新基準を考える上で-参考1

【茫猿遠吠・・新基準を考える上での参考-1・・02.10.13】
 H14.1.31付、不動産鑑定評価部会議事録より一部を抜粋して掲載します。
新基準が検討された討議の一部抜粋ですから、議論全体の流れを掌握せねば軽々
に論じることを避けねばなりませんので論評は致しませんが、新基準作成の背景
として承知しておきたいと考えます。
尚、お断りしますが、以下の委員発言は連続するものではなく、部分抜粋ですか
ら、全文は末尾の URLからお読み下さい。
●委員発言
 それから、担保評価につきましては、正常価格の鑑定評価で掛け目は債権者が
査定するということは原則でございます。しかし、こういうことはめったにはな
いのですけれども、価格変動というリスクをどのように織り込むか。そこまで織
り込んだ担保評価をするということになりますと、これは先々まで読んだ部分で
ありますから、特定価格になるかもしれません。そういうものにつきましては、
債権の管理者たる銀行の担当者がそこまでできるかといいますと、やはり鑑定士
の方が上じゃないかという気がいたします。そういうような実務的な要請から考
えますと、担保としての安全性を特に考慮すべき場合というものは残しておいた
方がよろしいんじゃないかというような気が私はいたします。
●委員発言
 今のお話を聞いていますと、担保としての評価云々というのは、銀行から見れ
ば余計なことなのだろうというところはありますね。というのは、銀行がそれを
どうやって処分するか、いつ処分するか、どのくらいの期間で処分するかという
のは非常に営業政策的なものでありまして、その前にまず正常価格で評価して、
先ほど委員がおっしゃったように、それを幾らにするかとか、どのくらいの期間
で売るかとか、幾らで売るかとか、売り方をどうするか。競売だけじゃないです
ね、任意売却とか、いろいろなやり方がある。それはあくまで営業政策の問題で
あって、それを特定価格なんていうことを担保について使っちゃったら、何にで
も特定価格は使えることになってしまう。これは絶対やめるべきだと私は思いま
すけれどもね。
●委員発言
 銀行はそのように自由にやりたいし、それで構わないと思います。ただ、その
ような要請がある場合もあるんじゃなかろうかと。そのようなニーズが。銀行自
体はそれは査定するけれども、やはりこの部分はもっと高く売れるんじゃないか
という期待がある。
 じゃあ特定価格で鑑定士に頼んでみようという、そういうような要請がある場
合がある。そういう場合に備えて、特定価格というこういう場合のケースの価格
の種類を残しておいたらどうであろうかと、こういうことでございます。
●委員発言
 要は特定価格というのは鑑定評価だということで、鑑定評価書で出すと。先ほ
どの場合にも、不動産鑑定士に鑑定評価を出していただきたいというニーズがあ
るということなのですが、逆にコンサルティング業務を否定するものではないと
いうことですから、コンサルタント業務として価格を出すことは全く否定されな
い。逆に言えば、鑑定士じゃない方も出せるのかもしれませんが、そこの差が、
平たい言葉で言うと報酬とか責任とかにかかわってくる話で、会計士の世界でも、
全部が会計監査ということじゃなくて、レビューとか一定の手続に基づくものと
か、いわゆるコンピレーションということで帳簿の作成とか、それによって当然、
責任と報酬のランクが変わってくるということがございます。
 それがどうしても、特定価格に入れて鑑定評価ということで責任を負いながら、
したがって報酬も高くしたいということの必要性があるのか。逆に、責任はそれ
ほどとらないものの、独占業務じゃない形でもいたし方ないということのあたり
にするのか。それはかなり大きなコンセプトの問題で、今の私の理解では、一貫
してかなり狭くするということとされているかと思いますので、広くする必要が
あるとすれば、その辺りのニーズをもう一度再検討する必要があると思いますし、
ちょっとコンセプトがずれてくるように伺いました。
●委員発言
 この特定価格なのですけれども、正常価格の概念に該当しない項目というのか、
そういう価格があったときに、行きどころがなくなっちゃうような気がするんで
すね。一つは、限定価格はやっぱり限定列挙で決まっているわけですね。それか
ら特定価格も、パブリックコメントの対応案ですと、例示列挙であるけれども、
新たなニーズが発生した場合には、国は鑑定評価として行う妥当性について判断
を求められた場合には判断を行うということで、基本的には限定列挙に近いとい
う御説明なわけです。
 基本的に私は、国交省さんの行政当局と立場は違うかもしれませんけれども、
もともと考えておりますのは、なるべく鑑定評価の対象にするということ、それ
を幅広く入れていくべきでないかという基本的な考えを持っております。
 そうすると、かなり正常価格を広くとるということであるのかどうかわかりま
せんけれども、とにかく行き場所がなくなったものはやらないというのではなく
て、受け皿をつくっておく必要があるなというのが、かねて思っている考えです。
そういうことから考えて、今はどういう要検討事項かという項目の話ですけれど
も、その辺の対応みたいな話もあってもいいかなという考えは持ちました。
●委員発言
 今の価格の種類ですけれども、実務をやっておりまして、あるいは鑑定協会の
委員会で検討いたしておりまして、痛切に感ずることは、複数不動産の一括評価
ですね。これは鑑定評価の範疇に入らないことは重々承知しておりますし、これ
は無理だとは思います。しかし、留意事項なり何なりに、コンサルタント価格と
いうものに一言でも言及しまして、不動産鑑定士はそういうコンサルタント価格
も評価するんだというようなイメージをどこかに盛り込んでいただけたらありが
たいなということが一つの意見でございます。
 これは会社更生法でも、民事再生法でも、会社の財産の評価の場合ですね、ゴー
イングコンサーンバリューに係る不動産の評価をする場合は、どうしてもこれに
突き当たるんです。
 それから証券化不動産でも、恐らくそういう意見がほしい場合があるんじゃな
いかというような気がいたします。実務上そういうような要請が強いんじゃない
かということです。鑑定評価に入れることは重々無理なことは承知いたしており
ます。
H14.1.31付、不動産鑑定評価部会第10回議事録
http://www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/fukan/fukan_10_gijiroku.pdf

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