FaceBook清水ゼミ誕生

昨23日は、朝十時から夕刻六時まで、鑑定業界と御縁の深い清水教授の統計学入門講義を聴講する。​ノートPC片手に七十目前の手習いである。入門講義とは云え、大学の学生向けと同程度の内容なのである。 教授の言によれば、これで​百万件取引データの解析もOKという高度さなのである。 最初はとても最​後までは耐えられないだろうと思ったが、聞き通すことができた自​分に感心すると同時に、清水教授の講義の巧みさに改めて敬服する​。
カナダ移住準備で超多忙な中、岐阜までお越し頂いた教授に感謝​致します。


午前の講義は統計学概論である。以前に独学してつまづいた語感が何やら気分悪い「偏差」にからむモヤモヤが先ず氷解した。あとは乾いた砂地に水が染み込むようと云えば少し大袈裟かもしれないが、決してそんなことはない。 襲ってくる睡魔と闘いながら、一ヶ月先輩の畏友赤堀氏と二人の超年長組は若手に遅れを取るまいと気張ったのである。 学ぶに遅いということは無しと云うが、これ以上は無理だろうなと納得してもいる。
これは茫猿の持論であるが、どれほど統計解析ツールに習熟しても、標本データであれ全数データであれ、解析対象の元データそのものに信頼性が欠けていれば結果は自ずと見えている。また処理方法に恣意が介在しても結果は同様である。プロが心しなければならないのは、解析ツールに習熟するのは当然としても、それ以前にデータ自体の規範性というか、客観性が確保されているかどうかを確認できる目を養うことだと思っている。
解析結果だけを鵜呑みにするのではなく、標本データの分布状況、偏在性の有無やその程度、解析アイテムの妥当性、カテゴリー区分の妥当性等々、プロの目が要求される場面は多いと考えている。ストレートな表現をすれば、解析の工程にバイアスがかかっていないかを判断できるのはその分野のプロの仕事であろうと考えている。
例えば通常は排除対象とされる異常値についても、本当に異常値なのか、それも先導値なのかという判断を誤れば、解析結果は無意味なものとなってしまうのである。
清水教授が講義の冒頭に解説された「Art & Science」という表現がその真髄を表していると考える。統計解析といえども仮説を立てた上での分析であり、結果から仮説の妥当性を判断できる力が求められるのであろうし、検証に耐えうる分析工程の客観性や妥当性も要求されるであろうと考える。 統計解析を揶揄しているのでは決してないが、能力が高く邪心が大きい解析者にかかれば、統計表現は嘘を真に変えるという話も一面の真実なのである。
・Aet:人間的な判断:鑑定評価固有の技術並びに判断力
・Science:恣意性を客観的に排除した解析力

ご講義の詳しいレジュメ、資料その他は教授が自らのサイトに掲載されていますから、ご関心のある方は訪れてみて下さい。 講義終了時に、司会者が何か言えと突然の指名をくれたので、教授や講義参加者数人もアカウントを開いているFaceBookを紹介し、講義を受けた五十名余にも早くアカウントを開くようお勧めした。 FaceBookには先ほどFB清水ゼミを開設した。 教授は八月早々にカナダへ渡航されて、ブリティッシュ・コロンビア大学で客員教授として講義や研究にあたられる。《FB清水ゼミに関心のある方は、FBアカウントを開いて、茫猿までメッセージをお寄せ下さい。》
FB清水ゼミ・バーチャル教室では不動産統計学を始め、教授が研究を続けられている不動産経済学や都市環境政策についても関わって頂くようお願い申し上げたら、快く承知していただいた。 もちろん、お時間の許す範囲であり、ゼミ生の議論を見守って頂き、時折に示唆や方向支持をお願いするだけで十分と考えている。 教授がカナダ赴任中に、ツアーを組んで現地セミナーが開けたら楽しいだろうなと、昨夜のアルコールが波打っている茫猿の空脳で考えているところである。 老いて学ぶ楽しさを味わっているところでもある。
FB清水ゼミは難しい話をする場所ではなく(難しい話に付いて行けないからと云って避けるわけではございません)、不動産データの解析​に統計ツールを活用しようと云う目標のもとで、ワイワイガヤガヤ​が目的です。 清水教授はカナダ在住でお忙しいですから、時折、​論議にアドバイスいただいたり、テーマ設定を頂いたりできればと​思っています。

折しも、新スキームが大きく変わろうとしています。 そのなか​で事例収集スキームの有り様だけに目を奪われることなく、収集データの有​り様(データのアイテム、カテゴリー)から始まって、収集データの活用、さらには社会向けの発信の有り様​などに議論が展開できれば「とてもいいな」と考えています。
夢はでっかく、歩みは着実に(時に遅々として)が、提案者のモ​ットーです。
また、ゼミ参加者は老若男女を問いませんが、旧世代は統計解析で出来そうなことを考えて提唱し、環境を整える​人たち、茫猿などはその世代のさらに旧々世代でしょうが。 この世代​は概論があらまし理解できておればよいのでありましょう。
新世代は、実際にオペレーションを担う世​代と考えます。 でも統計解析の専門家になる必要はなくて、鑑定のプロとして統計解析の素養があればよいのだと​考えます。
そこから先は清水氏など統計解析の専門家の出番であり​、彼らのアドバイスが直ぐに理解できるだけの素養があれ​ば良いと考えています。
講義終了後は、渡航準備で忙しい教授をお見送りしたあと、沖縄から、福岡から、​佐賀から、新潟から、滋賀から、三重から参加いただいた方々に加え、地元有志で講義反​省会を名目に懇親会を企画したら、多数の参加をいただき、帰宅したのは午前二時だった。 ​三十代四十代の息子みたいな鑑定士方と深夜まで付き合うことのできた、自分​の体力とアルコール耐性も見直した。 《 イヤハヤ (*_*) 》
それにつけても、何度訪れても いつも心地良い岐阜・柳ヶ瀬のバー・サフランである。 格調高い本格バーであり、ピッチャーで供されるハーフ&ハーフは当然として、食い物はうまいし、この夜利用した二階ボックス席のソファーは心地良い。ボックス席といっても侍ってくれる女性は皆無である、なんといっても、今や絶滅危惧種に近い本格バー(パブといっても良いだろう)なのである。 不粋なカラオケは無いし、男どもが時に女友達もまじえて、飲み食べ気兼ねなく談笑できる、今の柳ヶ瀬では希有なスポットである。
清水教授の講義風景です。 ノートPC持参、事前の設定準備と通常の研修よりもハードルが高いにもかかわらず、講義参加者は岐阜県内十数名、全国の鑑定士諸君が四十数名であった。 担当の研修委員長は県外対象ボランテイアみたいだとぼやいていた。 士協会会長は若手の参加が少なすぎると嘆いていた。 それでも、ものは考えようで、不動産統計のコアを担えるであろう会員が県内に十名くらい(筆者と赤堀氏は無理、門前の小僧程度であろう。赤堀さんご無礼)、県外に数十名誕生して不動産センサスの興隆にも努力してくれるであろうと思えば、佳いのである。

東京一泊二日に続く昨夜の散財で財布は秋風が吹いている、無職渡世の身には浸みる空っ風である。 しばらくはおとなしくしていたいのだが、来週も再来週も散財を予感させる出張が続くのである。 宝くじでも買うか!!!!(~o~)

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FaceBook清水ゼミ誕生 への2件のフィードバック

  1. 阿部祐一郎 のコメント:

    23日の研修に参加させていただいた徳島県の阿部と申します。
    本会の研修委員会で、K先生にはお世話になっております。
    以前、同委員会の席で、K先生から今回の研修を計画しているとの紹介があり、その時から是非参加しなければ!!と思っておりました。
    これまで統計分析は若干かじる程度に行っていたものの、あくまで独学でしかなかったため、まさに「モヤモヤが先ず氷解」し、「あとは乾いた砂地に水が染み込むよう」でした。
    また私が日頃考えていたことと同じ事を、清水先生から「Art & Science」と直接解説をいただいたため、非常にスッキリしました。
    近頃取引事例の公開で少々騒ぎになっていますが、(私のような34才の若輩者が言って良いのかどうかわかりませんが)私は個人的にそれよりもっと根本的な問題『このままでは制度そのもののに対する社会的な信頼性がなくなってしまうのでは?』ということに、強い危機感を持っております。
    そもそも鑑定士は社会に対して発信をしていかなければならない、またそれができる(世間のスピードに対応した)実力をもっと磨いていかなくてはならない、と。
    御県士協会でこのような企画をされたのは、何かしら同じようなお考えがあるためではないかと思います(四国からは私一人だったのが寂しい限りですが)。
    本当は、懇親会にも参加させていただき、色々と直接ご意見を賜りたかったところですが、どうしても参加できず残念でした。
    FBアカウント開設しました。
    差し出がましいような気もしますが、FB清水ゼミ是非参加させていただければと存じます(ついていけるかどうか分かりませんが)。
    よろしくお願い申しあげます。

  2. bouen のコメント:

     『鄙からの発信』に掲載する「茫猿提案」を御覧頂ければと存じます。

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