第二次新スキーム改善 §Ⅸ:(投稿)

第二次新スキーム改善 §Ⅸ:(不動産鑑定士・中田一氏からの投稿)
森島さんから紹介された資料の量は、私にとって、多過ぎましたので次の資料に絞って読みました。私の理解不足及び文章力の不足による皆さんの誤解を恐れずに、断片的な感想及び未熟な私見を述べさせていただきます。

<中田氏が読み込んだ資料>
「不動産流通市場活性化フォーラム」提言平成24 年6 月
※公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会 常務理事臼杵克久が委員として参加。
不動産流通市場における情報整備のあり方研究会 設置要綱
不動産流通市場における情報整備のあり方研究会委員名簿平成24年8月28日
④「不動産流通市場における情報整備のあり方研究会」中間とりまとめ
第2次スキーム改善§Ⅵ 鄙からの発信(森島信夫主宰)
⑥地価公示法
⑦不動産登記法及び登記手数料令

<不動産流通市場における情報整備のあり方の内容に関する感想>
(1)不景気対策として、宅建業界と(リフォーム)建築業界を救済する施策であるが、宅建業者のある程度の選別は、想定している。
(2)消費者保護のためというよりは、中古住宅の取引契約高を増やすため、買い手・発注者が決断しやすいように情報を提供する。 出したい情報・出したくない情報があり、宅建業者が間に入り、コントロールする可能性も否定できない。
(3)予算スケジュールから推測して、システムの基本的な構想・枠組みは既に出来上がっているだろう。「中間とりまとめ」からの大きな変更は予定していないだろう。
(4)担当部署の新たな権限を創設すると思われるが、情報に係る責任の所在は未だ明確にしていない。

公示価格に係る事務の所管は、土地・建設産業局地価調査課ですが、不動産流通市場における情報整備のあり方研究会の事務局は、不動産業課です。私が入手した資料の範囲では、この両課の関係及び取引価格事例についてのやり取りが分かりません。これの資料は何かありますでしょうか? 両課の力関係はどうでしょうか?、これは重要なことだと思います。

<第2次スキーム改善>
土地鑑定委員会が地価公示法に基づき選定した標準地の鑑定評価を、不動産鑑定士が行うにあたり、取引価格等の事例を収集します。この収集した事例は誰に帰属するかという点が重要な論点であると思います。
この事例収集は一般的に誰にでも可能なことなのでしょうか、あるいは土地鑑定委員会から命令を受け鑑定評価を行う鑑定士に限って可能なことなのでしょうか。またこれに係る費用は誰が負担しているのでしょうか。

まず、ネットで調べた範囲では、不動産の登記異動情報は一般に入手できるものではなさそうです。そして、取引価格等調査に対する回答は、はたしてデータを各都道府県の鑑定士協会が管理し、その閲覧は有料で行うことを承知したうえで取引当事者が行ったと理解しても良いものでしょうか。次に、登記異動情報及び記載事項の閲覧又は証明の交付の手数料については、鑑定士は負担していないと聞いています。おそらく、登記手数料令第19条(公務員が業務において請求する場合)による免除ではないかと思います。

これらを勘案すると、取引価格等の事例は土地鑑定委員会に帰属すると考えるべきではないでしょうか。 であれば、地価公示の調査に伴って入手した取引事例を鑑定士協会が管理し、さらに閲覧料を収入としているという現状についての適否は、土地鑑定委員会が、取引事例の管理を鑑定士協会に委託し、さらにこれによって収益を上げることを容認しているかという点に絞り込まれてきます。 おそらくここで、土地鑑定委員会から命令を受け鑑定評価を行った鑑定士からは、「事例は我々が汗をかいて調査したものである。 さらに、地価公示法第25条第2項に基づく旅費及び報酬は不十分であり、これを補うものとして取引価格等の事例の閲覧から生ずる対価を得ている。」という反論が上がることでしょう。

しかし、問題は鑑定士同志が納得するかではなく、会計検査院及び国民がこれで納得するかです。いずれにせよ、問題となって過剰反応される前に、問題点を整理して、説明を用意しておくのが賢明であると思います。私が、短絡的に思いつく案は、鑑定士全員が土地鑑定委員会から命令を受け鑑定評価を行う又は、命令を辞退した鑑定士は調整金を負担したうえで、全ての鑑定士は事例を閲覧するときには等しく必要経費を負担する。という内容で土地鑑定委員会から承認を得て管理の委託を受けるというようなものです。
もっと良い方策はあると思いますが、重要なことは、繰り返しになりますが、鑑定協会内部で同意を得られるかということよりも、土地鑑定委員会で容認される内容か及び対外的に説明できる構図かということであると思います。  (以上)

※茫猿からの紹介  中田氏は不動産鑑定士の資格をお持ちであり、業界の友人との交流は多くお持ちですが、鑑定業務とはほぼ無関係な業界にお勤めの方です。

 

 

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