横尾ワールド

去る八月、ほぼ二年ぶりに瀬戸内の島を訪れてきました。
島に暮らして九年目を迎える次男の今後について、ご支援を頂いている方とお話をすることが目的の日帰り訪問でした。早朝に岐阜を発ち、島から帰るフェリーも岡山からの新幹線も最終便を利用するという慌ただしい訪問でしたが、島に誕生した新しい施設を幾つかのぞくことができました。

新幹線岡山駅から宇野線宇野駅経由で、フェリーでは40分、高速船では25分の距離にある島ですが、船便が少ないので乗り遅れると待ち時間が多くなります。 宇野駅でJRを降りた人の群れは皆、直島行きの乗り場に向かい、島行き乗船場に向かうのは茫猿ただ一人、島を訪れる観光客は今も少ないのだなと思っていました。

ところが島行き高速船は八割がたの客席が埋まっていました。どうやら島行きのお客さんはマイカー利用の方が多かったようです。島の美術館など多くの美術作品が展示され、島の訪問客は着実に増えているようです。

今回は時間に余裕が無かったことから、訪れた施設は「横尾館」だけでしたが、それでも初体験の横尾ワールドを満喫できました。 横尾館は港の近くにあり、ランドマークになっているタワーが目立つ建物です。IMG_0456《公式サイトより引用》アーティスト・横尾忠則と、建築家・永山祐子による建物は、島の玄関口となる港に面した地区の、集落にある古い民家を改修してつくられました。展示空間は、既存の建物の配置を生かして「母屋」「倉」「納屋」で構成され、平面作品11点を展示しています。また、石庭と池、円筒状の塔にはインスタレーションが展開され、作品空間は敷地全域にシンボリックな拡がりをみせます。その空間は、生と死を同時に想起させる哲学的な場となり、さらに、建物には光や色をコントロールする色ガラスを用いて、島の光や風や色、作品の見え方をさまざまに変容させて、空間体験をコラージュのようにつなげます。

夕日が射し込む時刻に居合わせれば、 こんな景色を観ることもできます。《島在住の次男提供》 色ゴラス越に見える中庭の光景は、実はこんな風景なのです。BydE9gQCEAMP9k2

館内の展示物や施設の一つ一つが、観る者の意表をつくものばかりで、まさに横尾ワールドが展開されています。日常と非日常、常識と非常識が展開されており、観る者の既往感覚を大きく揺さぶってくれる横尾ワールドです。 小さな写真が張り巡らされたタワーの内部や、目眩く空間では出るものも止まりそうな横尾式便所(YOKOO’S  TOILET)なども必見というか、必使用でしょう。IMG_0451

昼食は次男の案内で島のレストランでいただきました。 浜沿いの林に囲まれて海際に建つ小さなレストランは、開放感のある大きなガラス窓越しに島の海を眺めながら食事ができます。テラス席もありますから、春秋の陽気の良い時には潮風に吹かれながらのひとときも楽しめましょう。食事メニューは地場産品を使った小粋な料理です。

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島の頂上《標高339m、頂上付近はスダジイの群生林で覆われている》からは、こんな夕景色が眺められます。10712979_720215821387692_4114901569995847347_n

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横尾ワールド への1件のフィードバック

  1. 後藤雅文 のコメント:

    お久しぶりです。お元気ですか。豊島の横尾忠則館興味深いですね。豊島の再生に取り組んでいる息子さん。本当に誇らしい息子さんですね。心から応援しています。
    当方も会長職が残すところ半年、だんだんリタイアが近くなりました。そういう中で、10月の初め福島は浪江町、南相馬へ行って参りました。根こそぎ生活の場を奪われた光景、賠償金問題、低線量被曝が続く地域での生活、その中での復興の兆し等を目にして参りました。福島とは何らかの形でつながっていきたいと思っています。またお会い出来る機会を楽しみにしています。

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