総理が解散しない理由

 梅雨枯れのネタ切れ気分である。 書きたいことが無いわけではないが、差し障りを考えれば止めておこうと思うし、差し障りを退けてまで書くほどのことでもないと思い直している、未公開原稿を書いては削除の日々である。 NSDI-PTも今年度事業提案を送付したものの、その後の反応は何もない。今年度委員会の立ち上げもまだのようである。 この頃は不動産鑑定評価シリーズを書き始めてみようかという思いもあるが、それはもう少し先のことにしようと思っている。
 そんな時に、標題の記事を読んだ。 白川勝彦氏の永田町徒然草:最新記事である。 眼から鱗が落ちるというか、成る程そういう見方があったのかという思いである。


 白川氏はこう述べる。

(前略) 内閣総理大臣が決断すれば、確かに解散そのものはできる。たとえ全大臣が反対したとしても…。総理大臣の大臣に対する罷免権に理由は要らない。全閣僚を罷免し総理大臣が全閣僚を兼務した上で解散すれば、それは可能である。

(中略) 解散総選挙の後には、必ず特別国会を開かなければならない。その特別国会が招集されたとき、内閣は総辞職をしなければならないのだ。解散を決断した総理大臣は嫌でもその職を辞さなければならないのだ。そして特別国会で内閣総理大臣に指名されてこそ、はじめて解散総選挙をやった意図が達成されるのだ。 麻生首相が内閣総理大臣に就任した時から、この保証は果たしてあったのだろうか。

 白川氏の言を解釈すれば、麻生氏は祖父吉田茂翁に倣って、総理大臣になりたかったのであり、総理としてサミットに行きたかったのである。 とすれば、負ける可能性の高い解散などしたくもないし、解散後仮に辛勝したとしても、参議院の野党多数という状況は変わらないし、2/3再議決という離れ技も使えなくなる。
 任期満了そして総選挙後の特別国会が召集される日(最長2009年11月1日)まで確実に内閣総理大臣でいられる。今やその選択しかないし、自民党内も任期満了まで解散先送り説が多数を占めつつあるようだ。 自民党代議士の誰もが、落選の可能性が高い解散総選挙など望んでいない状況になりつつある。 東国原宮崎県知事頼みなどでは、著名な議員でもそのまんま落選が囁かれている状況ではなおさらのことであろう。 
 解散総選挙の顔として総理総裁に選ばれた麻生氏だけれど、今や居座り内閣・与党の顔になりつつあるというか、既になっているのであろう。 どう考えても現況の衆議院2/3与党議席が維持できそうもなければ、居座れるだけ居座るという麻生総理の選択に、与党の多くが黙諾を与えるという状況も読めてくる。 H20.9.24総理に指名された麻生氏としては、一年以上の在任期間というのが最大目標だったとしても不思議ではない。
 そう読んでみると、国民新党代表綿貫氏の『民主は政治音痴』という記者会見の裏事情も見えてくる。 《国民新党の綿貫民輔代表は8日の記者会見で、民主党が内閣不信任決議案提出に慎重姿勢を示していることに関し「政治音痴というか、民主党はあまり関心がなく、ただその日その日が過ぎている」と不満を示した。》
 日本中に閉塞感が漂えば、秋に予想される総選挙で噴き出すマグマの大きさも思われようと云うものである。 都議会選挙のあと、何が起きるか何も起きないか、けだし見物である。
 茫猿は小沢民主にも鳩山民主にもさほどの信頼も支持も無い。 しかし、一度シガラミを断ち切る必要はあろうと考えている。
 前代未聞の二十兆円補正だって、百年に一度という訳のわからない掛け声に踊らされて国債を増発し、その中身はエコ減税で自動車業界や電機業界を支援し、住宅減税で建築業界を支援し持ち家政策を延命し、新幹線工事や高速道路工事の凍結解除で建設業界を支援し、高速道ETC割引や三人乗り自転車で霞ヶ関外郭団体を潤しただけのことである。 それらは全て戦後連綿と続く永田町・霞ヶ関・虎ノ門そして大手町(経団連会館と新聞社)のカルテットに由来するのであり、一度はこのシガラミを断ち切ることから始めなければならないと考えている。

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