改革推進派と現状維持派

【茫猿遠吠・・改革推進派と現状維持派・・01.08.12】
 残暑お見舞い申し上げます。
猛暑・酷暑と云われ、熱射病やら熱中症がマスコミで騒がれた此の夏も
残り僅かとなりました。其処彼処に秋の気配が色濃くなり、飛騨の高山
からはススキの穂が顔を出し、はしりの松茸の便りも聞こえて参ります。
 茫猿の茅屋でも、夕方には軒端を涼風がわたってゆくようになりまし
た。米は豊作のようだし、豊作貧乏の懸念はあるにしても、豊かな秋が
近いのはいいことです。
 さて、我が岐阜県士協会では従来から会員のパソコンと士協会事務局
のサーバーを電話回線で結んでWAN(wide area network)を構築し、
データ交換などに日常的に利用しておりました。
 今回、新たに事務局サーバーにグループウエアを導入して、士協会ス
ケジュール表、電子会議室、回覧板、掲示板などを利用できるようにし
ました。
 始めたばかりですから、評価できるほどの経緯はありませんが、少な
くともファクシミリ連絡を少なくし冗長な会議を追放して、会員の交流
広場 (サイバースペース)として育ってくれればいいなと考えています。
 アイデアやノウハウを文書共有システムに登録すれば、メンバーは手
の空いている時間に参照して参考にしたり、意見を書き込んだりできる。
ナレッジマネージメントの有力な手段と考えています。
 勿論のこと、こういった新しい試みに皆がもろ手を挙げて賛成してい
る訳ではなくて、正面からは聞こえてきませんが、不満は多かろうと存
じます。曰わく、PCに縛られる。曰わく、ファクシミリの方が着信が
よく判って便利だし手書きもできる。曰わく、難しいことには着いて行
けない。等々、言い訳と批判は浜の真砂より数が多いものです。
 そういった諸々は一つ一つ気にしていても仕方がないので、とにかく
やってみる。駄目なら方向転換する。柔軟に、ある種の無原則主義で佳
いと信じることに挑戦するということが大事なのだと考えます。
 そして、情報というのは本来無料のものであり、限りなく情報を得る
コストも発信するコストも低下させることが大事なのだと考えます。
情報の対価は情報以外になく、情報バーター主義でなければならないと
考えます。多く開示する者が多く得る。潮流はまさに其処に差し掛かっ
ていると思うのですが如何でしょう。
 もう少し卑近な例を云えば、デジタルデバイドは情報発信者には無縁
のものです。棚ぼたお日待ち主義者にはデバイドが大きくなるばかりで
あっても。ましてやコンピュータースキルに至っては語るまでもないで
しょう。
 ところで、岐阜県士協会が採用したグループウエア・ソフトは
「Cybozu」です。結構な優れものです。
その詳細は下記のURLから確認して下さい。
 http://cybozu.co.jp/ 
※WAN(wide area network)
 広域情報通信網。離れた場所のLAN同士を接続するネットワークのこ
と。一般の電話回線やISDN、専用回線などを介して接続する。接続には
モデム、ターミナルアダプター(TA)、ブリッジ、ルーターなどの機器
を用いる。現在の主流は、ISDNや専用線を介し、TAやルーターを使って
実現するタイプ。
※グループウエア(groupware)
 ユーザー間のコミュニケーションや情報の共有を実現することで、グ
ループによる作業を効率化するソフトウエアのこと。
グループウエアの主な機能を分類すると、以下のようになる。
 電子メールでは、パソコン間で指定した相手とメッセージをやり取り
する。複数のユーザーに同時に同じメールを送る同報機能や、メールの
返信、転送機能などを持つ。
 スケジュール共有では、複数ユーザーで共通のスケジュールを管理す
る。カレンダー形式などで予定を表示、管理する製品が多い。共通の予
定を全員に通知したり、参加者の予定を調べて会議時間を設定する機能
を持つ。
 文書共有では、アイデアやノウハウなど、一定の書式に押し込めにく
い情報を文書やファイルの形式でデータベースに収容し、複数ユーザー
で参照したり、編集できるようにする。ディスク上の文書ファイルをそ
のまま管理できるものもある。電子掲示板システムもそのひとつ。
いつもの蛇足です
いやはや、またまた暑苦しい残暑見舞いとなりました。
次回の只管打座では涼風をお届けしたいと思います。
 さて、昨秋以来何かとお騒がせしてきました固評鑑定問題ですが、読
者諸兄姉の地元では如何な状況でしょうか。伝え聞くところでは、従来
の報酬単価を大幅に下廻る契約もあちらこちらで締結されているようで
す。茫猿の地元地域の状況も同様の有り様でして、価格破壊に関して公
取委警告は十分な効果を上げたといえるようです。
 鑑定評価なかでも固評の鑑定評価に価格破壊が惹き起こされるという
事は、委託する自治体からすれば支払い経費の減少につながり歓迎でき
ることでしょう。しかし、ユニクロに代表される一般財の価格破壊と鑑
定報酬を同様に論じて良いものか否かは大いに疑問の残るところです。
 再三、記事にしているところですから再掲はしませんが、等質等機能
商品の価格競争は歓迎できても、それでもフェアであるか否かは問われ
なければなりません。もちろんのこと、鑑定士側においてもコスト低減
と質的向上の努力は欠かせません。
 固評鑑定の場合に低廉契約は、業務仕様書が不透明ですから等質等機
能の保証はどこにもありません。さらに地価公示に代表される地域にお
ける共同作業の結果に、いわば「ただ乗り」するに等しい低廉契約がフェ
アなものか否かは大いに問われなければならにでしょう。
 別の観点からすれば、固評鑑定の廉価による横取り契約の横行は、事
例収集や地価水準検討の共同作業を根底から破壊しかねない危険性を孕
むものと云えましょう。
 話は変わりますが、
そういった変化の時代に求められるリーダーの役割は何でしょうか。
社団法人である単位士協会や日本鑑定協会の会長や副会長に求められる
役割は当然に改革推進者としての顔でしょうが、選挙で多数派に支持さ
れなければ選出されないことや得てして順回りで会長に選任される実態
をみれば、改革推進派よりは任期中を無難にこなす現状維持派に傾きが
ちなのはやむを得ないことでしょう。
 また会員の多くも、ラジカルな改革よりも現状を維持して漸進的な微
調整の方を選択する傾向にあるのも当然のことかもしれません。また鑑
定協会所属鑑定士の平均年齢も推測に過ぎないものの50代半ばと考え
られることも大きく影響しているでしょう。
 鑑定協会の中核を成す層は世代論的に云えば逃げ切った世代が過半を
占めており、今更抜本的改革など望まないであろうと云えましょう。
 とはいっても、今日唯今の状況は公益法人に改革を指向する指導者は
期待できないと云ってられないのが現状であり、痛みを感じてもいや既
に痛みを感じているからこそ変革をを求めなければならないのではなか
ろうか。

関連の記事


カテゴリー: 茫猿の吠える日々 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください