為せば成る

 鑑定協会のIT的広報体制もようやくに整備されつつあるようだ。あるようだが、未だ不十分であると言わざるを得ない。その原因は何処にあるのだろうか。


 以前の記事で、協会理事会議事録会員専用HP公開の不備を指摘したが(08/08:本会、そして無関心)、この件は最近になって改善されている。実はこの記事は今年度茫猿が所属している鑑定協会企画委員会議事と関連するのであるが、同委員会議事録が会員専用HPに公開されている。07/08/02開催の今年度第一回委員会議事録が08/16付けで開示されているのである。委員会開催後、議事録開示迄二週間という速さである。事務局による議事録の作成、委員長の承認、議事録署名者の承認という手続きの他、内部手続きも経ているであろうから、この開示は迅速と賞してよいことである。事務局担当のN.H氏のご尽力を謝とするものである。
 さて、このようにして委員長が情報開示や議事録早期開示に前向きとなり、議事録署名者が協力し、事務局が尽力したとして、当の会員が見向きもしなければ当事者の意欲はいずれ減退し萎んでゆくであろう。それほど単純ではないにしても、人は見られ、認められ、賞されることを力としてさらに前向きに進んでゆくものであろうから、努力の結果が話題にならなければ次なる力が沸いてこないだろうと思われるのが理の当然である。
 鑑定協会にはメールマガジンシステムが機能しているのだが、実数は知らないがこの登録者がまだ少ないそうである。会員専用HPを用意しその内容が充実されつつあるが、会員の関心が低ければさらなる充実が望めないどころか退嬰に向かうことも考えられる。そこで、幾つかの提案がある。
(一)会員は、特に鑑定協会及び士協会役員は、会員専用HPのインフォーメーション、理事会・委員会報告、留意事項等資料を常に(せめて十日に一回程度)ウオッチングして、様々な機会に話題としたいと考える。前述のように話題になることから充実は進むのである。
(二)会員がデジタル的情報網を積極的に利用するような誘導策を考えたら如何だろうか。例えば、地価公示等の登録更新情報や、研修会登録情報をメルマガなどで広報し会員専用HPで受け付ける。ファクシミリや郵送等文書配布は十日ほどの時間差を設けることにより、デジタル情報をウオッチングしたりメルマガを登録することによる直接的メリットを享受できるようにするのである。或いはオンライン登録の場合は研修会費を減額するという方法もあるのではなかろうか。
(三)会員は、特に鑑定協会及び士協会役員は、会員専用HPの「理事会・委員会報告」のうち、未だに新年度議事録を開示していない委員会宛に異議・抗議・質疑・催促メールを送付したら如何だろうか。
例えば、こんなメールである。

・宛先 jarea@fudousan-kanteishi.or.jp
・文案 「新年度も六月総会以後二ヶ月が経過し、はや九月になります。
 この間に多くの委員会では新年度第一回委員会が開催されたと思われますが、07/06以降に委員会報告が更新されたのは僅かであり、多くの委員会は未更新のままです。速やかに議事録を含めた情報を開示され開かれた鑑定協会運営に務められるべきを期待します。
 さらに理事会並びに委員会におかれては議事録のみならず、委員会配付資料をPDF等の形式にて可能な限り開示され、情報の共有化並びに平等化を図られることを求めます。」

「07/06以降HP更新委員会等」 (会長・委員長名の敬称は省略する。)
(社)日本不動産鑑定協会の新年度役員構成は「こちら」、理事会、常務理事会、各委員会アイコンをワンクリックすると役員構成が示されます。
○理事会 (07/06/19開催、08/16更新)『会長 神戸冨吉』
○士協会会長会 (07/06/18開催、08/09更新)『会長 神戸冨吉』
◎法務鑑定委員会 (07/07/30開催、08/07更新)『委員長 小谷芳正』
◎証券化鑑定評価委員会 (07/07/20開催、08/01更新)『委員長 熊倉隆治』
◎企画委員会 (07/08/02開催、08/16更新)『委員長 都築武保』
「07/06以降非更新委員会等」
●総務財務委員会 (2007/5 更新) 『委員長 熊澤一郎』
●業務推進委員会 (2007/5 更新) 『委員長 伊藤正弘』
●地価調査委員会 (2007/2 更新) 『委員長 小川隆文』
●調査研究委員会 (2007/2 更新) 『委員長 緒方瑞穂』
●研修委員会 (2007/2 更新) 『委員長 新藤延昭』
●国際委員会 (2007/2 更新) 『委員長 松本信義』
●広報委員会 (2007/2 更新) 『委員長 臼杵克久』
●公的土地評価委員会 (2007/4 更新) 『委員長 玉那覇兼雄』
「一切非開示委員会」
★情報管理・法令遵守特別委員会 『委員長 増田修造』 
★情報安全活用委員会 『委員長 澁井和夫』
 新スキーム問題や地価公示オンライン化問題など喫緊の課題を抱える地価調査委員会・小川委員長(副会長)が情報開示に消極的なのは解せない行為である。会員の協力は当然のことながら求心力の向上が不可欠であろうに、自らが情報開示に消極的であれば求心力の上昇強化は望めないと知るべきである。
 漫画的とも云えるのが、情報という文言が委員会名称に附されている、情報管理・法令遵守特別委員会『委員長 増田修造』と、情報安全活用委員会『委員長 澁井和夫』両委員会が示す情報非開示の在り様である。増田委員長(副会長)も澁井委員長(常務理事)も個人的によく存じ上げているだけに、御両所がなぜ未だ音無しなのか不可解でもある。
 なお増田委員会と澁井委員会の名誉のために付け加えておくと、両委員会を「一切非開示委員会」と決め付けるのはいささか酷な話であり、両委員会は今年度新設委員会で何も掲示されていないだけのことである。今年度の活動経緯の非開示という点では一連の「07/06以降非更新委員会等」と同様なのである。ただ、やはり両委員会は必要が認められて新設された委員会であり速やかな活動開始と情報開示が待たれるのである。
 要するに情報開示とか情報共有とか情報活用などと言ってみても会員しだいなのである。どれほど上手く声高く笛を吹いたとて会員が踊らなければ、見向きもしなければそれまでである。誘導策の宜しきとか、開示情報の宜しきとか開示する側に求めたいことが幾つかあるが、何よりも受け手である会員自身の情報を獲得しようとする意欲が問われるのである。発信側のセンス・センサー・スピリットは大事である、重要である。でも受信側のセンスが旧態依然であり、センサーが錆び付いており、スピリットが欠如していれば発信側の努力も長続きしないのである。
 その意味で、新スキームが全国展開し、地価公示のオンライン化が検討され、組織の在り方が問い直され、証券化鑑定等においてレビューやモニタリングが進められる今こそ、我々鑑定士会員自身がデジタルとかネットワークとか情報共有といった課題を我が身自身のこととして問い直すべき絶好の機会であろうと考える。だから些か古くさい表現だが「鑑定士会員自身が為せば成る」のであり「鑑定士会員自身が為さねば成らぬ」のである。
 時あたかも「固評評価替の年」である。少なからぬ鑑定士は今年は固評評価替えの年だから多忙であり些事は先送りと云う。目先の業務にかまけて(ないがしろにしていいと云うのではない。)、鑑定業界の今後を左右する事柄に無関心であってよいはずはないのであるが、はてさて・・・・・・。

 今一度、マザーテレサが述べた有名な言葉を掲げておこう。
 「愛の対極にある言葉は憎しみではなく、 無関心である」
愛の反対語は憎しみでなく、無関心なのである。平和の反対語は戦争でなく、無関心なのである。無関心という対応は無視にも通じるものであり、多くの会員が士協会や鑑定協会の日々の有り様に関心を持つことから業界組織の進歩や発展があるのであり、会員の関心が組織の力となるのである。関心こそが求心力となり、組織の力となるのである。

関連の記事


カテゴリー: REA-NET構築 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください