第二次新スキーム改善 §Ⅱ

第二次新スキーム改善 §Ⅱ 《新スキーム改善no方向?》
いわゆる新スキームの今後について、幾つかの芳しくない情報を聞かされている。 様々な方々数名より情報の提供も受けている。 文書の名称は「さらなる改善策と背景」と題するもので、2012.09.25開催の業務執行理事会(旧常務理事会)で事務局が配布した資料である。 一般に事務局が役員会や委員会で配布する資料は、その種類に応じて、文書トップ頁右肩に「取扱注意」とか「守秘」とか記されている。 「厳秘」文書の場合は回覧後に回収されるときもある。

09/26から09/28にかけて、茫猿が提供を受けた数通の文書には、いずれの注意書きも記されてはいない。 またいずれの文書も業務執行理事から提供を受けたものではない。 総ての文書は一般会員(常務理事でない)から、提供されたものである。 ですから、文書自体をこのサイトで開示することも可能であるが、文書の内容と今後の日程を考え合わせたときに、今暫くは非開示とするものである。 先ほど、それら情報の背景を取材しようと、事情通を自他共に認めるMr.Xに電話をしたところ、「それより、君は如何に考えるのだ、どんな策を提案できる。 時間があまり無いから、提案する策をサイトに掲載しろ。」と問い詰められました。

鄙の茫猿がたいした策を持ち合わせているわけはない。 それでも、この二週間ほど書いては消し、書いては書き直してきた原稿が幾つかある。 しかし、その原稿では手緩い、成否を賭ける大勝負を遠吠えし、Mr.Xの問い掛けに幾ばくか応えてみようと思う。

一、先ず、最近の経緯である。(日付が曖昧な項目は、茫猿の推測。)
7月中旬前後 連合会幹部が国交省不動産価格指数事業等担当と意見交換する?
8月中旬前後 新スキーム改善一次案が座礁する? 頓挫の兆候は8月上旬に認む。
※関連記事 権限無き事例管理(2012.05.02)
※関連記事 地価公示と日本再生戦略(2012.08.09)
《最近の役員会等日程》
09月02日(日) 臨時正副会長会議開催(未確認)。
09月04日(火) 業務執行理事会(旧常務理事会)。
09月04日(火) 09/24開催予定の新スキーム改善特別委、開催中止連絡。
09月25日(火) 業務執行理事会(旧常務理事会)。
10月01日(月) 第26回PPCメルボルン大会、10/04まで。
10月16日(火) 業務執行理事会及び理事会・開催予定。
10月24日(水) 新スキーム改善特別委員会(委員長:緒方瑞穂氏)・開催予定。

一次改善案の事実上の頓挫を受けて、執行部では09/02から09/25にかけて、第二次改善案が検討された模様であり、その二次改善案(委員長試案?)が、10/16理事会並びに10/24改善委に上程されるであろうと推測できる。 開催日程からすれば、所管委員会である改善特別委と理事会の開催順序が逆である。 しかし、改善委の緒方(会長)委員長以下22名の委員中、業務執行理事会メンバーでない委員は森島他6名のみである。 逆に言えば委員22名中、緒方委員長を含む16名は業務執行理事会メンバーなのであり、09/25及び10/16業務執行理事会で骨子案が採択されれば、10/24委員会審議は実態としては手続き上の補充措置に過ぎないのである。 以上が最近の新スキーム改善案(二次案)を巡る大まかな状況である。

二、第二次改善案の骨子?(SNSをはじめとする複数の情報を基にする推定)
1.資料利活用に関わる閲覧は、連合会に一元化する。
2.資料閲覧はセキュアなオンラインネットワークに一元化する。
3.閲覧対象データは、いわゆる三次データに限定する。
※三次データとは不動産価格指数積算基礎データを云う。
4.閲覧料は実費主義を採用する。
※実費とは照会票発送回収費及びネットワーク維持費等を云う。

以上の二次改善案骨子については、以下の記事等が参考となるであろう。
新スキーム改善問題Q&A (2012.03.19)
再び新スキームQ&A  (2012.03.29)
新スキームQ&A (2012.04.11 理事会配付資料)
その後の新スキーム改善 (2012.04.28)
土建局不動産業課が2012.09.07に公表した「情報整備のあり方:中間報告」を読めば、国交省土建局の考え方が透けて見え、向かうべき戦略も自ずと浮かび上がってくる。

なお、公示由来四次データの閲覧対象除外を問題視する向きもいようが、四次データなどは鮮度の落ちた出涸らしデータなのであり、その閲覧対象除外は三次属性データの掘り起こしから評価業務を始めさせることに為り、総じて鑑定評価の質的向上に大きく寄与することであろうし、楽観的観測に過ぎるかもしれないが、馬鹿げた報酬引き下げ競争も沈静化させることであろう。
ただし、四次データの非正規ルートで流通が蔓延するのではと懸念する方もいる。

三、二次改善案骨子に抜け落ちている重大事項?
一次改善案にも強硬に反対してきた少なからぬ士協会にとって、洩れ聞こえてくる或いはブロック役員会で聞かされる二次改善案骨子は、とても容認できるものではなかろう。 また骨子案には重要な事項が抜け落ちているのである。 抜け落ち事項とは、専ら事例調査の過重な負担に喘いでいる「調査を担当する鑑定士の役務負担」 と、「専ら資料を利用し業務に供している鑑定士の便益」とのあいだに、当然あるべき衡平さが図られていないことにある。

様々な事項を総合的に勘案すれば、狭義の実費主義を採用することにも、それなりの妥当性は認められるが、しかし「然るべき沈黙(2012.09.15)」に述べる、「公的土地評価指向グループ(仮にドメスティック派と云おう)と市場のグローバル化あるいは取引資料の透明化・効率化指向グループ(仮にグロバール派と云おう)」の二極における意識格差は解消されないのである。 連合会の求心力を高め、取引価格情報提供制度や不動産価格指数の基礎となる悉皆調査をさらに充実してゆくためには、この意識格差の解消が急務なのである。 改善作業の原初に戻って原理原則を完遂すれば事足りるというものではないのであり、であればこの一年半は何だったのかということになる。

四、ドメ派とグロバ派の対立?
ドメ派とグロバ派はどちらかが正しく、どちらかが誤っているといえるほど単純なものではない。
しかし、ドメ派が事例調査の前線を担い、グロバ派は利活用の便益を享受するという構図は、取引価格情報提供制度が始まって以来、延々と続いているものであり、ドメ派は適正な利活用を求め、その為には資料の囲い込みも指向する。 グロバ派は情報の全面開示並びに効率的閲覧を要求し、より安価な実費主義の採用を求め続けているのである。 この格差を解消しようとする努力の跡は一向に認められないのである。

茫猿は取引価格情報提供制度の創設当初から、二の1~4を時代が求める必然であると考えている。 しかし、1~4のみでは不十分であり、ドメ派とグロバ派のあいだに存在する不衡平さを速やかに解消しなければ、事例等資料の円滑かつ的確な調査の充実は図り得ないと考えている。 ドメ派が重要な欠落を残したままの二次改善案に反対し続けることに理を認めるとしても、両者の対立が続けば、連合会の当事者能力欠如やガバナンスが疑われかねないことでもある。

それは「情報整備のあり方研究会:中間報告」が示唆する「 既存のデータソースとの連携による中核機能(ハブ)として、情報保有について権限と責任を有する各情報保有機関との連携により情報整備」の指向する方向とは大きく逸脱しかねない危険性を孕むものであろう。 そのリスクを承知の上で反対論を展開し続けるというのであれば、茫猿が遠吠えすることは何もない。 畢竟するところ不毛な論争を続けるよりも、『公的土地評価鑑定士会』を誕生させた方が余程スッキリすることであろう。

もう一点、芳しからぬ予測が可能なのである。 それは斯界等所管庁において、連合会のカウンターパートが土建局企画課に限定され、地価調査課のカウンターパートは地価公示代表幹事会やブロック幹事会に限定されるという事態である。 乳母日傘が瓦解しつつある現状でも実態は似たようなものであろうが、連合会の当事者能力欠如やガバナンスが疑われたときに、その可能性は低くはないと考えられる。 《このことの意味するところは重大であるが、本記事ではこれ以上は書かない。読者の推測に委ねる。》

五、成否を賭ける大勝負?
この数年間、いわゆる新スキーム事業を眺めていて常に思わされてきたことは、ドメ派・グロバ派両者共に守旧主義、事大主義、漸進主義、ときに事勿れ主義から抜け出せないということである。
連合会執行部に不満を抱くのであれば、会長や東日本区・西日本区選出副会長選挙に際して、自派の主張する政策実現を目標とする候補を擁立するに如かずということである。 連合会役員選挙は来年三月に予定されている。 正副会長だけでなく全国十ブロック選出の常務理事にも然るべき候補を擁立すべきなのである。

連合会運営は政治であると云う所以はそこにある。 役員選挙に言及すれば、半年も先のことと言われるかもしれないが、選挙は既に始まっているとも云えるのである。半年間の準備期間は決して長いものではない。 何よりも具体的施策を掲げて選挙を戦うと云うことは、全国の会員に対する何ものにも優る啓蒙策なのである。 まして勝利すれば、以後の施策実行に強力な推進力を得ることになる。

候補者に掲げてほしい施策、それは所管庁や社会も納得させうるものでなければならない。
(1)事例調査並びに利活用の安全性と透明性の貫徹。
(2)調査を担う会員の負担と、専ら利活用する会員の便益享受との意識格差解消。
(3)事例調査は、その重要性に鑑みて、連合会会員の総てをあげて担う。
(4)事例調査の負担軽減と的確性向上を目的とする地理情報システムの採用。
(5)広義の利活用円滑化のために、公的土地評価の望ましい一元化策の提唱。
(6)各種取引価格情報の連繋を担う中核機能(ハブ)を支える覚悟と意欲の表明。

六、結びに代えて
「地価公示スキームによる取引価格情報調査」から「不動産の取引価格情報提供制度スキームにおける全会員の調査役務分担」へと、大きく舵を切り換えることである。 GISやGPSをフル活用し、GPS搭載カメラやスマホを全面的に活用して、取引価格情報の質と量を飛躍的に向上させる、《不動産鑑定士が関与すればこその》施策も速やかに採用すべきであろう。 2012年度は不動産価格指数・商業地について、実施に向けた検討が始まる年度である。 積極的に前向きに連合会を挙げて関わってゆくことも求められていると考える。

単なる事例資料調査という鑑定業界的視点を捨てて、社会に有益な不動産情報の蓄積と還元という視点に立つべき時期が到来したと切り換えるべきであろう。 不動産情報に関わるハブの一翼を担うことにより、社会に名誉ある確固たる位置を占めることを目指す時が来たのであり、この機を逃せば斯界の将来は見えなくなると考える時であろう。

《追記その1》 本記事は、おおかたの会員から顰蹙をかう可能性も感じている。 しかし、役員会等日程に示すように、十月十日を過ぎれば、十日の菊六日の菖蒲となる運命(さだめ)の記事内容であり、敢えてこの時機に掲載する所以である。
ドメスティック派、カントリー派と言われることだろうが、我が鄙里では「出不足料」という慣習がある。鄙の住民総出の協働作業が年2回あるが、何かの差し障りで作業に出られない時には、「出不足料」という一定の金額を支払うという慣習である。 この出不足料は作業当日の休憩時お八つや懇親会飲み物などに充てられる。

とはいえ、ドメ派とグロバ派のあいだに存在する意識格差解消策は、金員をもってすべきと短絡されても困るのである。 三次データ閲覧の次に位置する業務である「属性データの掘り起こし作業」から続く一連の鑑定評価業務を、現場近くに位置する鑑定士と依頼者近くに位置する鑑定士が、本来指向されるべき「提携協働型鑑定評価業務」として適切に位置付けることを希望するのは、素朴な楽観主義であろうか。 売上や受託件数や作業効率のみを追求する鑑定士などは撲滅に追いやるべきであり、鑑定評価業務を楽しむ鑑定士を増やしてゆきたいと言えば、老い耄れた桃源郷主義者と云われることだろう。

もう一つ追記する。 こんな追記をすること自体情けないが、浅読み派も多いから仕方ない。
ドメ派・グロバ派を地方圏域・大都市圏域と短絡しないでいただきたい。 大都市圏域にもドメ派は少なくないし、地方圏域にもグロバ派は多少ながら存在しているのである。  問題はその資質の優劣高低であり、視野の広狭であり、懐の深浅である。 ”リベラル・アーツ”に欠けるドメ派やグロバ派ほど始末の悪いものはない。

何度読み返してみても、この記事はイエローペーパー擬きの遠吠えだと思わされるが、エエィー!! ママよである。 それに加えて、落ち着く先は「業務執行理事会資料1-2:さらなる改善策とその背景」(2012.09.25付け)であろうことも、90%以上の確率で見えている。
なぜならば、前掲資料該当事案が連合会定款第30条第六項該当事項であるとすれば、常務理事会は理事会に報告することにより事足りるからである。 この常務理事会配布資料を注意深く読む時に、資料作成者がメッセンジャーボーイに見えて仕方がない云えば言い過ぎだろうか。

《追記その2》 リーガルチェック問題
リーガルチェックの必要性は2011.08.04付け五つのK記事掲載当時から指摘してきた事項であるが、執行部は長らくその存在を認めず、2012.05.26付け第290回理事会報告に記載するとおり、その存在を認めてからも開示に応じていない。 然るに「業務執行理事会資料1-2:さらなる改善策とその背景」の補足説明末尾においては、以下のように記述するのである。
尚、該当するリーガルレポートは「閲覧窓口規制」についてのみの諮問であり、閲覧料格差については、諮問事項としていないのである。

『補足説明 3.閲覧利用データと閲覧方法』
④独禁法の視点から、競争制限と受け取られる閲覧制度の運用は望ましいものではなく、このことは連合会の顧問弁護士の回答においても指摘されているところである。
【参考】回答の抜粋
「公正取引委員会が、本閲覧方法に競争制限としての効果を認めてその競争制限効果の実態調査に乗り出し、その結果として鑑定協会に対して注意や警告をするリスクがあると言わざるを得ません」

「業務執行理事会資料1-2:さらなる改善策とその背景」 を最後まで読んで、この記述に出会った時には、思わず笑い出したものである。 第290回理事会において、執行部がリーガルレポートの存在をようやく認めた時にも、以下のように答弁したのである。

『当該リーガルレポートは、一名の弁護士が作成するものであり、しかも明らかな法令違反を指摘するものではありません。 所管としては、セカンド・オピニオン、サード・オピニオンを求めるべきと考えます。』 (?_?)
別の機会にはこうも言われました。 『この種の情報を《矢鱈と公開したり、不用意に公開すれば》、不測の混乱を招きかねないから、部外秘を守ることを条件に閲覧または筆写を認めます。 コピー機複写や、カメラ撮影は認めません。』 だって (>_<) 。

《追記その3》 Mr.Xが言うところの提案(提言)について
提言の骨子は、五項に記載する(1)から(6)各項目である。 しかし、これだけでは不十分であるから、近日中に新スキーム改善委員長宛に上申書の提出を検討している。 上申書を提出すると同時に本サイトにて開示する予定でもある。

《追記その4》 浅読み派、読み飛ばし派の方々へ
副題の「新スキーム改善no方向?」は変換ミスでも校正ミスでもありません。 「の」と「NO」を引っ掛けているだけです。 副題は当初の原稿の表題である。 第二次新スキーム改善 §Ⅰの副題は「寂しき呟き」であるが、いずれもこの半月ほどのあいだに原稿を書き始めた記事であり、一応は§Ⅰから§Ⅱへと連続するが、校正や書き直しの時期はランダムであるから、記事内容も一部に時点の経過が錯綜している。 今後の§Ⅲから§Ⅳにかけても同様の現象が現れるかもしれない。
また全体に通じる基本的な考え方も、取材先の意見などを受けて微妙に変化していることを、予めお断りしておくものである。

 

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