総会答弁

【茫猿遠吠・・総会答弁・・04.06.18】
いささか、些事に拘りすぎました。本題に入りたいと思います。


1.士法制定について
 会長答弁の骨子は、「鑑定法改正とか士法制定は膨大な難事であり、多大なエネルギーが必要である。だからといってやらないと云うわけではない。会員の総意があり、会員の支援があれば士法制定に努力する。」メモによれば、大意は上記のようであったと記憶します。
 一言で云えば、
委任状1900通を背景とした開き直りとしか受け取れない答弁でした。
 会員の総意が欲しいという答弁は、答弁になっていません。鑑定士法について会長はどうのようにお考えかを問うているのですから、会長として、いいえ鑑定士界のリーダーとして、ご自身の見識をお示し頂きたいのです。多くの困難が予想されるなどということは自明のことであり、士法制定を求めなければいけないのか、必要はないのかについて、会長ご自身の見識をお尋ねしているのです。
 勿論のこと、「一身を賭して士法を目指したい」などという御答弁が頂けるなどとは思ってもいませんでした。提案された事業報告案や事業計画案をみれば、どこにもそのような考えは示されていないのですから、会長にそのような存念はないものと思います。
 それでも「会員の総意があれば」という答弁は、一つの言質であろうと考えます。士法制定に賛意を示される会員は、協会宛にE-Maillやファクシミリを送って、とりあえずは会員の意向を示したら如何でしょうか。それとも関東甲信会のように、各単位会で会員アンケートを行うという方法もありましょう。士法制定を求める不動産鑑定士有志でもって、全会員アンケートを実施するという方法も検討の価値があると思います。 会員名簿ファイルの入手が必要ですが、往復葉書と印刷代を併せて50万円程度を捻出すれば、全会員アンケートの実施は可能です。
 この辺りは、市町村首長や議会が住民投票を認めたがらない、或いは実施を渋る状況にたいへん相似します。つまり、会長副会長を含めて理事会構成員は選挙を経て会員の総意を表す存在であり、代議権を行使する存在であります。理事諸氏と会員の総意に乖離が生じているとすれば、次期選挙まで待つか、理事諸氏に翻意を求めなければなりません。
 それよりも何よりも、何故今、士法なのかについて、会員の多数が認識を共有する必要があります。士法制定の困難さは、その次の問題であり、我々が待ち望んでいるという意思表示がまず一番に必要なことです。
そして、既に茫猿が『鄙からの発信』で記事にしているような「士法制定に伴う利害得失」を明らかにして会員に示すべきでしょう。 会長や役員諸氏が士法制定など無用のこととお考えであるのなら、それはれで一つの見識であろうと考えます。同時に臆することなく、詭弁を弄したりせずに、「現行法で必要にして十分」と申されれば、それで十分なのです。
2.ADR問題について
 会長並びに企画委員長答弁の骨子は、ADR参入は現行体制で十分可能である。法務省の内意も伺っているというものでした。
しかし、論点はADR参入の可否ではありません。ADR機関の設置は現行の鑑定法や現行社団法人で十分に可能です。このことは、『鄙からの発信』で再三にわたって説明している通りです。 問題は認証機関に認証されるか否かであり、もっとも重要なのは社会に認知されるための外形的基準を満たしているか、否かということであります。であるからこそ、他団体を軽々に誹謗することなどは資格者団体としての最低限のマナーもわきまえていないと指摘したのです。
 茫猿質問に対する会長や担当役員氏の答弁は、情緒的背景説明や心情論に終始しました。伺いを立てたとする法務省担当官見解も文書回答を得たものではなく、真意も客観性も定かではありません。せめて、文書にて照会するくらいのことはできないのでしょうか。
 できれば、ADR検討会委員のどなたかに、不動産鑑定士は隣接法律専門職者であり、(社)日本不動産鑑定協会は隣接法律専門職者団体として認知できるという確認発言をお願いし、議事録に残して頂くことを考えられないのでしょうか。その程度のロビー活動は行うべきであろうと考えます。
 法務省や司法改革推進本部が、ADRに関して不動産鑑定士が参画することの重要性を認識しているのであれば、或いは隣接法律専門職者団体の過半が不動産鑑定士も隣接法律専門職者であり、鑑定協会も隣接法律専門職者団体の一つであると認識されているのであれば、ADR検討会にオブザーバーとして呼ばれないなどはあり得ないことです。
 弁護士会や司法書士会などが設置する可能性が認められる不動産に関する紛争処理機関の下部機構として、各地の不動産鑑定士は個別にオブザーバー参加を求められる可能性があるのかもしれません。何も風下に立つのが嫌だなどと、見栄を言っているのではありません。それはそれで、いいのかもしれません。
 ことは不動産鑑定士としての見識と矜持の問題であろうと考えます。なによりも社会への貫徹する責任感の有無が問われるのであると考えます。そして総合法律支援法第三条に規定する情報提供に関して、過疎地帯におかれる危険性も考えておかなければならないでしょう。
 また、幾つかの問に対する答弁の決め手は、ADR基本法が未制定の段階では何とも申し上げられないという一点に終始されました。しかし、ADR検討会は既に30回余の審議を重ねて問題点の多くは浮き彫りにされています。
 同時に、隣接法律専門職者としての不動産鑑定士がどのような準備を行わなければならないのかも明らかになりつつあります。
 ADR基本法制定後に行動を開始するというのは、それこそ遅きに失するのであり、明らかになった論点をクリアできるだけの準備を進める時期に、既に在りと考えるのは茫猿だけでしょうか。
 この原稿をタイプしている段階では、6.10開催のADR検討会議事録や配付資料は首相官邸サイトにアップロードされていません。続々と開示される検討会議事録からは、これからも眼が離せない状況にあります。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
 ロビー活動に関して、鑑政連の存在と活動は再考を要する時期にあると考えます。不透明な資金費消などと云っているのではありません。協会会長が鑑政連という政治団体会長も兼任する異常事態を嘆かわしく思っているのです。ニッシレンとか云う団体が類似の形態で問題を起こしたのは記憶に新しいところです。
 公益法人の会長が、政治資金を費消する団体の会長を兼務すると云うことは、李下に冠を正すことであり、瓜田に履を入れることではないのでしょうか。それもこれも含めて、我が鑑定協会に高度な倫理性の有りや無しやが問われているのです。  「瓜田不納履、李下不正冠」

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