火星、蝉しぐれ、情場

【茫猿遠吠・・火星、蝉しぐれ、情場・・03.08.25】
 夏枯れ時期は三題噺にかぎります。
このところの残暑で寝不足気味で、あまり長いことものを考えられません。
そこへもってきて、昨日は猛暑のなかで庭の一部に煉瓦を敷きましたら、
熱中症みたいになりました。肉体酷使で未だに節々も痛いのです。
そこで、細切れ話を二つ三つお伝えします。


『火星はもう眺めましたか』
 今夏は、火星と地球の大接近の年です。
火星は15~17年ごとに接近と離間を繰り返している身近な惑星ですが、今夏は
6万年振りの大接近であり、次に近似する接近は284年後だそうです。
どちらにしても、今生きている私たちが見ることの出来る最大の機会が、
この8月の大接近という訳です。
見逃したとして何ほどのこともないのですが。
 夜空が明るい都会か、美しい鄙かで条件は違いましょうが、
夜の10時頃以降に南東方の上空を眺めますと、一際明るい赤い星が見えます。
金星と並んで我々の地球の兄弟星であり、わずかながら大気や氷(?)も存在す
るという、赤い星を眺めて夏の夜の夢に耽るのも悪くないものです。
『数ヶ月ぶりに届いたE.Mailより、情報について』
 東京に住む某氏から近況を知らせるE.Mailが届きました。その一節です。
 (中略)
 情報のスピードおよび解釈、其の量について地方人と東京人と相当差があり
ます。痴呆人と頭狂人の差があります。もしかするとそれぞれお互いに分かり
合えないぐらいに違いがあります。わたしの仕事は其の差を出来るだけ埋める
事ではないかなと思っています。(A.I氏)
(茫猿独白)
 彼は、痴呆人に対して頭狂人と、自らをも揶揄しているから、あながち鄙人
を蔑んでいるわけではなさそうだが、十把一絡げの物言いは御免被りたい。
情報の量、速度、解釈などというものは、居住地に左右されるものではなかろ
うと思います。発信者・受信者のセンスとセンサーとスピリットに左右される
ものであろうと茫猿は考えます。
 もちろんのこと、居住する世界が異なれば関心事の順位が異なるのはやむを
得ないことでしょうが、自らの関心順位をもって他者の情報センスやセンサー
を云々するのは願い下げにして頂きたいものです。
 この件に関して、情場という言葉がしばらく前に世に出ました。
多分梶原岐阜県知事の造語であろうと記憶します。
情報が交錯する場所、発信者と受信者がクロスオーバーする場所というような
意味であったと思います。情報というものは、場に参加する意志がなければ発
信も受信も出来なかろうと思います。
そして情報とは「発信者と受信者の、情に報いるもの」であろうと考えます。
 「養老氏の云う「バカの壁」を堅固に守る人は、鄙にも巷にもいるのです。
『投稿に蝉しぐれを想う』
 先号記事に関して投稿を頂戴しました。
> 『鄙からの発信』記事「理論は理論として、でも現実はね。・・・・・」
 理論と現実を分けるような発想こそ、変えてゆかなくてはならないでしょう。
特に専門士業の世界というのは、理論を実践する役目のはずです。
 学術的な研究の成果を、そのまま実務に応用できる。
そういった立場にあるのが、資格業の面白さだと思っています。
 地価公示にしても、我々の存在意義をかけて取り組むべき仕事だと思います。
そこで理念を実践せずして、何のための鑑定評価か、と思います。(H.K氏)
(茫猿独白)
 たまたま夏休み中に再読した、藤沢周平の名作「蝉しぐれ」を思いました。
主人公牧文四郎が十五歳で父の非業の死に直面した後、母を助けて家を守り、現実に押しつぶされそうになりながらも、しかし現実に埋没することなく修行を重ねて行く生き方。おのが理想とする義父の生き方に習って成長し、友の助けを得て快事を遂げるクライマックス。
 恋を恋とも意識しない淡い恋の叙情あふれるプロローグと、心温まるなかに
もほろ苦いその恋のエピローグ。
 理論と理想は相違がありましょうが、理論とか理想というものを胸中に抱いて、現実に対処して行く、現実に棹さして流されるだけでなく、わずかづつで
も現実を乗り切って行く。
 小説の世界みたいに上手く行けば誰も苦労はしませんが、それでも胸の奥深
くの炎(ホムラ)を消してはならないと思います。
 茫猿の陋屋では、アブラゼミが盛りを過ぎて、ツクツク法師やヒグラシが鳴
いています。残暑厳しきなかなれど、秋は其処此処に忍び寄っています。
目にはさやかに見えねども、季節はもう初秋です。
新秋刀魚が安く旨くなってきました。茫猿陋屋での炭焼秋刀魚会も近いです。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
「ブラスター」などという、コンピューターヴィールスが蔓延しているようで
す。対策ソフトの売れ行きがこの数日急増して、店によっては在庫切れの有り
様という記事がありました。
 今時、『鄙からの発信』読者諸氏がヴィールス対策ソフトを利用していない
ことはなかろうと思います。ただソフトをインストールしているだけでは、
有効な対策とならないこともご承知だろうと思いますが、念のため。
・定期的にLiveUpdataして、ヴィールス定義を最新のものにしておく。
・定期とはせめて週単位のことです。自動LiveUpdataが望ましい。
・対策ソフトを常駐させて、E.Mailなどを監視させておく。
・添付ファイルは不用意に開かない。
・例え知人から送付された添付ファイルでもヴィールススキャンする。
・業務に使用するパソコンから、いかがわしいサイトにアクセスしない。
 この程度のことは、必要最小限度の自衛手段ですから、確実に実行しておか
れると宜しいでしょう。新型肺炎が流行する国や地域に不要不急の旅行をしな
いのと同じ程度の常識です。
ネット時代に生きるものとして、年額数千円のヴィールス定義更新サービス購
読料は必要経費と考えるのも当然のことです。

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