下手な考えに代えて

 下手な考え休むに如かずと休んでから10日が経過しましたが、休みっ放しも無責任なように思い、少しばかり補足します。
 鑑定協会の様々な位置におられる方々から頂いたE.Mailやファクシミリの一部を転載します。匿名の部分転載ですから、ご本人の意向に添わない転載になるかもしれませんが、そこのあたりはご勘弁下さい。


何しろ頂いた文書の全文公開は、ご本人の特定につながったりする以外にも、何かと差し障りがあるのです。
 幾つかの断片から何が読みとれるかについては、読者のご判断にお任せしますが、鑑定業界には確かな議論の場が存在しないのではないかという危惧があります。だからでしょうか、議論の収斂する方向も見えてきません。
[A氏より:新スキームについて]
 新スキームは是が非でもやり遂げなければなりません。反対意見も多いようですが、鑑定業界が事例を他に依存しなくて生きていくためには、整備しなければならない環境です。鑑定業界がやらなければ、他の業界が必ず手を出すはずです。
 もし、他の業界がこの制度を主宰すれば、鑑定士はそこへ頭を下げて事例資料をもらいに行かなければならなくなります。このようなことになっては一大事ですから、とにかく新スキームは遂行していくべきと考えています。
[B氏より:新資格創設について]
 改めて新資格やシニアアプレイザーといったものを創設する考えはありませんが、どうしても何らかの新資格というのであれば、むしろ、研修などによって能力を高め、受講者に何らかの名称を付与する方策のほうがよいと思います。 いずれにしろ、不動産鑑定士は、「評価等の分野ではトップ資格である」という姿勢です。
[C氏より:新資格創設について]
証券化関連不動産鑑定評価業務を進めていくためには、不動産鑑定士がより高度かつ多様な知識を習得し、誰でもできるようにすることが先決と考えます。従って、それを資格とすることは考えておりません。
[D氏より:新資格創設について]
 江戸時代の黒船のような、艦砲圧力を国交省はかけてきたと思いました。
いつまでも鎖国体制を取っては居られないと思います。証券化鑑定評価書の第三者チェック制度は早急に、創設すべきだと思います。
[E氏より:協会の現状について]
 正直言って、この協会は一度壊して出直す方が早いのではないかと思われます。特に社会的に変革のスピードが早く求められている時代においては、ほとんど機能停止の状況にあるのではないでしょうか。
 本来、不動産鑑定は資本市場における資金調達のインフラとして機能すべき職能であり、公共用地の取得の適正化により発足したのは、生い立ちが不幸であったと思われます。
[F氏より:JREITについて]
 ER作成業者、鑑定依頼者に、ERの取り扱いでより多くの問題があったとはいえ、鑑定士にも問題があるのは事実で反省すべきと思います。評価側にも安易さがあったと思います。ただ5年ほど前の時期で、未だERについての意識が未熟だったのだと思います。 また、J・REITに関係している業者は、一握りの業者ですが、上場されているので、相当透明性が高く、現時点では、問題は少ないと思います。
[J氏より:鑑定評価レビューについて]
 アメリカの鑑定制度の中には、レビューという制度が有り、他人の鑑定書を
チェックする仕組みです。 日本に上陸しているアメリカの鑑定会社は、日本の不動産鑑定士の書いた鑑定書を現実にレビューしています。
 それは日本企業が、アメリカに株式上場している場合、時価評価が決められているため、土地取得した場合、アメリカの鑑定倫理基準の「USPAP」に鑑定書は準拠しているかどうか審査するのです。
 厳しい審査です。 自己宣誓し、鑑定士はもちろん鑑定評価額決定に関与した全ての人がサインしなければなりません。 それが無いとアメリカSECは、書類を受け付けてくれないのです。
[K氏より:2006.7.4鑑定協会サイト掲載記事について]
標題は「週刊ダイヤモンド「会計士、建築士に続く不祥事?不動産鑑定士に潜む大きな疑惑」についてと題する06.7.4付け会長発・会員宛会員専用サイト掲載記事についてである。
 不動産の鑑定評価に関する法律45条とは、業務の適性運営に関しての報告・検査立入であり、不当鑑定評価を原因とするものではない。
あたかも不当鑑定を原因とする場合に適用されるごとく書いてあるが、それは間違いであろう。鑑定協会の法律解釈のお粗末さにあきれてしまう。もっとも不当鑑定を行ったことは業務の適性運営をしていなかったのであるから45条が適用されるという反論が出ようが、それは亜流の論理であり、45条の目的は業務の適性運営の立入検査であり、不当鑑定を原因とするものでは無い。もっと大きい範囲のことをいっているものである。
 不当鑑定については総会・理事会で論じるべきものでは無いと記述するが、論じていけないと協会の規定のどこに書いてあるのか。

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