不作為に陥るなかれ

 Client Influence Problem (2010年8月15日)記事に、清水千弘氏からフォローコメントを頂きました。とても鋭く重要な指摘であるとともに、鑑定業界の外側から見た問題認識が何処いらにあるかを再確認させられました。


 ※清水千弘氏のフォローコメント
 ※ほぼ時を同じくして、多分鑑定士であろうK.A生さんから、フォローコメントを頂きました。 重要な問題だとの認識はあるようですが、鑑定評価技術の向上という視点が強いようで、社会との接点という認識は弱いようです。
 報道によれば日本航空の破綻原因を調べている同社の独立機関「コンプライアンス調査委員会」は、「重大な事態に対する歴代経営者の不作為が要因で破綻した」との結論を出したという。 日本相撲協会においても外部有識者で構成される「ガバナンスの整備に関する独立委員会」と親方衆(内部)との軋轢が大きいと報道されている。
 直面している「依頼者の不適切な要請が引き起こす問題」について、鑑定協会はまだ明確な姿勢を示していない。この件に関連して、「2008/06/17 証券取引等監視委員会行政処分」への鑑定協会の対応措置が思い出される。 鑑定協会はフォローアップ措置を行い、対応委員会を設置したのであるが、当該特別委員会はこの問題に係わりのある当事者で構成されるという奇妙なものであった。フォローアップ措置も「お茶濁し的対応」に終始したのである。
 それについて、有力役員氏に背景を尋ねたところ、「証券化問題に精通する会員を選任したのであり、まさか事なかれ対応に終始するとは考えなかった。」と回答されたのである。日本航空や相撲協会の対応に通じる鑑定協会の姿勢であり、抜本的な改革を断行するのだという協会挙げての強い姿勢が認められない、いわば不作為と評して差し支えない対応であった。
 今回の国会質疑についても、蛸壺に入って首をすくめていれば、嵐はやがて通り過ぎるであろうと、まさか考えてはいないであろうと信じたい。 今は鑑定協会のガバナンスが問われているのであり、鑑定協会のCSR(Corporate Social Responsibility)が問われているのである。 事なかれ主義に陥ることは、後々不作為の罪を問われるであろうと申し上げておきたい。
 もう一つ、2010.08.02予算委員会質疑は、「やらせ質疑」の疑いが濃厚である。発端はかんぽの宿問題の再燃をねらったものであろうが、その背景のひとつに鑑定評価に対する根深い不信感が行政府にも立法府にあるのではという疑いが捨てきれない。 国交相答弁にそれが窺えるのである。 知らぬは鑑定協会執行部のみということでなければ、幸いと考えるが如何なものであろうか。
 何はともあれ、鑑定業界外にある方からは丁寧なかつ励ましを伴ったフォローコメントをいただけるのに、少しは読まれているであろう業界人からはK.A生を除けば何の反応もないという状況こそが、ただいまの危機的状況を如実に示していると考えます。
《追記》
 茫猿は『鄙からの発信』にて、度々レビュー制度の創設を訴えてきました。その一部は、タグ「レビュー」からお読み頂けます。
 今に至るも一瞥だにされないのは、茫猿の不徳の致すところであるのは当然のことながら、同時に業界が自ら改革しようという意欲が薄いことの表れであり、事勿れ主義を表すものと考えます。 敢えて云えば「皆さんは、座して死を待つおつもりなのか。」と問う心境です。

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