オジャコとオコブ

 モウカリマッカ? ボチボチデンナ。 アキマヘン、サッパリデスワ。
ドナイダス? マアマアデンナ。 ホナマタ! マイドオオキニ。
 最近ではTVでも聞かれることの多い関西弁です。江戸弁を聞くことが少なくなりましたが、関西弁は相変わらず元気なようです。関西弁といっても、大阪弁以外に、河内弁もあれば神戸言葉もあれば、京都弁もあります。京都弁は西陣辺りと祇園辺りでは様相が相当に違います。名古屋弁や美濃弁・飛騨弁も含めて地言葉というものは佳いものです。品の佳い地言葉を聞いていると、ホンワカしてきます。


 さて、メールサーバーの移転に伴い、暫くお休みしていました茫猿遠吠ですが、今日から活動再開です。MMの皆様には、又、お目を汚します。気紛れなWeb Masterですが、「マ、ボチボチ、アセラント、ハンナリ、ユキマッサ」、「ホイデ、ドナイシタチュウネン」。
 しばらく書いていない京物を一つ。
京都というところは面白いところで、何でもないものを価値あるものにして、結構なお値段を取ります。それでも老舗のものは価値>価格であり、納得がゆくものです。そんな品を一つ二つ。
 京都の下河原辺り、といっても判らないでしょうから。八坂神社の境内から南へ、清水寺や産寧坂(三年坂ともいいます)方面へ下って(南へ向かうのを下ると云います。北は上ると云います。東西は知りません)参りますと、最近とみに有名になってきた高台寺の前辺りに出ます(東山安井からは東方へ)。その付近が下河原町です。霊山観音も高台寺に並んであります。有名な京料理店「京大和・一人3万位」は更に東へ山道を登った高台です。
 この高台寺の前辺りは、今は「ねねの道」として整備され気分の佳い散歩道です。
(注)、高台寺は秀吉の妻、祢々が建立した寺ですから、ねねの道と名付けられました。
 この辺りには、門構えは小さいけれど、美味しい佃煮さんが幾つか店を構えています。前にもお話ししました、お茶屋さんや置屋さんへ「ブブ漬」の「アテ」として納める佃煮です。種類は沢山無くて、大概は「オジャコ」と「オコブ」です。
「オジャコ」はチリメンジャコを山椒で炊いたものでして、お茶漬けにもお酒のアテにも、とても相性の良い、上品な一品です。このオジャコの凄いところは、先ずジャコの型が揃っていることです。物差しで測った程とは云いませんが、見事に型が揃っています。もう一つ凄いのは、この2cm程度のミニ魚の佃煮であるにもかかわらず、全てのジャコの目が残っていることです。良質のジャコを入手して優しく赤子を寝かせるように炊いたのだということが、このジャコの目から
判ります。勿論、欠けたり折れたりするジャコは見当たりません。(話半分に聞いて下さい。茫猿遠吠は老眼気味です。)
 昆布の佃煮もそんなに辛くありません。昆布の甘味を残して炊きあげてあります。昆布の佃煮でお薦めは「野菜昆布」です。蓮根や牛蒡と炊きあげた昆布のマッチングの美味さに驚きます。例によって、お店の名前は書きません。お店によって少しずつ違いがありますから、この辺りで色々コーテ、試してください。一包装千円程度です。表に提灯だけ掲げて、路地の奥の店もありますから、お見落としの無い様に。
 さて、オジャコをコータラ(買うたら)、産寧坂へ行くまでに一休みして下さい。「葛切り」で一休みは如何ですか。ねねの道から一本西側の通り沿いに、「鍵善・高台寺店」があります。祇園石段下の鍵善は、観光客が増えすぎて老若男女のさざめきというよりは、わめき声で落ち着きません。鍵善高台寺店は、まだ識る人が少ないせいか、石段下店よりははるかに落ち着いています。
 京都は、これから紅葉の季節で、心無い観光客が増えます。誰も来てくれないと京都が困るのですが、紅葉がハラハラと散る静寂な境内を幼稚園児でもあるまいに、声高にノノシリ通る無粋なお客は要らないなと思います。JRの京都へ行こうポスターで紹介された処は、駄目ですよ。今年のポスターは法然院ですから、法然院は避けた方が無難でしょうね。お薦めは貴船ですが、平地より紅葉が速いですから、確認をお忘れなく。以外と永観堂や東福寺が穴場になっているかもしれません。
 ですから、今、京都に行くのなら有名でない紅葉を見るか、紅葉は端から諦めるか。いっそのこと、すぐき大根の漬物が美味しくなる師走まで待って、観光客のいない閑寂とした境内を歩くか。いずれかでしょうね。では、次回は師走の京都を紹介します。

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