴木の人気小説「芸人交換日記」に基づく朗読劇を観た中邑。その後の対談で、エンターテイントな企画を次々とヒットさせてきた鈴木の才能の源に迫る。後半は鈴木が東大を訪問。発達障害などがあり「周りと違う」として学校になじめない子どもたちにさまざまな学びの場を提供する「異才発掘プロジェクト」について中邑に聞く。型にはまらない教育の「面白さ」を語り合ううちに2人の人生観に共通のキーワードが浮かびあがる。
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