モニタリング制度構築の経緯

 日頃は静かな『鄙からの発信』:フォローコメント欄ですが、過去に例のない長文のコメントが幾つか寄せられています。各位の関心の高さを示すものと思います。
 特に沖縄県士協会において試行されているモニタリングに関するコメントは、実践例を示すものであり興味深く思います。 証券化不動産の鑑定評価のモニタリング委員会でのWG座長を三年間勤められた清水氏のコメントも、現在に至った背景を示すものとして、注目に値します。


 実は茫猿も、現行の鑑定協会モニタリング制度について、協会要職にあった某氏に問い質したことがございます。
 『どうのような経緯で、あのような中途半端なモニタリング制度を構築したのですか?
あれでは、モニタリングの名に値しないと考えます。 なによりも、問題の当事者が多数を占める制度構築の検討WGは、人選そのものに問題があるのでは?』
と糺しましたところ、こんなご回答を得たと記憶します。
 一つ、証券化不動産評価実務に精通する会員が少ない。
 一つ、当事者といえども、識見の高さに期待した。
というものでした。
 証券化不動産評価に精通する会員がWGに参加すべきことは理解できます。 しかし、それが多数を占めることには問題がありましょう。 そのような人選は、得てして内輪の論理に傾きがちです。 その傾きを是正するのは、証券化に精通しなくとも広い視野を有する方を人選すべきでしょう。何よりも鑑定協会内部からの人選に固執することは、問題を矮小化したり、困難さに立ち向かい自らを律しようとする姿勢が低くなりがちです。
 厳しすぎる批判であることを承知の上で云えば、『ポーズを示し、お茶を濁す』方向に傾きがちなのは、相撲協会を例に引かなくとも、世間によく見られることです。
この数年間、協会外から指摘されている「Client Influence Problem」は「大相撲八百長事件」にもたとえられる問題です。 鑑定評価依頼者と受託者には都合が良くても、その結果影響を受ける多くのステークホルダーにとっては、たまらない事柄です。経済的実害からすれば大相撲の比ではないと云えます。
 茫猿が一番危惧するのは、そのような社会の視線を意識していない、あるいは意識していないように見えてしまう鑑定協会執行部の問題意識です。 「オオカミ少年的なアジテーション」をしたくありませんから、言葉を選んでいるつもりですが、協会執行部に問題解決を委ねているのではなく、鑑定協会会員の全てが我がこととして問題を認識し、何が必要か何を為さねばならないのかを真剣に考えてほしいのです。
 危機を挑戦する機会ととらえ、抜本的解決策を見出し突破しようとする姿勢を見せてほしいと願うのです。 このサイトをブックマークに保存する読者はそれほど多くないと認識していますが、それでも高齢者より若年層が多いと認識しています。
 茫猿の問題提起を等閑視するのでなく、自らの将来展望と重ねて考えてみませんか? 自らの将来にとって、何が好ましいのか望ましいのかという視点で考えてみませんか?
 『鄙からの発信』サイト創設間もない頃に、「世代間格差と問題意識」と題する記事を掲載し、不動産鑑定士が持つ不幸な生い立ちについて書きました。
 地価公示制度並びに損失補償基準要綱に支えられて鑑定評価制度が生まれ、国土法や民事執行法あるいは公的評価一元化などという不動産鑑定評価業務にとって恵まれた環境に育てられてきた不動産鑑定士は、自ら業容拡充する努力も、自らを律し社会の信頼を勝ち得ようとする努力も、それほど多くを払うことなく今に至ってしまったことを『不幸』と呼ぶのです。 他のライセンス・ホルダーから見ればうらやむ環境も、不動産鑑定士にとっては「自立・自治・自律」の強い体質を育てる機会を失ってきたとも云えるのです。
 Rea Review についても、モニタリング制度とは違うもの、守秘義務をないがしろにするもの、等々の批判を聞きます。 何よりも「理屈はわかるが理想論だ、現実には無理だ、できっこない。」という世慣れた批判も多数です。
 変革を嫌い、今のままが良いとする、すべて内輪の論理、波風を嫌う高年齢者の思考と考えます。ステークホルダーにとって何が望ましいのか、一般社会において何が好ましいのか、といった視点から考えてみたいのです。
 森を見て木を見ず、木を見て森を見ずと云います。 山は目的の山に分け入ってばかりでは見えないものが多いのです。 山を見るには向かい側の山に登って、目的の山を眺めるととても良く見えてくるものです。 私たち不動産鑑定士は、一度不動産鑑定士であることを忘れて、一市民の目線から考えて見ませんか。

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