【茫猿遠吠:シェルターとブレーキ:05.07.29】
かねてからサイト記事のなかでふれてきたように、H18公示評価作業に際して、FDデータの暗号化を行うためのUSBキーが配布されました。
暗号化ツールを「MySHELTER」といいます。
公示作業に際して、個人情報保護を目的としてFDの利用は禁止されないが、FD利用に際しては暗号化が求められることとなった訳です。
H18公示仕様書が示されていないので詳細は不明ですが、評価員間のデータ転送や国交省へのデータ提出に際しては暗号化が求められ、暗号化を行わなかった場合の漏洩責任は当該公示評価員が負うこととなるのでしょう。
個人情報保護ガイドライン的に云えば、
『業務委託者である国交省としては、個人情報保護安全管理措置は実施し、注意喚起等の必要措置も施しました。漏洩事件が発生したのは誠に遺憾ですが、当該評価員の不注意によるものであり厳正に処断します。』
となるのでしょう。
業務委託者である国交省がとるべき措置としては、これで十分であろうと考えられます。何となれば、FD内に保管される情報は当該データをFDに書き出す手続き上その作成者が特定されますから、不注意により紛失、盗難等の事故の際にはFD添付ラベルが無くとも漏洩者の特定は簡単なことです。
茫猿が提唱してきた士協会ネットワーク構築は、これでまた大きくブレーキが懸かることでしょう。シェルターに籠もって嵐をやり過ごす、新しい一歩は踏み出さない。悲観的に見なくとも、この手の意見が多数となるでしょう。
士協会ネットワーク構築に反対する論旨は大別して、
1.財政難、金がない。構築費用や維持費用が多額である。
2.面倒である。データ交換はFD利用の現状のままでよい。
3.面倒である。データ閲覧は紙資料閲覧の現状のままが好ましい。
4.不安である。ネットワークを通じてデータが一極に吸い上げられる。
「MySHELTER」の利用方法として、媒体としてのFDの暗号化だけでなく、暗号化ファイルをメール添付ファイルとして送受信することが認められるのか否か、認められるとすれば士協会ネットワークを敢えて構築する必然性はさらに低下するのではなかろうか。
云うまでもないことではあるが、ブロードバンドネットワークを構築すると云うことは、ただ単に地価公示事例交換の安全性担保などというレベルに止まるものではない。
情報流通の双方向性確保であり、同時性確保であり、共有性確保であります。
さらには近い将来目標としてGIS対応が課題であり、ナレッジマネージメントを目指すべきものであろうと考えます。
しかし、現実という壁は大きい。
ついぞ強く吹いたことのないフォローの風ですが、どうやら逆風は強くなりつつあるように感じます。
「MySHELTER」が現状維持派にとって恰好のシェルターになる予感があります。
5月以来の「茫猿の鬱」も、このシェルターから漂ってくる気配です。
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