士協会NW構築の2

※本小考の全文印刷は、下記に用意しますPDFファイルをご利用下さい。
http://www.morishima.com/cgi-bin/k_data/pdf/bin/bin050422130734004.pdf


二、士協会ネットワークシステムの必要性
 士協会ネットワーク(以下士協会NWと略称)がなぜ必要か云うと、専門職
業家団体である士協会においては個人情報の取扱に安全性が十全に担保される
措置が必要だからであり、士協会及び会員のコンプライアンス向上と充実が求
められているからである。
 別の観点から云えることは、取引情報に係わる一次~四次データの受け皿と
して、士協会サーバにデータを保管して随時利用できる環境を用意することは、
鑑定評価上重要且つ有用である。一般に取引価格が含まれるデータのみを有用
な取引事例データとして尊重しがちであるが、価格の含まれない取引データも
鑑定評価上とても有用である。
 狭義的には近隣地域や周辺地域における取引の発生状況を確認する上で、一
次データはとても重要である。即ち、標準地や基準地や評価対象地の周囲で取
引が発生したか否かを知ることは近隣地域分析や事例追跡調査に欠かせない事
項である。
 広義的には、エリアにおける取引の発生件数及びその推移、取引物件の属性
分析、当事者の属性分析等は、一般的要因や地域要因の分析に欠かせない事項
である。
この士協会NWシステムの概要図(ソラン提案)は、下記URLから参照できる。
http://www.morishima.com/cgi-bin/k_data/pdf/bin/bin050418151013004.pdf
『地価公示業務等の現況』
 地価公示等業務において取引事例の収集、交換、配布、その他個人データの
移送等を行うに際して、多くの士協会や分科会ではFD、MO、メール添付ファ
イル等が利用されています。また紙による移送・交換も多く行われています。
さらに各都道府県士協会窓口において閲覧に供されている事例資料の多くは紙
情報です。
『FD等携帯可能メデイアの使用停止』
 法並びに個人情報保護ガイドライン等は、このような携帯可能なメデイアや
紙媒体による個人データの移送、交換、配布、保管は好ましくないものとして
います。特にFDの利用や個人データのコピー配布は禁止する事業者が多くなっ
ているのが社会の趨勢です。
『トレーサビリテイの充足』
地価公示業務等におけるFD利用は直ちに違法とみなされるものではありま
せんが、コンプライアンスが疑われるモノとは云えます。同時に本人よりの開
示請求が発生した場合には速やかに個人データの所在が確認できなければなり
ません。その為には個人データの複写・移送・交換・配布の各過程が全て管理
・記録されている必要があります。
誰が何をコピーしたか、誰に何時、何を渡したかが管理されておらず追跡で
きない状態では、安全管理措置を十全に講じたとは云えない状態にあります。
 誰が何をコピーしたか、誰に何時、何を渡したかが管理されておらず追跡で
きない状態では、安全管理措置を十全に講じたとは云えない状態にあります。
 即ち、個人データ管理に関して、FD等の利用を停止しトレーサビリテイを
充足するには、士協会NW構築が最も近道であり、安全な対策なのです。そし
て利便性も高いと云えます。その観点からして取引事例をコンピュータ管理し、
そのLog【術語注.3】を保存することが安全管理措置として重要であり、だか
らこそ安全で、廉価で、利便性の高い士協会NW構築が求められているのです。
(注)ガイドラインが示す安全管理措置
 国交省並びに鑑定協会のガイドラインは、安全管理措置について詳細な説明
はなされていない。しかし、経済産業省のガイドラインは四つの安全管理措置
について詳細な説明を加えている。
 例えば、国交省ガイドライン第九条(安全管理措置)では、その5技術的安全
管理措置第六で、「個人データの移送・通信時の対策」と記述するだけです。
鑑定協会ガイドラインも同様の記述がされるだけである。
 ところが、経済産業省ガイドラインでは、技術的安全管理措置 (6)個人デー
タの移送・送信時の対策のなかで【各項目について講じることが望まれる事項】
という項があり、 (6)個人データの移送(運搬、郵送、宅配便等)・送信時の
対策の上で望まれる事項として、『移送時における紛失・盗難が生じた際の対
策(例えば、媒体に保管されている個人データの暗号化)』、『盗聴される可
能性のあるネットワーク(例えば、インターネットや無線LAN等)で個人デー
タを送信(例えば、本人及び従業者による入力やアクセス、メールに添付して
ファイルを送信する等を含むデータの転送等)する際の、個人データの暗号化 』
と、記述しています。
 多くの業界に関して云えば、個人データの移送に際して、FD、CD等の携
帯可能メデイア及びノートパソコンを安易に利用することは論外とする考え方
が一般的になっています。
特に個人データへのアクセス権限管理やアクセス記録の管理が問われる状況か
らすれば、それらの管理が不可能なメデイアの利用は論外なのです。
 他にも、保有個人データの開示・訂正等・利用停止等を求められた場合には、
政令で定める方法により速やかに対応しなければなりませんが、その為には的
確な個人データ管理が求められます。
※経済産業省
「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」(PDF)
2004年10月22日経済産業省告示第4号
http://www.meti.go.jp/feedback/downloadfiles/i41013fj.pdf
三、士協会ネットワークシステムの構成
 士協会NWは、全く新しいシステムを構築するモノではありません。中央管
理サーバに準拠した安全で、廉価で、かつ利便性の高いシステムを構築しよう
とするものです。
「安全性」
中央管理サーバシステムと同じSSL-VPNシステム【術語注.1】を採用して、通
信データを暗号化することにより安全性を確保するものである。中央システム
が採用するUSBトークン【術語注.2】を併用し、中央サーバと同様に士協会
サーバを一括ホステイング【術語注.4】することにより、同等の安全性と管理
状況を実現する。
士協会サーバについて一括ホステイングを行うことは、サーバ管理に伴う物
理的、技術的安全管理措置対策が軽減されるものであり、士協会負担を軽減さ
せる。
「廉価性」
・中央システムが採用するUSBトークンを共用するものであり、
 新規にシステム構築を行わないことから、システム構成費用が軽減される。
・事例管理ソフトは中央管理ソフトと共通のソフトを採用し、
 新規開発は行わない。
・中央管理ソフトは当初からPDFファイルの管理機能を有することから、
 士協会においても公示等事例カードの二枚目(位置図・地形図)を
 PDFファイル化して管理することが容易である。
 (事例カード二枚目のイメージデータ化)
・全都道府県士協会サーバを一括共同ホステイングすることにより、
 管理費用を軽減する。
・バックアップについても、中央システムに準拠併用する。
・パッケージソフトについてはASP型ソフト【術語注.5】を採用して、
 ライセンス費用を低額にする。
・ASP型ソフトの採用は、管理費用も軽減するものである。
(注)取引事例管理ソフトに関して
 事例管理ソフトは中央システムが採用するソフトをライセンス使用するもの
であり、一部のカスタマイズを除けば変更は加えない。同ソフトを利用して一
次~三次データの管理を行うと同時に、四次データ(地価公示等事例カード)
の作成も可能である。
また、異動通知データを入力して従来方式のアンケート調査票の発送を行うこ
とも可能である。
 公示等事例カードの作成は、中央システム、士協会システムでも可能である
が、従来通り評価員の公示評価ソフト上で作成後に士協会サーバに送付するこ
とも可能である。
 ユーザーインターフェース(検索・入力画面)については、中央システムが
「代表幹事用、幹事用、評価員用」と別れるのと同様に「士協会会長用(代表
幹事用)、公示評価員用、一般会員用、事務局閲覧用」に区分されるものであ
り、そのアクセス権限は会員に配布される「ID」により管理される。
「利便性について」
 士協会NWシステムは、単に取引事例を管理することのみを目的とするモノ
ではない。士協会の自主性、独立性、自治を基礎とする様々な運用が可能であ
ると同時に、迅速な意志決定のもとで多面的な展開が可能である。
 例えば、ASP型グループウエアWeb Box【術語注.6】の導入は、Web Boxが用
意する「ワークフロー、掲示板、電子フォーラム、スケジュール管理、電子ファ
イリング」等の機能を利用することにより、士協会運営や公示分科会運営が機
能的かつ機動的に行える環境が用意される。
 或いは、サーバ上に共有フォルダーを利用目的やグループ毎に用意すれば、
様々なデータ管理やファイル管理が容易になる。例えば、全会員共有フォルダー、
分科会共有フォルダー、役員会共有フォルダー、委員会共有フォルダー等の設
置が考えられる。
 同時に様々な組織単位での複雑なユーザー管理は、アクテイブデイレクトリー
【術語注.7】を採用することにより容易かつ効率化できる。

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