その後の新スキーム改善

2012.04.25 最後の新スキーム改善委・企画小委が開催されました。
特段の議題は無く、委員長並びに担当副会長より、一年間に亘る委員各位の審議協力について謝意が述べられ、次いで04.09開催の士協会会長調整会議並びに翌日開催の理事会報告が行われ、本日をもって企画小委員会は発展的に解消すること、H24年度は組織を新たに組成して、04.10理事会において承認された第一次改善案の実施に向けて取り組んでゆく決意が表明されました。

第一次改善案の実施取り組み体制については、その原案が提示されました。 この原案は業務執行理事会(常務理事会)の承認を経てから実施に着手するものであるが、既に人選内示等は進められつつあるようで、連休明け早々には新スキーム改善特別委員会のH24年度組織再編人事が公表されるのであろうと思われます。 任務を終了した企画小委員会に代わって、新たに組成される小委員会は、システム開発小委員会、士協会閲覧料検証小委員会、集計分析利用小委員会などである。 他にも関連する常設委員会に検討審議をもとめる事項なども提示されました。
以上の詳細については、このファイル(PDF)をご覧下さい。

以上をもって、新スキーム改善は新たな実施段階へと移行するのであるが、ここに一つの問題が残されているのである。 改善策が稼働するまでの、すなわち新しい閲覧管理システムが稼働するまでのおおよそ一年余ないし二年間という過渡期間における安全管理を如何に行うかという問題である。

その一つは、一次改善案にも記載されている「閲覧システムの委託事務の実施にあたって士協会は、各種法令との適合性を留意のうえ、事務局の端末を他士協会会員の利用に供するなどの措置を講じ、閲覧システムを他士協会会員に対しても提供する。」に関わる事項である。
『鄙からの発信』はかねてから、事務局端末利用等の閲覧制限や閲覧料格差は関係法規が示す差別的取引行為に抵触する畏れがあることを指摘してきた。 この問題は現時点においても克服されていず、畏れを内在させたままに推移しているのである。

もう一つは、「平成24年地価公示業務実施についての運用指針」が示している「分科会を越えるる事例交換(閲覧)禁止」事項の存在である。 当該規定を字句どおりに解釈すれば、12.04.01以降においては、いわゆる閲覧用五次データの存在は許され得ないことである。

両事項は、従来からの経緯や、代替措置実施の困難さなどを併せて考量すれば、H23年度における閲覧管理体制をH24年度も継続することやむなしとも考えられる。 しかし、2012.04.01より新公益法人に移行した鑑定士協会連合会が、関連法規等に抵触する疑念を抱きつつ事業を継続することは好ましくないことである。 ましてや自らが定める運用指針に違背する行為を容認することなどはあってはならないことと考えるのである。 自ら定める運用指針を自らが無視する行為は、新公益法人としての信頼性を自ら棄却する行為に他ならないと知るべきである。

先に「代替措置実施の困難さ」と述べましたが、この件について『鄙からの発信』は第289回理事会において一つの提案を示しています。 この提案の詳細背景については「2012.04.10付帯決議提案の背景」に述べるとおりです。 連合会は前述する危惧される事項二つについて、士協会並びに会員に注意喚起を行うべきであり、次善の策ではあるものの直ちに実行可能な代替措置も存在していることを伝達すべきであろうと考えます。

「新スキーム改善への取組体制(h24.04.20)」は、この過渡期における代替措置に関しては、情報安全活用委員会が取り組む事項として、「当面必要となる取引事例の安全管理と閲覧の透明性確保を行う。」と記しています。 この字句は情報安全活用委員会へ過渡期安全管理措置の実施について全権を委譲したとも読めますし、改善特別委員会自らの責任を転嫁したとも読めます。 このあたりが、近く開催されるであろう業務執行理事会(常務理事会)にて、如何様に整理されるのか注目したいところです。 同時に4月理事会では審議保留とされた「2012.04.10付帯決議提案」について、12.05.22理事会において如何様に処理されるのかも注目しておきたいところです。

《新スキームという呼称に関わる新たな提案》
一連の問題の背景には「新スキーム」という意味不明な、あるいは誤解を招く呼称を未だに使用していることにもあると考えます。 「新スキーム」の実態は「地価公示スキームによる取引価格情報提供制度への協力」であり、実態として「取引価格情報提供制度の情報詳細調査等実務を鑑定士が担うこと」であります。 そして、担うことの代償として得られる取引価格情報を公的土地評価をはじめ鑑定評価並びに広汎な市場資料として利活用してゆくことにあろうと考えます。

そこに存在する取引事例資料の根幹は、「いわゆる三次データ」にあることも言うまでもないことでしょう。 であればこそ今や、「市場資料」あるいは「市場データ」などと呼称すべきであり、その定義は「取引価格情報提供制度に由来する事例資料、並びに地価公示・地価調査事業に由来する(賃貸・収益・建設を含む)事例資料等、さらにはWeb市場から収集される事例資料、独自収集事例資料」として、総じて個人情報保護法ガイドラインに即した安全管理措置がもとめられる市場資料と位置付けるべきであろうと考えます。

《リーガル・チェックについて》
『鄙からの発信』はかねてから、「 事務局端末利用等の閲覧制限や閲覧料格差は関係法規が示す差別的取引行為に抵触する畏れがあること」を指摘し、速やかに然るべきリーガルチェックを受けるよう理事会その他において提案してきました。 この件については、既に何らかのリーガルレポートが存在するようです。 しかし当該リポートの開示は行われておりません。つい最近まではその存在すら秘匿されていました。 僅かに閲覧を希望すれば、連合会事務局において閲覧が許されるようですが、複写・撮影は禁止されており、他言無用の指示も受けます。 このあたりは、不用意な情報開示は無用の混乱を招きかねないという配慮に基づくもののようですが、情報の秘匿が疑念や無用の不信感を増幅させているということにも気付いてほしいと思います。  新公益法人連合会へ移行しても、「民は之に由らしむべし。之を知らしむべからず。という執行部体質には些かの変化も無いようです。

《参考:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
第三章 事業者団体
第八条  事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。
一  一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。
二  第六条に規定する国際的協定又は国際的契約をすること。
三  一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。
四  構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。以下同じ。)の機能又は活動を不当に制限すること。
五  事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること。

以上の詳細については、「公正取引委員会:独占禁止法」サイトのなかの「よくある質問コーナー」、Q20、 Q21、Q22をご覧下さい。 新公益法人鑑定士協会連合会が排除措置命令を受けるリスクは低かろうと考えますが、「警告」や「注意」処分を受ける蓋然性は否定できないと『鄙からの発信』は考えます。 何よりも調査を受けること自体が既に新公益法人の鼎の軽重を問われることであろうと考えます。

《今ふたたび 過去記事》
鑑定士の鮮度
鑑定士の鮮度-2
事例資料:A案開示の日?

この濃淡深浅のグラデーションがたまらなく好きなのです。

 

 

関連の記事

カテゴリー: 茫猿の吠える日々, 鑑定協会 タグ: パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です