不動産鑑定五訓

 今期の(社)日本不動産鑑定協会:企画委員会では「CSRへの取組」が活動方針の一つとして取り上げられています。CSR: Corporate Social Responsibility とは、「企業は社会的存在として、最低限の法令遵守や利益貢献といった責任を果たすだけではなく、市民や地域、社会の顕在的・潜在的な要請に応え、より高次の社会貢献や配慮、情報公開や対話を自主的に行うべきである。」という考えのことです。また、この概念に基づいた起業家を社会起業家と呼びます。


 昨年末に企画委員会の法務・CSR小委員会(委員長・北川雅章氏)では、中央大学大学院総合政策研究科客員教授・西藤輝氏並びに鑑定協会会長・神戸富吉氏をお迎えして、「日本企業成長の原動力の考察」と題する研究会が開催されました。最近にその講義録が届けられましたので、読者各位の一読に供すべく開示します。西藤氏の講義中に度々引用されます「不動産鑑定五訓」につきましては、本記事末尾に掲載しておきます。
 折りしも、塾・鄙からの発信では、そのテーマの一つに不動産鑑定士に付与されている『士』が意味するものを改めて考えてみたいと思っていましたし、初代鑑定協会会長櫛田光男氏が著された「不動産鑑定評価に関する基本的考察」を取り上げて会読会を催したいとも考えておりましたところです。西藤氏講義の概要は「トヨタ礼賛論」にいささか終始し、陰から目をそらしているきらいはありますが、神戸会長の提唱されている「意識改革の必要性や、品質の向上という基本理念」も含めて、先ずは一読してからと考えまして開示するものです。
【CSR講義レジュメ(081225)ファイルを開く】
【CSR西藤講義(081225)ファイルを開く】

 『不動産鑑定五訓』
 不動産鑑定士は次の五訓を遵守しなければならない。
一、良心に従い、誠実に鑑定評価業務を遂行しなければならない。
一、専門職業家としての誇りと責任感を昂揚し、安易な妥協をしてはならない。
一、自己の信念に基づいて行動し、公正中立の態度を堅持しなければならない。
一、職務上知り得た秘密事項については、正当な事由なく他に漏らしてはならない。
一、常に能力・資質の向上をはかり、自己研鑽につとめなければならない。

 思い返せば、茫猿が鑑定業界に入った70年代前後には、多くの鑑定事務所に、この五訓が額にいれて掲げてあったように記憶します。また、茫猿が鑑定士登録を行い鑑定協会に入会したおりには、協会より掲額用「五訓」が送られてきたかすかな記憶もあります。日々の業務におわれて、五訓の存在すら忘れがちな今こそ、五訓を蘇らせることの大切さを思います。

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