新スキーム改善他(於・理事懇談会)

前号記事にて紹介したとおり、理事昼食会並びに理事会終了後の夕食会にて、理事有志による懇談・意見交換が行われました。 そこで話題となった幾つかの事柄について記事にしておきます。
話題は、「事業実績報告のWeb公開について」、「依頼者プレッシャー問題について」、「鑑定報酬について異常とも云える低廉化について並びに見積もり競争入札の横行について」、「新スキーム改善の方向について」などです。


一.事業実績報告のWeb公開について
不動産鑑定業者の事業実績報告については、既報のとおり大臣登録業者については既にWeb公開されていますが、次年度からは知事登録業者についてもWeb公開が予定されています。 これら事業実績(受託評価件数、受託報酬額、在籍資格者数)のWeb公開が進められるてゆくことは、事業規模による鑑定業者の序列化並びに選別につながらないかと懸念されます。
執行部並びに協会事務局は、このWeb公開問題について主務官庁からどのようなアナウンスを受けていたのか、またどうのような意見具申を行ったのかが話題になりました。理事会に於ける執行部答弁は以下の通りです。 「本日の理事質問を受けるまで開示の実態は承知していませんでした。また、主務管庁からの示唆は受けておりません。」
唖然とするほどの情報収集能力の欠如であり、問題認識の低さが問われます。 本来的に開示を前提としての事業実績報告徴収ではありますが、従来は窓口開示でしたが、それがWeb開示となれば、その影響力は格段の違いがあります。 然るに、なんの事前通告も無しに窓口開示からWeb開示に変更され、その開示方法についても何の意見具申もしていないと云うことについては、その責任が問われて然るべきと考えられますが、執行部の問題認識はとても低いようです。
穿ちすぎた見方かもしれませんが、執行部を構成する役員の多くは大臣登録業者であり、既に開示されてしまっているから、今さら何をかいわんやということでしょう。 知事登録業者であっっても、域内では実績量上位に位置する方々ばかりでしょうから、Web開示の影響は今後の事業活動にとってプラスに作用するとお考えなのかもしれません。 つまり実績量上位業者にとってのWeb開示は、所管庁による後押し広報と云えるものでしょうが、下位業者にとっては、業務受託の上位寡占化が進むかもしれない悪夢でしょう。 零細業者が多い知事登録業者の開示方法は再検討が必要であり、かつ所管庁に対して然るべき申し入れが為されるべきでしょう。
そうでなくとも、鑑定報酬の競争入札等が横行し依頼者プレッシャー問題も認められ、報酬額のみが競争にさらされ、鑑定評価の質的な競争が等閑になっているという憂うべき実情があるのです。 執行部の問題意識の低さは、改めて問い直されなければなりません。
二.依頼者プレッシャー問題について
「依頼者プレッシャー」という文言が協会公文書に数多く記載されること自体を嘆くという意見がございました。 依頼者からの報酬を得て業務を遂行する専門職業家として、依頼者の依頼目的その他を忖度することは業制度発足以来、常に付きまとっていることです。 しかし、そのような依頼者の意向に左右されることなく自らの業務を適正的確に行うのは当然すぎるほど当然のことである。 いまさらに依頼者プレッシャーなどという文言が横行することを恥ずかしく思う。
この問題の本質は、広義に云えば社会性や公益性が高い鑑定評価について、質的なコンペティションの場が、未だに設けられていないし設けようとする努力も払われていないことにある。 レビュー制度などの確立が急務であろう。
三.鑑定報酬の低廉化並びに見積り競争入札の横行について
近畿会では、鑑定評価の委託発注に関連して行われようとしている「競争入札の中止申し入れ文書」を関係機関に提出すると伺いました。 この文書には関係士協会会長、地域会会長並びに鑑定協会会長も連署する方向で検討中と伺いました。 同時に低廉入札は独禁法に規定する不当廉価取引行為であるとする申し入れも検討中と伺っています。
四.新スキーム改善の方向について
大枠として、第一次改善案の方向性に異論はないが、長年の慣行を改めるに性急過ぎはしないか。 地元会員の理解を深めるためには今暫くの時間がほしい。特に直接新スキーム業務を遂行する地価公示評価員の理解を深めるためには、地価公示分科会等における丁寧な事情説明が求められる。
また、全国二十余の士協会ではRea Netによる事例資料等閲覧が実施されており、特段の問題も事故もなく現在に至っている。 このRea Net(Rea Jirei)による閲覧開示利用に何か問題があるのか、問題があるとすれば改善を図ればよいのであり、新システムを構築しなければならない理由が理解できないという意見を多く伺いました。
このRea Net利用の継続を否定し新システムを構築する理由については、茫猿も未だに判然としませんし、その妥当な理由について説明を受けていません。 「Rea Net」には問題があるとか、所管庁の理解が得がたいなどという理由にもならない説明しか受けていません。 今に至っても、Rea Netを構築予定の新システムの方向へ改善すればこと足りるとも考えていますし、Rea Mapとの連繋を考えればRea Netの改良を検討してもよかろうと考えます。 また両者の併存も有り得るのではとも考えます。 いずれかの機会に、この問題を糺してみたいと考えています。
《付記》 茫猿はRea Net構築に深く関与し、構築後はRea Map構築等に関与しています。 ですから「構築関与者としてRea Netに必要以上に拘る」と見られかねない発言は控えてきました。 でも現にRea Netを利用されている士協会関係者からの疑問には適切にお応えしなければならないと考えています。 こうも言われたのです「あなたは、Rea Net構築提唱者であり、問題点があるとすれば一番良く理解しているはずだ。そのあなたが、なぜRea Netを捨てるのか、聞かせてほしい。」 茫猿はこの質問にお答えすることができませんでした。

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