秋晴れ止揚学園

 昨日はふと思い立って止揚学園を訪ね、お昼を御馳走になりました。 途中、大垣市若森町地内で出荷最盛期の特産豊水梨を求め、それを手土産に福井先生や皆様のご機嫌を伺ったというわけです。 折悪しく福井先生も面条先生も外出中でしたが、その代わりに見学訪問中だった三名の神戸の女子大生さん、体験実習中のこちらは京都の女子大生さんとお会いできました。
 福井先生は昼食が終わった頃に、琵琶湖の鮎漁から戻られました。 七十を超えたお歳で川に入り腰まで水につかって投網を打ち鮎漁をしていたというお話しを伺い、お元気な様子に安心するやら、お歳だから長い時間水につかるのはお身体に差し支えると心配するやらでした。 でも、漁のぐあいを子どものように自慢される先生を拝見していますと、「とてもお元気、お元気です。」
 先生は、鮎漁を自慢しながらも、「僕は立派なガン患者やから!」とも云われるのです。 「ガン患者が腰まで浸かって投網を打ちますか!」とお応えしながらも、楽しい午後のひとときでした。


 学園の玄関には新しいモニュメントが立っていました。
  
 皆で歌を唄い、お祈りをしてお昼の食事を頂きます。 この日のメニューは「鯖の唐揚げ、キュウリと麩の酢の物、冬瓜のおつゆ」でした。 学園の職員が調理する質素ですが暖かい食事です。 それにとても不思議なことですが、お祈りの前まではテンデに声をあげていた園生の皆さんが、お祈りのあいだは静に両手を併せて瞑目しているのです。 
  
 見学に来園されていた三名さんが自己紹介されています。 彼女たちは、自己紹介に続いて「ドラエモン」の歌を唄ってくれました。 茫猿も指名されたのですが、歌は勘弁して貰って短いスピーチをさせて頂きました。
  
 福井達雨先生には多数の著作がございますが、そのなかでの第一作が「僕アホやない人間だ」です。 この著書は出版社の事情などから長く絶版になっていましたが、最近復刻再刊されました。 福井先生三十代半ばの頃の著作ですから荒削りですが、止揚学園草創期の様々なできごとや当時の社会福祉環境がよく判る書物です。
・僕アホやない人間だ 著者:福井達雨 発行:止揚学園 (1969年初版、08.12復刻再刊) この書籍のお求めについては止揚学園へお問い合わせ下さい。(0748-42-0635)
 
 この本は1969年5月に刊行されている。1962年9月に近江八幡で開園してから8年後のことである。 本は全部で40数編の学園のエピソードからつづられている。 目頭が熱くなる話、思わず噴き出す話、考え込んでしまう話などが満載である。 何処から読んでもよいから、折々に目を通してほしい書である。
 僕アホやない人間だ「あとがき」から

 止揚学園キャンプの夕食の時、井伊文子さんと、瀬上白鳥さんと、私の三人で雑談していた。
 「福井さん、一度本を書いたらどうですか」
 「僕の文章なんか、読んでくれる人がいるやろか」
 「大丈夫ですよ。福井さんの文章は面白いから、ぜひ書きなさいよ」
 この二人の温かい言葉に、励まされ、まとめたのが、この『僕アホやない、人間だ』という本である。
 この重い知恵おくれの子供と共に十年余り生活してきた私の人生の中に、共に笑い、苦しみ、喜び、悲しみ、赤裸々に人間としてぶつかってきた人達がいる。その中には、この対決の苦しさに重い知恵おくれの子供の教育から去った人もいる。何年も、この重い知恵おくれの子供と共に、ウンコやオシツコにまみれて歩んできた人もいる。
 しかし、その誰一人をとっても、一人の教育者としての、真剣な歩みがあったと思う。その人達の心の声を文字にし、この小さな生命とたたかいつづけてきた人間群の中から、「人間の心」をさぐってみた。
 現代は、だんだんと個人の命や心や、善意が無視され、政治や組織に圧迫され、全体が個を、ないがしろにしていく傾向になりつつあるように思える。その中で、私達は個の大切さを、人の生命の大切さを、叫びたいのである。
 「人間の心」が無視された時、そこに存在する人間は、人間のぬけがらなのである。
 さて、この原稿を書いていると、私を心から励ましてくださった、沢山の人達の顔が浮んでくる。同志社大学の緒方教授御夫妻を始め、多くの先生達、井伊夫人と御家族の皆様、この原稿を心をこめて指導して下さった瀬上白鳥さん、キリスト教の牧師と信徒の人達、友達、そして学園の職員、昔も今も何時も変わらず、温かい目で助けて下さっている有名無名の人達。
 今日の学園があるのは、この人達の温かい心に支えられたからである。
 ただ、ひとこと、
 「アリガトウゴザイマシタ」
 と心から申し上げたい。

 学園の裏山には栗の木があって、もう見事なイガグリが落ちていました。

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