鑑定業界の変革

 年齢が頑固にするのではなく、成功体験が頑固にする。状況が変革を必要とするようになっても、過去の成功によって得た自信が、別の道を選ばせることを邪魔する。
「ハンニバル戦記」塩野七生著より、ローマ元老院議員のことば


 戦後だけでも、多くの業界が栄華を極めそして衰退してゆきました。砂糖・セメント・肥料の三白時代、鉄鋼・造船の重厚長大時代、白物家電の時代、自動車の時代、そうそう栄華といえば映画産業もそうでしょう。いずれも一時代を築きそして衰退(失礼・業容転換)してゆきました。そこから産業30年説が生まれたのではないでしょうか。成長の10年、繁栄の10年、現状維持の10年、現状維持の時代に次の準備をしないと、さらなる10年は衰退のみ。
 振り返って、鑑定業界も1960年代は制度発足の時代、70年代は成長の時代で、当初から地価公示が用意されていた。年代半ばには国土法が制定され地価調査と添付鑑定が実施されて、成長を加速した。80年代はご承知のバブルの時代である。90年代に入ってバブルがはじけ、地価は下落基調のまま現在に至っている。つまり、今、次の時代の準備をしないと衰退が始まるといえよう。
 ローマ元老院議員にならっていえば、不動産鑑定法・地価公示法・国土法等々、諸法に支えられて成長してきた鑑定業界は、一般社会のニーズに応えようとするよりも、行政に応え或いは求めてきた経験が永く、それによって成長してきた。今、変革が求められる時代に入って、鑑定業界は過去の成功体験に決別する時期なのではなかろうか。鑑定業界が勇気ある変革の道を選べないとすれば、それは栄光の郷愁にしか存在感が見い出せない、業界自身の加齢に伴う老齢化といえよう。

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