豊島は緑豊か

【茫猿遠吠・・豊島は緑豊か・・02.05.30】
 稀にみる正月豪雪に明けた今年もはや五ヶ月が過ぎようとし、我が陋屋の緑は日毎に豊かになってゆきます。春まだ浅きうちの水仙、菫の開花に始まり、山茶花、藪椿、梅、山桜、桃、山法師、花水木、平戸、皐、牡丹、芍薬と続き、今は酸橘(スダチ)の白い花が咲いています。
 柿や蜜柑は花が終わり小さな青い実を付けています。 季節の巡りゆく速さに驚きますし、年々歳々倦むこともなく花を付け実を成らす木々の歩みに、自然の確かさを感じます。


 さて、先週末にふと思い立って香川県の豊島に行って参りました。
茫猿の身内がこの2年ほど豊島に関わっていることもありますし、大きな話題となった産廃の島をこの目で実感したいと考えたことも理由です。岡山県玉野市宇野港から、小さなフェリーで約40分、瀬戸内多島海を巡り行く航海を楽しんでいる間もなく豊島家浦港に着きます。
 面積14.61平方km、周囲19.8km、人口1430人、過疎化と高齢化の進む小さな豊島になぜ産廃が50万トンも野積みされたのか、どうして20年余も放置されたのか、そしてどのように解決されようとしているのか、それらの詳しいことは「廃棄物対策豊島住民会議」の公式Web Siteから学んでください。
 短い滞在と対策会議事務局で頂いた資料の拾い読みから知る経緯は、おおよそ次のようなことです。「みみず養殖」名目で豊島の土地を取得し名目的養殖事業をはじめて間もなく、事業者は産業廃棄物の野積みと野焼きを行うようになりました。 当然に島の人々は反対運動を開始したのですが、行政の対応は例によって例のごとくでありました。
 香川県の当初の対応は以下のようだったと豊島Web Siteは云います。
1.ゴミ処分場はどこかに必要。法の要件に従えば安全であり、住民が心配するような環境破壊や健康被害は起こるはずがない。また、廃棄物処分場をつくれば、過疎の進む豊島にも(活性化策として)有効である。それでも反対するなら、豊島住民のエゴである。
2.事業者にも生きる権利があり、反対するのは事業者いじめである。
(豊島Web Site より)
 さらに廃棄物処理法の盲点をついた脱法的論理がまかり通ることにより、廃棄物が資源(原料)として、どんどん堆積されていったのです。
 廃棄物処理法によれば、廃棄物とは「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却できない為に不要になったものをいい、占有者の意志その性状等を総合的に勘案するべきものであって排出された時点で廃棄物と客観的に観念できるものではない」とされています。
※廃棄物占有者が資源といえば、ゴミも資源であるということ。(茫猿独白)
 豊島での事業者のシステムは、例えばシュレッダーダストを1トンあたり300円で(原料という名目で)購入して、同時に2000円の運賃を受け取り、その差額1700円を実質的な処理費用として利益を上げるというものでした。(豊島Web Site より)
 その後の詳しい経緯は「豊島住民会議公式Web Site」をご覧下さい。
以下は、茫猿の僅かな時間の訪問記です。
※「豊島住民会議公式Web Site」http://www.teshima.ne.jp/
 今の豊島は、海青く、緑豊かな閑かな島です。日中は一部の漁業者や農業者を除いて、若者も壮年も島外の学校や職場に出ているから、長閑なたたずまいの島です。標高339mの壇山を巡る森の緑は濃く、海の澄んだ青さも美しい光景です。でも島の農地は耕作放棄される土地が多く、山も手が入らないから自然林にかえってゆくようです。
 野積みされた大量の廃棄物にはシートがかけられ、海上からみれば産廃の山は薄灰色のシートに覆われて、改めて示されなければ気付かない景色となっています。現場で滲み出てくる汚水(複合有機無機汚染化合物)は、まとめて汲み上げて廃棄物の山の頂にポンプアップして再浸透させることにより、現場循環させています。瀬戸内海に流出させない仕組みです。
 見学用にトレンチ(溝)を掘り露出させてある場所をみますと、堆積された廃棄物の凄まじさが十分にうかがえます。
 まさに当初行政が示したように、豊島は産廃の島として有名になり、負の遺産は島に山積みになりました。瀬戸内の小さな島ではありますが、全国的な知名度は高いものがあります。
しかし、今後の豊島は有名税を支払わなければならないでしょうし、撤去溶融作業が仮に順調に進むとしても長い年月を要することですし、その間に島の振興を図らねばなりません。
 ここから先は、全国各地にありふれている過疎化と高齢化が進む離島や農山漁村と同じことです。一介の旅行者があれこれと言揚げする訳にはまいりません。所詮、よそ者が評論するだけのことです。
 しかし、豊島には多くの人々が関心を寄せていることでもあり、廃棄物対策の具体的行動を経て培った団結力や住民意識の向上もあるでしょうし、確かなリーダーも存在しているようです。
それらの自然条件と社会的条件を武器として、災いを転じて福となすような島興しを実現してほしいものだと思いました。
 小さな島であればこそ、企業化した金太郎飴的観光事業などではなく、万人のうちの十人かせいぜい百人に好まれるような、島にしかない、豊島でしかできないオリジナリティ豊かな島興しを実現して頂きたいと願うものです。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・・・・
 止揚学園でも似たような話を伺いましたが、島に関わる人より面白い話を聞きました。
 豊島には今でも多くの視察見学者が訪れます。なかでも手土産が豪華なのは地方議員視察団だそうです。しかし、議員視察団はチャーター船で島を訪問し、そそくさと現地を見学すると、次の観光地へあわただしく向かわれるそうです。島での滞在時間は1時間前後だそうです。
真偽のほどは確認していません。でも、十分に有り得る話だと頷けました。
 しかし、茫猿も議員団を批判できません。茫猿の豊島滞在時間は4時間弱であり、産廃現場を見て廻り資料館を見学し、島を一巡しただけのことです。これを五十歩百歩または目糞鼻糞というのでしょう。
・・・・・・蛇足その2・・・・・・・・・
 一昨日の日経新聞は「不動産価格、厳格に[質]鑑定」という見出しで、鑑定基準改訂に関連する記事を掲載しています。
『日経新聞記事引用です』
 国土交通省は 2003年1月から不動産鑑定士が土地や建物の価格を鑑定する際の基準を改める。土地は土壌汚染などで利用が制約を受ける場合、賃貸ビルは将来の賃料収入が減る見通しの場合、価格を下げることを鑑定士に義務づける。不動産を取得するときのリスクを価格に反映させるのがねらいで、不動産の質が厳しく問われることになるため、価格の二極化に拍車がかかりそうだ。
・・・・・・・本日これまで・・・・・・・

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