比準表追伸

【茫猿遠吠・・比準表追伸・・01.09.16】
 比準表について記事を書きましたところ、読者H.K氏より、ご意見と
ご指摘を頂きました。ご了承を得ましたので、H.K氏に感謝しつつ掲載
します。 >部分は茫猿の記事引用です。
>  建前論的には、地価形成のメカニズムを分析することにより比準
> 表を構成し、その比準表を用いて地価を試算する社会科学的に合理
> 的なツールと表現できる。
 そうですね。
比準表が地価を解明する合理的なツールであるのなら、それを用いれ
ば、鑑定士でなくとも地価を求めることができてしまう。
だから今まで鑑定士は、そういった自分達の手の内を明かしたくなか
ったのだと思います。  でも、現実には、
>  本音論的に云えば、鑑定士の経験と判断により判定する地価につ
> いて、自分以外の第三者にその判断の根拠を論理的に説明する為の
> ツールといえる。真実はこの両者の中間に存在するのかもしれませ
> んが。
のような状況だと思うので、
 実際は、素人でも簡単に合理地価を求められるツールとしての比準
表など作れないし、ゆえに比準表を公開することが、鑑定士の首を締
めることにはならないでしょう。
>  たとえば、重回帰分析、数量化二類分析、この辺りはまだ理解で
> きるかもしれませんが、ヘドニク分析や高等数学を学ばずして建前
> 論に云う比準表を、構成し理解できるでしょうか。
 完成した比準表を使うことは誰にも出来ることですが、
その比準表を作るためには、上記のような知識が必要です。
比準表を公開しても鑑定士が「商売上がったり」にならないためには、
論理的な比準表を自ら作れる能力を備える必要があります。
まさに、そこが、分かれ目となるでしょう。
※ちなみに、比準表に用いる数量化理論は、二類ではなく、
一類だと思います。
重回帰分析が、量的データをもとに数値としての結果を推定するのに対し、
数量化一類は、質的データをもとに数値としての結果を推定する方法です。
数量化二類は、質的データをもとに属性(質)としての結果を推定する方法です。
>  また、価格形成要因には通常の方法では数値化が非常に困難な
> 要因が多くあり、実のところ価格はそれらの説明しがたい要因で
> 構成されているのだという説もある。
 地価を関数で表現すれば、
説明変数は、実は無数にあるはずです。
方程式を解く為には、変数の数と同じ数だけの式が必要なので、
無数に変数のある方程式の解を求めることはできません。
 しかし、本来変数が無数にあって解けないはずの方程式を、
有限個の変数で近似してしまおうというのが、回帰分析等の手法です。
つまり、そこでは、どのような説明変数を採用すべきか、
という点に専門知識が要求されるのであり、
その点は、単に数学が得意な統計学者ではダメだということです。
そこにこそ、鑑定士の存在意義があるのです。
 なお、「ヘドニック法」とは、
地価等、社会現象として現れている数値の形成メカニズムを探るため、
関連すると思われる様々なデータを説明変数とする関数を推定し、
それぞれの説明変数の影響の度合いを計測するテクニックを指す
一般的な呼称です。
その具体的手法として、重回帰分析や数量化理論などが用いられます。

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