平成 24 年度予算執行調査の調査結果の概要(平成 24 年7月3日:財務省発表)が公表されました。 そのなかに「土地評価基準作成鑑定評価等経費(財務省:一般会計) 」が含まれています。 いわゆる相続税路線価評価に関わる事項です。 先に地価公示について事業レビューが公開プロセスにて実施されましたが。 これは公開プロセスに拠らない事業レビューです。外部有識者の意見も徴収されています。 公的評価一元化スケジュールが始まったと考えるべきでしょうし、固定資産税土地評価も俎上に上がるであろうと考えます。
事案名 「平成 24 年度予算執行調査の調査結果の概要」
(概要) 国税庁においては、相続等財産の課税に当たって、納税者等がその時価を算出するこ
とは困難であるため、納税者サービスとして路線価図等を作成・公表し、相続税等の課税価格を算出できるようにしている。
(予算額) 24年度 3,356百万円 (23年度 3,335百万円)
(調査結果)
路線価については、市町村が実施する固定資産税評価路線価格(3年に1度評価替え)とのバランスにも配慮しつつ毎年調査し、設定している。
また、その他標準地については、3名の土地価格精通者からの意見を参考に価格を算定しているが、その意義は低い。 さらに、評価地点数についても過大である。
なお、土地評価については、複数の公的評価制度が存在しているほか、民間セクター等における不動産取引情報も充実しており、相続税路線価制度の意義を問い正す時期にあるのではないか。
(今後の改善点・検討の方向性)
以下についての改善・検討を行い、効率性の向上を図る必要がある。
・ 固定資産税路線価の更なる有効活用を図ることにより、相続税路線価の調査規模を縮小することが可能か、関係省庁と調整・検討すべき。
・ その他標準地の評価について、3名の土地価格精通者の調査を原則1名とすることが可能か検
討すべき。
・ 調査地点数の更なる削減に努めるべき。 また、複数の公的評価制度や民間の取引情報が存
在する中で、今後の相続税路線価制度の在り方を検討し、意義を明確にするべきである。
予算執行調査資料(総括調査票) (末尾に外部有識者意見添付)
『茫猿の感慨』
以前から指摘してきた「公的評価の本来的一元化」日程が始まったと考えるべきであろうが、鑑定士協会連合会は「拱手傍観」姿勢から一歩も出ようとしない。 四種の公的土地評価(地価公示、地価調査、相続税路線価、固定資産税土地評価)が重複する状況は、受託評価が多いことに他ならず、内部経済(業界受益)外部不経済(重複委託の不経済)の状態にあり、自ら糺す方向に向かうことは業益に反するものであるから、 拱手傍観姿勢も当然といえば当然のことである。
しかし、そのような業益を墨守しようとする姿勢は社会の共感を得ること叶わず、結果として多くを失うということに為ってしまうであろう。 自らの業益を狭めても公益を追求するという姿勢無くして社会の共感も信頼も得られないと云うことに、早く気づくべきであろう。 今や鑑定業界は茹で蛙一歩手前なのか、それとも湯温が下がって風邪をひきそうになっているのか、肺炎寸前なのであろうか。
なお、これらの問題は公的土地評価に限定されるものではなくて、いわゆる新スキーム(取引価格情報提供制度)改善問題にも共通し波及する問題であろうと考える。 であればこそ、公的土地評価、新スキーム改善、そして鑑定評価を横断する統一的戦略が求められるものと考える。
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