山尾議員離党に思う

立憲民主党の山尾しおり議員が、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案について党執行部の対応を遺憾として、03/18 党を離党した。とかくTVワイドショーを賑わすことの多い山尾議員であるが、その主義主張には共感できることが多かった。先日の東京高検・黒川検事長の定年延長問題を巡る国会質疑で森法務大臣から珍答弁を引き出した質問も秀逸だった。

離党に至る経緯はこうである。新型コロナウイルス感染拡大防止のための「新型インフルエンザ等対策特別措置法」改正案で、首相による緊急事態宣言の行使をめぐり、立憲や国民民主党は付帯決議に法的拘束力のない「国会への報告」を盛り込むことで妥協した。「国会の事前承認」を明記するよう求めていた山尾氏はこれを受け入れず、12日の国会の採決では造反した。ツイッター上でも枝野幸男代表の名前をあげながら党の方針に反意を示すなどしていた。

山尾議員は自身のwebsite等でこのように語っている。
※「新型コロナ対策特措法改正について
※「離党の経緯について

山尾議員が指摘する「特措法・緊急事態宣言」の問題点。
①宣言の交付について「国会承認不要」とし報告のみとすること。
緊急事態に対して現在の協力要請と宣言とは似て非なるものである。要請は自主的判断が伴うもの、宣言に基づく指示は強制であり罰則を伴う。
②期間2年は長すぎる。半年せめて1年で良いのでは。
長すぎる期間は緊張感を薄れさせ惰性に陥る危険性あり。随時検証が必要。

③延長が可であり更新も可とし、両者ともに国会承認は不要であること。
無期限に緊急事態が継続する危険性を孕んでいる。
④証拠に基づいた説明責任が担保されていないこと。
小中高学校の一斉休校要請について、一斉休校が必要な証拠の提示も範囲の特定もなく有識者の意見聴取も無く、唐突に総理が休校要請を言い出す非合理がまかり通る。

山尾議員は立憲民主党執行部の姿勢に異を唱えての離党であるが、然もありなんと思えるのである。立憲民主党の立党精神は良かった。枝野氏が独りで立党を宣言した経緯も良かった。真っ先に参加を表明した福山哲郎氏を幹事長に指名した時には、かすかな違和感を感じたが、まあそれも良しと思えた。

しかし、先頃の京都市長選挙に際して、福山哲郎氏(立憲民主党幹事長)と前原誠司氏(国民民主党所属)が共に現職市長の四選を支持した時に、違和感は疑念に転じた。是々非々とは聞こえが良いが、安倍政治と闘う姿勢に疑問を禁じ得なかったのである。挙句、体制翼賛的な京都新聞意見広告に乗じられた。

今回の新型コロナ感染症対策・特措法改正論議に際して、過去の民主党政権時代の経緯にとらわれて過去を検証し非は非として認めない旧民主党所属議員の政治姿勢には問題があろう。憲法に立脚し憲法論議を避けない、民主的で自由な議論を基本理念とする山尾議員の筋を通す姿勢に共感し、今後の更なる活躍を期待するものである。

《開花も間近い今朝の鄙桜である》

さて、新型コロナ感染症は各方面に大きな影響を与えている。学校の一斉休校やイベントや集会の自粛要請は諸方面の経済活動にマイナスの影響をもたらしている。インバウンド需要に頼る観光はもちろん、農業や漁業や中小零細小売業などに打撃を与えつつある。

こんな非常事態にこそ、政府の抜本的対策が望まれるのであり、その最たる対策は消費税の一年間徴収猶予、もしくは5%削減を実施すべきであろうと考える。政府は様々な中小零細企業対策を打ち出しているが、その多くは企業への低利融資だったり利子補給だったりであり、直接消費者に実効性ある対策とはなっていない。

消費税の期間限定減免措置であれば、直接消費者の家計に寄与するものであり、低所得者層であればあるほど効果は大きいものがあろう。代替の予算措置は「この際であるから国債増発、防衛装備経費など不要不急予算の縮減、高額所得者への増税」などで賄えることであろう。 集会や移動を禁止する緊急事態宣言などよりは、よほど経済効果が高く国民の意識を高め感染症対策にも寄与するものであろうと考える。

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