花屋の店先で吾木香《ワレモコウ:吾亦紅》を見つけ、母の霊前に菊と合わせて飾ってみました。 このところ涼しいから夏場に較べればずいぶんと花持ちがよくて、枯れ花が目立つ前に新しい花を供えられるようになっています。
遺影の前に水替えした花を供え線香を灯して正座し、しばらく母と語るのが日課です。 生前には用がなければ母と語ることなど少なかった自分を謝りながら、ほのかに微笑んでいる母に対座して、佳き死を得るために私はいかに生きてゆけばよいのかと尋ねています。
《菊に吾木香》 背景に溶けて見難いですが、白菊黄菊の背後にワレモコウの赤い小さな実が見えましょうか。
「吾亦紅 さし出て花の つもりかな」 (一茶)
すぎもと まさと:われもこう
常住坐臥、死を考えることを嫌う方も多かろうと思います。 誰が語ったかは忘れましたが、「死を嫌っても、怖れてもよい。 でも常に死を身近に考えることから、佳き死を迎える道につながる。 死を意識すること即ち、如何に生きるかにつながる。」おおよそそんな意味であったと記憶します。 若い頃に娘の死を経験し、三十半ばで齢(よわい)五十を前にしていた師を見送り、弟に先立たれ、母が逝き、高齢の父と暮らす今、死はとても身近にあります。
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