ストリートビューは拡大するのに

 何かと話題を振りまいているGoogleのストリートビューが、さらに提供地域を拡大している。 2008 年 8 月に札幌、小樽、仙台、東京、千葉、さいたま、横浜、川崎、鎌倉、大阪、京都の 12 都市でサービスを開始し、2009 年 10 月には、名古屋エリア、沖縄エリア、南西諸島の一部エリア、長崎、佐世保エリア、旭川、富良野エリアに拡大、さらに2009 年 12 月には、福岡、広島、岡山、熊本、新潟にサービス拡大した。 《サービスエリアの確認》


 名古屋エリアの一部として、岐阜市の一部地域が対象エリアとなったと知ったから、茫猿の事務所の付近を覗いてみた。 駐車場の愛車を含めて確認できる我が町の様子を、モニターから眺めるというのも、また一興である。 行きつけの喫茶店、銀行、シェードがかかっているが、それらしき近所の店主などなど、やはり面白いものである。
 鑑定評価現地実査の事前確認にも役立ちそうだし、あとから周辺状況を再確認するにも好都合である。 それぞれのポジションで、かなり面白い使い方が発見できそうだ。 撮影の日付や時間帯が表示されていないから一概には言えないものの、目抜き通りを訪ねても通行車輌の割りには町に人影が少ないのが、とても気になります。
 しばらく前には、思いもよらなかった情報が無償で提供されるようになるという事象一つ取り上げてみても、先例に固執していたり、リスクテイクを忌避していると、世の中の潮流から置き去りにされると思わざるを得ない。 NSDI-PTだって、当初の目論見よりも可能性が大きくなっている。 「こんなことは、できるだろうか?できないだろう。」と考えているのは、鑑定業界だけであって、世間はとっくの昔に先へ進んでいるのだと実感させられる日々です。
 話は変わりますが、某月某日某所にて(差し障りが多いからあえてボカシますが)、こんな指摘を受けました。
 話は悉皆調査原始データに関連することである。 今年度より取引情報原始データの一部開示実験が始まっていますが、一般の鑑定協会・会員には一万分の一地図に地点をマークした図面のみ開示されるという状況で、しかも回覧後即座に回収という厳しさです。 元をただせば法務局で一般に開示されているデータであるというのにです。
 とはいえ、法的にはデータベース化されることにより、個人情報保護法の対象となっていることは百も承知ですが、鑑定士は不動産鑑定法その他の法律により厳しい守秘義務が課せられているにもかかわらず、本質的には開示が認められて然るべきデータを開示しないと云うことに強い疑念をもって「なぜ一般会員に開示しないのか?」と尋ねました。
 その回答は驚くべきものでありました。 「あなた方の守秘義務遵守姿勢に疑問があり、 あなた方を信用、あるいは信頼できないから。」というものです。 この暴言回答は自己矛盾を起こしています。 信用・信頼できない鑑定協会会員に悉皆調査の委託を行っておきながら、「あなた方を信用・信頼できない。」とは、なんたる言い草かと全身に血が逆流する思いでした。 ところが、同席していた多くの会員は、この侮辱を受けても平然としたものです。 茫猿は、よほど席を立とうかと思いましたが、そのように見られるには見られるだけの理由も思い当たることから自制しましたが、今もなんとも情けない哀しい思いです。
 この原始データを法務省からの受け取りを開始した際に、多分、双方の局長間で交わした覚え書きには、「取引価格情報提供制度の一環として照会調査の原簿として利用する。それ以外には利用しない。」といった類の一項が挿入されているのだろうと推量はできます。 だから管理者は開示について神経質なのだろうと推察します。 でもこの覚書条項が問題なのであり、取引価格情報提供制度の成果を高めるためにも、原始情報の開示は必須であろうと考えます。
 であるにことかいて、「君達に信用をおけないから!」とは、なんたる暴言、それに甘んじる同輩達の意気地無さ、それでも暴言者も同輩達も責められません。 茫猿だって、真正面から抗議することもできずに、こんなところで匿名記事を書いて憂さを晴らしているのですから。 つくづく、取引価格情報提供制度や”地価公示スキームによるところの悉皆調査”といったスキーム諸々の脆さ危うさ、ガラス細工ぶりを思わされます。 取引価格情報提供制度への鑑定士の関与と社会への鑑定士の情報提供をディファクトスタンダードに早くしなければと思うのです。 REA-NETとNSDI-PTは、そのための大きな基盤造りなのです。

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