アクセルとブレーキ

【茫猿遠吠:アクセルとブレーキ:05.07.27】
 このところサイトに空白を生じさせた原因は色々とありますが、
一番大きな原因は「一種の虚脱感或いは虚無感」にあったろうと考えます。
このことを詳しく述べるのは徒労だし、少なからず差し障りも生じるでしょうからやめますが、いずれにしても様々なことを考えさせる三ヶ月でした。
 鑑定協会横須賀会長二期目の新体制がスタートしました。
鑑定協会が公益法人であり任期二年の執行役員体制であることから、やむを得ないとはいうものの、毎期々々役員が異動するたびに感じる疑問点というか、つまらない無駄があります。
 それは、どういうことかと云えば
鑑定協会役員選挙が終わって次期役員が事実上決定したのは四月末のことです。
その後、従前役員による五月理事会を経て六月総会にて次期役員が確定します。
さらに次期執行部カナメの常務理事の指名、各委員長の指名、委員会編成などの作業を終了するまでにおおよそ二ヶ月の時間を要します。
 つまり、役員交代期には(会長が代わらなくとも他の多くの役員が異動する)約三ヶ月の会務空白期間が生じるということです。
 二年に一回ごと、前執行部はレイムダック化し懸案の先送り傾向を強める。
次期役員は総会を経て次期執行体制が確定するまで何も手が附けられない。
そういった空白時期が三ヶ月も、時には春から夏過ぎまで続きます。
いかに公益法人とは云え、執行役員が無給ボランテイアにて構成されるとは云え、専門職業家団体としてその存在感が大きく問われる状況に至った今、何ヶ月にもわたる執行体制の空白は許されないと思われるのです。
 選挙が終われば、直ちに新旧執行部の引継が可能な仕組みをなぜ作れないのかと思うのです。何かと問題点や困難なことが多いから、毎度空白の三ヶ月を迎えているのであろうとは思いますが、何とも時間を無駄遣いすることです。
 その空白を経て、次期新スキーム特別委員会第一回委員会がようやくのこと、去る7/19に開催されました。実務を所掌する小委員会の開催はさらに遅れて8/23に予定されています。
 この間、関連業務が中断した訳ではありません。新スキームに関する基本項目は決定済みでもあるし、枢要役員が再任されたこともあり準備は着々と進行しています。でも空白は否めないと感じるのです。
『新スキーム受入体制整備のための合同特別委員会・05-07体制』(敬称略)
・委員長 増田修造(副会長)
・委 員 
 石橋 勲(副会長・企画委員長)、神戸富吉(常務理事・地価調査委員長)
 小川隆文(常務理事)、田辺邦彦(理事、資料委員長)、熊倉隆治(理事)
 奥田かつえ(企画委員会)
『新スキーム受入体制整備のための小委員会』
・委員長 熊倉隆治
・委 員
 芦澤正志(東京)、田辺邦彦(近畿)、今西芳夫(関東)、中津川治(関東)、
 神戸富吉(東京)、岩崎 隆(東京)、小林信夫(東京)、高橋正治(東京)、
 鳴島隆明(東京)、田中基成(東京)、小川隆文(中部)、西宮富夫(近畿)、
 小島崇史(近畿)、江口秀一(北海道)、岩城 章(東北)、村木信爾(東京)、
 松田静雄(中部)、鈴木 哲(中部)、及び茫猿
 この小委員会に第一から第四にいたる四つのワーキンググループというチームが編成されます。合同委員会で示された各WGの所掌事項は、第一WG(芦澤座長)が主に国交省関連事項を、第二WG(熊倉座長)は資料作成の内容と方法の精緻化を、第四WG(田辺座長)は資料の取扱及び閲覧に関連する事項を所掌します。
第三WG(座長・茫猿)の所掌事項は、
・鑑定協会と評価員を結ぶネットワークの構築
・同システム稼働後の問題点・改善点のフォローアップ
・鑑定協会サーバ、士協会サーバと会員を結ぶシステムの構築
・同システム稼働に必要となる事項の整理、体制作り案の作成
 前記三項、「士協会と会員を結ぶクライアント・サーバシステム構築」すなわち「士協会ネットワーク構築」が、第三WGの主要テーマであります。
茫猿は第三WG座長として、今しばらくこの問題に関与することとなりました。
 新スキームは既に稼働を開始しています。H18試行担当公示評価員のもとには無償貸与される「SSL-VPN USBトークン」が配布されていますし、八月になれば法務省より七月異動情報が伝達され、早速に照会調査が実施されます。
 そして、本年四月以降すなわち個人情報保護法全面施行以後の事象として、早くも新スキームの喫緊の課題が現れてきています。それは、一つに照会調査回収率の向上に関する課題であり、いま一つは照会調査一次データの有効かつ安全な活用に関する課題です。
 第三WG所掌事項に関して云えば、改めて、ネットワークとは何か、何が期待されるか、何が欠かせないかが問われています。オンラインネットワークのみに止まることなく、ヒューマンネットワークの在り方が問われていると考えます。すなわち、ネットワークの双方向性確保であり、同時性確保であり、共有性確保であろうと考えるのです。さらには先行指標性としてはGIS対応が課題であり、理想を云えばナレッジマネージメントを目指すべきであろうと考えるのです。
 様々な機会にこのような現状を大きく変えかねない問題を論議しようとしますと、多くの場合に「アクセルとブレーキ」が同時に踏み込まれます。
時にはアクセルを踏んでいるように見えても、その実ブレーキばかりを強く掛けているという場合もしばしば遭遇します。
 茫猿に関して云えば、昨年初夏の頃に「いわゆる新スキーム」にコミットして以来、常にブレーキ(反対論・消極論の壁)を意識させられてきました。
アクセル(肯定的意見・積極的支援)が踏まれなかった訳ではありません。
でもそれは少数であり消極的であり、ともすれば現実という壁に消されてきました。
 「あなたのいうことは理解できる。必要だとも趨勢だとも思う。」
 「しかし、現実は簡単ではない。乗り越えねばならない壁が大きい。」
 茫猿としては、百も承知のことではあるけれど、何処かで一歩踏み出さねば前進できないと考えるのです。企画し、実行し、検討する。日程を決めて踏み出す一歩が大事であり、優先順位と工程表が欠かせないと考えるのですが、踏み出す一歩がなかなか得られません。
 今に限らず、この三十年以上の間、常に聞かされてきたことがあります。
「岐阜はいいよな、高々数十人だろ。説得も簡単だろうよ。
 我が方は、二百人だよ。 我が方は八百人だよ。 我が方は二千人だよ。
 意見を聞くだけでも大変なんだよ。」
※※※聞こえないように小さな声で、でも低くよく通る声で※※
『岐阜みたいな、ちっぽけな田舎会とは違うんだよ。都会は大変なんだよ。』
 とても哀しくなります。茫猿だって二千人に説明し理解を求め説得できるなんて考えてもいません。五十人だってできるなんて考えません。
先ず、自分が理解し方向性を定め、次いで一人の理解者を求め、二人目の理解者を求めてゆく。一人が十人の理解を求め、その十人がさらに十人の理解を得てゆく。委員会の理解を求め、役員会の理解を求めてゆく、その蝸牛にも似た歩みのなかでしか物事は動かせないと考えています。
 哀しいのは、理解して頂けたら現実の壁の前で怯まずに、共に一歩踏み出してほしいのに躊躇されることです。反対意見をお持ちならばやむを得ません。
茫猿は理解を得るべく努力を続けるだけです。
 でも理解し賛意を示して頂けるにもかかわらず、現実の壁を持ち出すことにより、結果として議論を二歩前進三歩後退させる。そのような一見して世慣れた長者振りに包まれた御意見に出会う時に、とても哀しくなるのです。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
 個人情報問題は相変わらず騒がしいのですが、鑑定業界では喉元が過ぎたように見えます。不断の継続更新が欠かせないと思えるのですが、その意味から興味ある資料です。
個人情報保護およびプライバシーマーク関連リンク集(業界ガイドライン)
http://www.jisa.or.jp/pdguide/link06b-j.html
「生命保険業における個人情報保護のための取扱指針について」(PDFファイル)
http://www.seiho.or.jp/news/h16/pdf/seihosisin.pdf
「生命保険業における個人情報保護のための取扱指針の安全管理措置等についての実務指針」(PDFファイル)
http://www.seiho.or.jp/news/h16/pdf/jitumusisin.pdf
・・・・・・いつもの蛇足 その2・・・・・・
不細工になった所為で断煙やむ無しのピースライトです。

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