投資INDEXとガイドライン

【茫猿遠吠・・投資インデックスとガイドライン・・03.10.01】
 鄙からの発信は不動産投資インデックスについて、度々の記事を掲載してき
ました。最近は(社)岐阜県不動産鑑定士協会が行っているインデックス作成事
業についてその事業内容を記事にし、先日は2004.04.16開催予定のインデック
スシンポジウムについても記事に致しました。
 本日の記事は、この岐阜県士協会が行っているインデックス作成事業と国交
省が公表している「不動産投資インデックス・ガイドライン」との関係につい
て述べてみます。
※本稿は茫猿の個人的見解であり、(社)岐阜県不動産鑑定士協会の公式見解で
はないことにご留意下さい。しかし、茫猿はシンポジウムを含む25周年記念事
業実行委員長であり、同時に岐阜会インデックス専門委員会委員長でもありま
すので、その立場を踏まえた記事であることは云うまでもございません。
 平成14年12月24日 国交省総合政策局不動産業課不動産投資市場整備室(情
報収集の在り方関係)及び土地・水資源局土地情報課(情報収集の在り方関係
を除く全般)は、「不動産投資インデックス ガイドライン」を公表致しまし
た。公表記事によれば、国交省は以下の様に述べています。
 我が国の不動産投資市場を公正かつ透明なものとし、今後とも発展させてい
くためには、我が国においても、欧米諸国で行われているように、市場の情報
インフラの一つとして「不動産投資インデックス」を整備することが不可欠で
あります。
 このような認識のもと、平成13年6月より、不動産投資に関する専門家か
らなる「不動産投資インデックス整備検討会」を開催し不動産投資インデック
スについて検討を行ってまいりましが、今般、不動産投資インデックス整備検
討会での議論をもとに、「不動産投資インデックス ガイドライン」を作成し
公表することとなりました。
 このガイドラインは、不動産投資インデックスの作成者に対するガイドライ
ンであるとともに、不動産投資インデックスとは何かを 分かりやすく説明す
ることを目的としており、このガイドラインによって不動産投資インデックス
に対する認識が高まり、不動産投資インデックスの整備が推進されることを期
待します。
「関連記事URL」
 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/01/011224_.html
 岐阜県士協会は、このガイドラインの第1章の4「不動産投資インデックス
の算出方法」に則してインデックスを作成しようとしているものであり、
その「データの品質調整」に云うところの、
 「いずれの方法で不動産投資インデックスを作成するにせよ、その算出過程
や推計式等についてはできる限り公表し、第三者がチェックできるようにする
ことにも留意するべきである。」という記載事項に留意するものであります。
 インデックスで必要とされるデータのうち、投資不動産に係る不動産価格に
ついては、土地価格については地価公示価格を基礎とし、建物価格(建築費)に
ついては建築業者及び建築設計事務所等専門家に依頼して詳細データを基礎と
するものです。同時に不動産が生み出す収益に関するデータについても、士協
会会員自身が収集に当たるとともに調査専門業者に調査委託するものです。
 即ち、インデックス算出過程のみならず、その算出基礎資料についても可能
な限り公開できるように、また第三者の批判に耐え得る様に専門家の力を借り
ることにより、より精緻化を目指しています。
 もちろん、現段階においては経験・ノウハウともに積み重ねが乏しく、胸を
張れるものとはいえないでしょう。しかし、年々の継続による的確な資料の積
み重ねが、インデックスの信頼性を高めて行くであろうと考えます。
 さらに岐阜県士協会は、ガイドラインが云うところの、「体制・組織力の構
築」にも意を用いており、インデックス作成事業の安定的継続のために、ソフ
ト・ハードの整備、事業資金手当、漏洩防止、情報管理にも留意しております。
 なによりも、ガイドラインが云うところの「中立・公正な運用の確保」が必
須条件であり、不動産投資インデックスに対する信頼性を確保するために、デー
タ収集機関としては、中立・公正な運用が可能な組織として公益法人である不
動産鑑定士協会が最適の存在であろうと信じております。
 すなわち、データ収集機関としては、自ら不動産投資を行わないことが当然
であり、また、特定の者から資金供与を受けるなど特定の者の影響を受けるこ
とのない機関であるべきと考えます。
 高度な守秘義務を自らに日常的に課している不動産鑑定の専門家で構成され、
自らの会費で組織を運営し、不動産に関する専門知識を有する者の公益性の高
い組織である不動産鑑定士協会がインデックス作成の最適機関であると考える
由縁であると同時に、インデックスを作成し公表して行くことが、不動産鑑定
士の社会的使命であると考えるものです。
 以上の基本的考えに基づいて、インデックス作成事業を行うとともに、その
成果を世に問うべく、不遜ながらインデックスシンポジウムを開催しようと企
画するものです。
・・・・・・閑話休題・・・・・・
 新聞紙上や国会論争で、年金問題が喧しい(かまびすしい)。
この問題について、ふと考えてみると、昨今の年金の充実は老人世代にとって
大いなる福祉であることは当然であるのだが、実は見落とされている重要なこ
とがある。
 20年、30年以前では、老親と同居して扶養するか別居していれば仕送り
をするのがごく普通のことであった。
しかし、現在では年金や個人資産で豊かな老齢世代(必ずしも全部ではないが)
から、少子化で数が少なくなった孫への資金援助が結構多いのではなかろうか。
いわば、老人福祉転じて孫福祉という現象である。老親二夫婦に対して孫二人
などというケースも多かろう。
 全ての老齢世代がそうだとは云わないが、大なり小なり年金という、いわば
小遣いに不自由しない老齢世代が増えており、その少なからぬ恩恵を孫世代が
享受しているという現象を見過ごしてはいけないと思う。
 直裁的にいえば、茫猿達現役世代が支払う年金保険料は、老親世代に年金と
して支給されている訳だが、その年金額の少なからぬ部分が現役世代の子供達
即ち年金受給者の孫世代に還流しているという事象を踏まえれば、いたずらに
世代間戦争などと煽るマスコミに踊らされてはなるまいと考えるのである。

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