第二次新スキーム改善 §Ⅲ

第二次新スキーム改善 §Ⅲ 《茫猿の懸念》
今年度当初において、新スキーム改善問題は第289理事会において新スキーム第一次改善案が承認され、次いで第290理事会において新スキーム第一次改善案の実施に伴う2012年度事業計画案が承認されたことから、残りは定例総会で事業計画案の承認を受ける手続きを残すのみであり、総論的には一段落する予定であった。  実際に、2012.06.05開催の第3回新スキーム改善特別委員会では、副委員長の指名、さらに新たに三つの小委員会を設け、システム開発、士協会閲覧料検証、集計分析・利用について、改善案を稼働させてゆく作業に入っていた。 07.23開催の第4回委員会では、それら三小委員会の進捗状況が報告されており、改善作業は加速しつつあったのである。

ところが、この間に奇妙な委員長交代人事が行われているのである。
2012.06.19第291回理事会では新スキーム改善特別委員会の委員長を小川副会長から緒方会長に変更する人事案が承認されている。 2011年度の改善特別委員会委員長は、後藤 計氏が務めていたのであるが、旧社団法人日本不動産鑑定協会が公益社団法人に移行すると時を同じくして小川副会長に交替していたのである。

一連の人事のうち、後藤 計氏が委員長を交代する背景はこういうことである。 旧社団法人は委員長が理事であることを求めてはいなかったが、新公益法人の特別委員会規程第 2 条は、「委員長は委員会を総理し、その選任に際しては、業務執行理事又は理事の中から理事会の承認を得て、会長が委嘱する。」と定めている。 この委員会規程にしたがって、後藤氏は小川氏と交替し現在は副委員長を務めているのである。

これは奇妙なことというよりも、不思議なことである。 なぜなら、委員会規程は2012年になってから制定されたものではないからである。 正確な日時は手許に資料が見あたらないが、2010年から2011年にかけて、公益社団法人定款並びに各種規程は移行承認手続き申請の添付資料として提出されている。 だから関連役員や事務局所管課は、委員会規程において、委員長は理事であることが条件とされることは、十分承知していたはずである。 この件が一年近くものあいだ、浮上しなかったことは、新スキーム改善問題の混迷とも迷走とも云える事態を象徴しているように思えるのである。

執行部のある種の無関心さや事務局の関連所管課の怠慢を云うのは易いことである。 しかし、茫猿は執行部の意志の疎通や情報の共有に、なにか欠けるものがありはしないかと考えるのであり、最近十年間続いているコストカットによる正規職員削減などによる事務局の能力低下が露呈した一件ではないかと考えている。 事務局能力の低下に関して云えば、ひたすら経費削減に努めたことにより、頻繁に所管庁や関連機関と意思の疎通を図り、情報を収集する能力が低下してはいないかと危惧するのである。

対人的な情報収集に際して意外と欠かせないものは、少額交通費や喫茶代や軽食代などの庶務雑費である。少額な支払にその都度、領収書を請求することなどできないことも、よく理解できることである。 そういった情報収集に関わる配慮が乏しくなっていたのではと、懸念するのである。
本来からすれば、担当役員が関係機関と面談する際には、事務局を同席させてメモを取らせるのは常識であるが、そのようなことも配慮されないことが多いと聞いている。 これは、事務局正規職員の縮減が反映していると考えるが、如何なものであろうか。

なお、小川副会長から緒方会長へと新スキーム改善特別委員長が交替した背景は承知していない。 地価公示関連業務が大きな山場を迎え多忙を極めることが予想されるからとも漏れ聞いているが、実は「地価公示業務変革の山場」すなわち、「新スキーム改善の山場」でもあったのである。 加速しつつあった第一次案改善作業が停滞したのも此の頃(7月下旬?)である。
そして、第二次新スキーム改善 §Ⅱに記す、最近の経緯へと続くのである。

読者は埒もないことを長々と、と、お感じになるかもしれない。 しかし、茫猿は連合会の情報収集・分析能力の低下、事務局と執行部、並びに執行部内における意志の疎通が十全に機能していたかと懸念しているのである。 事例資料問題などは優先順位が低いと考える方もおられるが、茫猿は鑑定評価の基盤を揺るがす問題だと考えるし、優先順位は第一位であると考えている。

そのあたりは見解の相違としておくとしても、一年半も時間を費やして侃々諤々の議論をして到達した一次改善案である。 茫猿は同案にかろうじて合格点を付けた、その反映が289理事会及び290理事会における付帯決議案提案なのである。

新スキーム改善問題が浮上した昨年当初において、「業務執行理事会資料1-2:さらなる改善策とその背景」 の骨子は議論として存在していたのであるし、『鄙からの発信』は当初から安全管理の徹底と閲覧条件格差の解消を提唱してきたのである。 今さら死児の齢を数えても益無きことではあるが、今後を考える時の反面教師としなければ、また同じ轍を踏みかねないと懸念するのである。

《閑話休題》 蝉時雨は聞こえなくなり、虫の声もやや静かになってきた今日この頃は、百舌鳥の鳴き声がよく響くようになった。 百舌鳥や秋茜が山から里へ下りてきたのだ。 茫猿鄙里は秋満開が近くなっている。 本州横断が懸念されている台風17号は明朝から昼頃にかけて本州上陸が予想されている。 次男が住む瀬戸内海直撃は避けられそうだ。 鄙里も進路左側になりそうだといっても、安心するにはまだ早い。 930hpaなんて台風は化け物に近いだろう。 伊勢湾台風が濃尾平野を縦断したのは1959.09.26のことなのである。今夜は雨戸を立てて寝るとするか。

申し遅れましたが、たった今も、台風直撃下にある沖縄・奄美在住の各位にお見舞申し上げますとともに、被害が少ないことを祈念します。 そしてこれから台風進路にあたる太平洋沿岸諸地域の被害が少ないことを祈念します。

 

 

 

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