不動産投資INDEX その1

【茫猿遠吠・・不動産投資INDEX-1・・02.08.26】
 さる8月22日より24日にかけて、岐阜県鑑定士協会は二十数名のツアーを
組み、北海道鑑定士協会を訪問致しました。北海道会訪問の目的は、北海道会が
一昨年度より実施されている「不動産投資インデックス事業」の詳細について教
えを請うことであり、いわば百聞は一見に如かずと、事業実施の過程、成果は云
うに及ばず、事業実施に際して直面されたであろう困難や今後の課題について教
えて頂くことにありました。
 不動産インデックスには、地価インデックスと収益(賃料)インデックスがある
訳ですが、地価インデックスは地価公示・地価調査や市街地価格推移指数等々が
既に存在しており、その精度に関して折々の毀誉褒貶はあるにしても、歴史的に
も質量的にも十分な蓄積を得ていると云えましょう。(広義の不動産インデックス
には建築費指標等の建築建設インデックスもあります。また、賃料推移に限定し
た賃料インデックスは既に公表されていますが、地方圏での利用にはかなわない
ものと云えましょう。)
 しかし、収益インデックスに関しては、最近でこそ都市圏なかんずく東京を中
心にして幾つかのものが公表されてはいるものの、とても地価インデックスに比
肩し得るものとは申せません。また地方圏においては何も無いのも同然の状態に
あります。地価下落・収益重視、不動産の証券化、時価会計・民事再生・会社更
正等々の不動産を取り巻く環境の変化に伴って、不動産の収益(賃料・投資)イン
デックスの必要性並びに重要性は、日毎に増していると云って何ら過言はないで
しょう。
 そういった客観情勢の中で、茫猿の知る限りにおいて、全国の鑑定士協会に先
駆けて北海道会が取り組まれている「不動産投資インデックス事業」について、
その詳細を学習することは、急務であると考えたモノです。
 幸いにも、北海道会諸氏の御快諾と岐阜士協会の現役員の理解も得られ、協同
組合岐阜県不動産調査センターの多大の支援も得ることができて、今回の研修ツ
アーが実現できました。
 実は、北海道会の当該事業に茫猿は僅かながら関与しております。
と申しますのは、99~00年度にかけて茫猿は日本鑑定協会資料委員会に属し、さ
らに資料委員会に設けられた「インデックス専門委員会(委員長高瀬博司氏)」に
も所属していました。この一連の経緯は、逐一『鄙からの発信』に掲載しており
ますから、インデックス、資料、賃料等の用語で検索してお読み下さい。
00/03/05には「INDEX事業試案」と題する記事も掲載しております。
 当時、専門委員会で2年間に亘る研究が実りつつあるときに、日本鑑定協会全
体として事業実現はとても困難であり、余分なエネルギーを内向きに費消するこ
とになる。それならば、各委員の地元でできるところから始めようではないかと
いう話が持ち上がりました。北海道会の吉田氏、大阪会のN氏、かく言う茫猿な
どがその先鋒でした。諸般の事情があったにせよ、茫猿は遅延し、N氏も未だ実
現には至っておられないようです。
 なかで、北海道会は実行に移され、既に二年度の事業成果を持つに至っておら
れる訳です。
 誤解の無いように申し添えておきますが、インデックス作成に特段のソフトや
手法がある訳ではございません。また、巷間に流布する投資インデックスと称さ
れるモノの多くの実態はヒヤリング調査の集解析であり、日銀短観調査に近いモ
ノと申して差し支えないでしょう。(意義を軽んじているわけではありません。)
 しかし、不動産鑑定士が関与するものである以上は、実際データを基礎とする
精緻なモノを目標とすべきであり、同時にインデックス作成過程において広範か
つ詳細な収益並びに建築データが得られるものでなければならないと、当時のイ
ンデックス専門委員会は考えていました。
 つまり、インデックス作成は結果であり、作成に必要且つ十分なデータ蓄積こ
そが肝要なのだと考えていたのです。別の言い方をすれば、質量的にかなうデー
タさえそろえば、インデックスなど何ほどのこともないということです。
つまりのこと、INDEX作成が目標となってしまいますと、データの質や量よ
りもINDEXが作成できればよいということとなり、ひいてはINDEX自体の
信頼性が疑問視されることとなります。
 とはいっても、北海道会が当該事業を開始するに際して、収益(賃貸)データの
集計ソフトも存在しませんし、資料収集のノウハウも存在しない状態でのスター
トですから、大変なご苦労があったであろうと拝察できます。北海道会役員会の
理解、会員の支援、何よりも事業実施担当委員会諸氏のご苦労が推察できます。
・・・・・・・本日これまで 続く・・・・・・・

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