散々迷った挙句にジオラマ大改修に着手するのである。前号記事で「全国登山鉄道‰(パーミル)会」について記した。ジオラマ制作の基本はU型もしくはL型の基盤製作とも記した。記した後で、どうにも現状に我慢ができなくなったのである。
老い先短い茫猿である。長らえたとしても、体力気力が有るうちでなければ、L大型基盤の制作など覚束ないことであろう。今しかない、今基盤を制作し、今後の余生を費やして少しづつジオラマにしてゆけば良い。じっくり”ジックリ”作り込んでゆけば良い。人生最後のジオラマだから心残り無くと思い立ったのである。
2020/03/18 の改装なった「2020茫猿鉄道ジオラマ」の情景である。線路資材の調達が間に合わなかったので、HOゲージ外回り線の一部や引き込み線車止めは未設置のママである。
トンネルと遠吠岳を配置してみた。山の位置が遠近法からして不具合であるが、従来とは視点位置が変わったのでやむを得ない。いずれ改良すべき事項である。
現在のジオラマが設置されている六畳間は二方に90cm幅の廊下が有り、廊下の出会うところに90cm四方の押入れがある。此の押入れを撤去すれば角柱は残るものの、それなりのL型基盤が作れるのである。《使うか使わないか判らないが、孫たち滞在用の二段ベッドがある1畳強分だけはジオラマに使えない。よって使用可能なのは8畳強である。》
廊下の建具を取り払い、次ぎは押入れの撤去である。扉を外し、仕切り壁を取り去り、新しい框(カマチ)を入れる。漆喰壁の壊れを補強し全塗装する。前日の夜なべ仕事に概略の設計図を作製し、明くる朝一番に資材の購入をし、押入れの撤去工事に取り掛かる。土壁を竹小舞ごと切り取るのである。
そして、現在のジオラマを移動してL型基盤の一方の角とする。ここまでの作業に疲れて、ロッキングチェアに揺られながら「エディット・ピアフのラビアンローズ」を聞いていると、このまま眠り、目が覚めなかったならば、此の上もない幸せな人生なんだと、ふと思う。誰に憚かることなく住み屋を改造し、思うがままにジオラマを作って永い眠りにつくなんて、十二分に納得できるのだ。
03/14に思い立ち、設計を行い。翌15日に壁を取り払うなど部屋を改造し、16日には基盤を組み立て基盤面にターフ(ジオラマ用の人工芝)を貼り付けた。明日は養生をして乾けば、手持ち資材で線路を敷設する。以後は当初予定どおりジックリ構えるのである。
制作したジオラマ基盤の大きさは壁沿いに幅40cmの管理通路を設けて、縦275cm、横265cm、幅は150cmである。《基盤設置スペースは360cm╳360cm》待避線付きフォームはNゲージの外回り線だけとなったが、NゲージHOゲージともに短いながら3線の引き込み線ヤードを設置している。大きく円形に迂回するNゲージ外回り線の内側に広がる空間をどう利用するかは今後の課題である。
翌17日早朝に取り敢えずの試運転をしてみたところ、HO複線もN複線もどちらの線路もギクシャクギクシャクと停止と走行を繰り返すのである。つまりは、工事中の埃が一番の原因と思われる。寒冷紗による養生覆いはしていたが、埃は容赦しなかったようである。また、新しく追加した手持ち資材線路が線路磨きをせずに利用したせいでもあるようだ。次ぎは線路清掃が一仕事である。
《追記》雨降れば雨を口実に、風強ければ風を口実に、晴れても前日の雨で畑は泥濘んでいるを口実に、孫の写真がiPotoに上がれば来岐するかもを口実に、降っても照ってもジオラマ制作に没頭する。無心になって作るのが好きなんだ。接続ミスを直し勾配を修正し、新しいレイアウトが思い浮かべば独り笑む。
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