不動産鑑定:底流に注目する

 今日(08/03/17)の中日新聞夕刊一面トップは「ドル急落 一時95円台」である。サブ見出しは「東証1万2000円割れ」なのである。日銀総裁の座が政争の具になっているなか、風雲急といってよい状況であろう。


 この日、田原:鑑定コラムの見出しは、「まさか杞憂の予測が的中するとは」である。田原氏の鑑定コラムの最近のテーマを掲載順に挙げてみると次のようになる。
411)土地価格が暴騰すれば、利回りは下がるのでは無いのか
412)業種別日経平均株価下落率、不動産業がトップ
413)東証リート指数1400割れ
414)2007年8月から外国人の株式の売り越し額4.7兆円
415)まさか杞憂の予測が的中するとは
 田原氏はファンダメンタルの変調を以前から警告しているのであり、既に年初に次のコラムを掲載している。
402)都内住宅地の地価下落が本格化してきた(2008年1月)
 地価の変調を警告するのは、田原氏だけでなく、「不動産と景気・経済」では、2008年3月16日 に「今年の首都圏 マンション供給予想 真っ二つ に思う」という記事を掲載しているし、2008年2月27日には「SPC資産10兆円超は氷山の一角」と題する記事を掲載している。そして、2008年2月21日には「不動産は暴落する!」と題する記事である。
 かくいう茫猿だって、地価の変調についての最近のエントリーには次のようなものがある。
・2008年02月26日「08″公示と08″地価動向 」
・2007年12月28日「REITの下落
 何が申し上げたいかといえば、経済の基調変化から目をそらしてはならないと云うことである。地価が単独に変動するわけがなく、経済・社会の基調変化に連動するものであることは自明なのであり、であるとすれば表面的な事象である取引価格推移にばかり目を奪われていてはならず、経済基調の変化に常に目を配っていなければならないということである。
 鑑定評価というものは取引結果という過去の事象に引きづられがちである。経済基調の変化を理由に地価を論じるときに必ず受ける質問は、「それを実証する取引事例や賃貸事例はありますか?」というものである。
 ところが上昇であれ下落であれ、大きな変化が予想されるときにそれを実証する事例は得難いのが通例なのである。なぜ得難いかと云えば鑑定士が感じる変化の予兆は取引当事者も当然に感じているわけであり、変化に先立つ取引を実行することは稀である。多くの場合変化の方向を見定めてから取引に移ろうとするから、経済基調の変化と地価変動はなにがしかの時間差を生じるのである。いわば、「踊り場的様子見」が生じるのである。
 このあたりの機微がとても悩ましいことではあるが、鑑定評価に携わる者としては実証データとして把握された取引事例や賃貸事例に拘泥するばかりでなく、地価の変動に大きな影響を与えるというよりも地価を誘導してゆくマクロ的経済基調の変化に常に着目していなければならないのであり、「底流の向かう方向」というものをできる限り的確に把握するよう努めなければならないと思うのである。
 変化の予兆を感じるときに、鑑定評価主体は保守的にあるべきなのか、果敢に変化の方向を予測すべきなのかは、とても悩ましいところであり軽々に結論を出せるものではない。でも、基調変化を意識する鑑定評価と、意識しないか意識が薄い鑑定評価とは自ずと異なるものがあろうと考える。
 時あたかもこの週末には、田原氏を岐阜にお迎えする。田原氏の最近のエントリーを素材にして、そのあたり、つまり鑑定評価と経済基調の変動というものについて伺ってみたいと思っているのである。

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