田中利彦応援勝手連

【号外:田中利彦候補応援勝手連:05.03.31】
 鑑定協会の中部区理事選挙に三重士協会から田中利彦氏が立候補されました。田中利彦氏は、森島(茫猿)が尊敬する若き畏友です。理知的でありながら熱血漢です。
 鑑定協会や鑑定業界に漂う閉塞感を打破するに、彼ほどふさわしい人はいないでしょう。彼の必ずの当選を確信するとともに、若さ溢れた大いなる活躍を期待します。『鄙からの発信』は、田中利彦応援勝手連を結成して彼を支援します。
 田中氏から公開質問の第6番目の項目について原稿を改めて所信をお寄せ頂きましたので、原文のまま掲載します。ただし、長文ですから一部割愛しております。本当に長文です、冗長ともいえます。
ですが、これほどの熱気を感じさせる所信を表明した候補者が、かつて存在したでしょうか。それだけでも彼を支援するに十分な理由です。彼を支援し、今後のさらなる飛躍に期待します。
<ご質問・その6>
 「その他、今回の役員選挙立候補に際して、貴兄の御所信等をお示し下さい。」
→お言葉に甘えまして、立候補に当たっての所信をお届けします。 公開質問回答と重複する部分も多々ありますが、ご容赦願います。 適宜不必要な部分は削除して頂ければ幸いです。
・・・・・・<ご質問・その6>・・・・・
所信表明:「世の中に役に立つ鑑定士」 不動産鑑定士 田中利彦
 鑑定士が世の中に役に立つ場面は、その時々の時代背景によって大きく左右されるのではないでしょうか。黎明期から一貫として、我が業界は適正価格の提示という役割があり、地価公示・地価調査はもとより、国土法の適正価格審査に当たっては、第三鑑定を通じて価格水準の適正化に努めてきました。固定資産評価においてもバランスが取れた地価形成に大きな役割を果たしました。
 一方、高度経済成長期で社会資本を充実させ、高速道路等のネットワークが必要とされてきた時代にあっては、用地買収に積極的に協力することで、世の中に役立ってきました。諸先輩方の甚大なご努力と創意工夫・発展維持には大変敬服する次第です。
 国・県・市町村の道路・公園等の社会インフラは着実に整備され、同時に鑑定業界も高利益体制を享受できました。
 しかし、大変残念なことに、大きなツケが回ってきました。まず大元の公共団体の税収不足であり、景気回復の錦の御旗を振りかざし、特に地方経済対策として大判振る舞いをしてきた結果、財政赤字は止まるところを知らない事態に陥っております。
 当然社会インフラ整備のために、用地買収のための予算は激減し、地価公示等のポイント数の削減の実施はご承知の通りです。
 確かに、「ピンチ」だと思います。でも指をくわえて座して、転職を余儀なくされる状態で本当に良いのですか。
 事態は変えようと思えば変えられるはずです。
 同時に「ピンチはチャンス!!」だと思います。人間も組織も困らなければ動きませんから。
 過去の成功体験を脱ぎ捨て、公共依存型からいち早く脱皮し、世の中で困っている方々へ視点を向ける時期を迎えているのではないでしょうか。相手は確かに、公共機関よりも有る意味お金払いが鈍い、一般個人であり中小企業が多い状況ではありますが、生き残りを掛けて、視点を大きく変える時期に来ているのではないでしょうか。
 そこで求められているのは、例えば売り希望価格を踏まえた実勢価格水準であり、また家賃・地代の適正水準であり、法的知識・会計知識等の周辺知識やそれらを有機的に関連づけて、手助けできる鑑定士の知恵だと思います。専門家集団を結成して、ワンストップで相談に応ずることも求められましょう。最新の地代事例の探索など、非効率的な地道な作業を要求されることもあります。
 法的・会計知識等の周辺知識・ネットワークは各自の自己努力に負う部分が多いのですが、協会全体として取り組むべき課題は下記の2点ではないでしょうか。
1.データの整備
(1)今鑑定士の手元にあるが、ともすると手を放れる危険性が高いもの
・・・取引事例収集体制を他業界に取られてしまうかも知れない。
(2)一般的な鑑定士の手元にまだ蓄積が不十分なもの
・・・家賃・地代事例・売り希望事例
 21世紀において自信を持って世の中に役立つ鑑定士としては、まず上記のデータを整備し、他業界との戦いに勝利し、必要に応じて協調していく必要があるのではないでしょうか。丸腰では自然淘汰されるだけです。
2.一般の世の中に役立つメニューづくり
 一般の個人・法人が困っていることで鑑定業界がお役立てできることを挙げると下記の通りです。
・土地有効活用において収支計算シートを建築業者から提示されるが、本当に現実妥当性が高いのか、判断できないが相談するところがない。
・土地境界の決定にあたって、価値面からの検討無しに、土地家屋調査士の方の意見に基づき、不承不承ハンコを押す。
・変電所や線路に近い物件で、実勢価格が低いにも関わらず、相続税路線価がそこまで織り込み切れていない。税理士さんもよくわからない、税務当局もよくわからない、納税者は相続税路線価から算出される金額はどうも高すぎるような気がするが、どこにも相談するところがない。
 などなど、沢山出てくるのではないでしょうか。
<公約>
1.データ整備に全力を傾注します。
 不動産鑑定士の生命線である、取引事例の収集・維持体制への構築にまずは全力を傾注します。
 次に家賃・地代・建設費等の自動収集システム作りを進めて参りたいと思います。三重県不動産鑑定士協会では既に収集体制を構築しました。
 できましたら、レインズ等の売り希望・買い希望の事例を鑑定士サイドでも自由に閲覧ができる体制を目指したいと思います。売り希望価格の時系列的な変動により、地域毎の時点修正について実証的なデータを得られる可能性もあります。
2.必要なノウハウの提案・会員からの収集、メニューづくり
 用地買収・公的評価に依存してきた鑑定業界ですが、「お役所」に役立つ鑑定業界から、一般の個人・法人に役に立つ鑑定士へと脱皮する必要があります。
 そのために、必要なノウハウの提案・会員からの収集、メニューづくり、まで具体的な活動を展開して参りたいと思います。
 世の中の人々の困っていることにアンテナを立てましょう!それを機敏にすくい取り、業界全体として役に立つサービスを提供して行く方向で、鑑定業界に新しい風を送りたいと思っております。
 人口が減少し、地域によっては過疎化も進行しつつあり、売るべき資産・保有すべき資産等の資産の見極め・有効利用計画の慎重な見直し作業等も求められるようになります。都会であれ、地方であれ、社会は私たちの知恵を必要としています。私たちの考え方を少し変えるだけで、不動産鑑定士はまだまだ光を放つことができる存在になれると私は信じています。
 ご支援賜りますよう、心からお願い申し上げます。
平成17年3月29日  田中 利彦拝
社団法人 日本不動産鑑定士協会理事候補
有限会社 ランドフォーライフ研究所
     (Land for Life Institute,Ltd.)
    所長 田中利彦(不動産鑑定士・1級FP技能士・CFP)
 〒511-0863 三重県桑名市新西方3丁目30番
<履歴>
昭和38年7月  秋田県本庄市で出生
 昭和63年3月  北海道大学経済学部卒業
 平成2年9月~ (財)日本不動産研究所 本所(東京)
 平成4年11月~ 津支所・名古屋支所・岐阜支所支所長を経て
 平成11年4月  現職
<経験業務>
・社団法人三重県鑑定士協会 データベース委員会委員長
 (建築費・地代・家賃事例収集システムの構築等)
・不動産カウンセリング業務検討委員(平成14年~平成15年)
・地価公示評価員、地価調査評価員等の公的評価に約12年間従事。
【茫猿注、ほぼ原文のままですが、一部は茫猿の判断で割愛しました。】

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