インデックス委員会報告

 2月24日に第二回のインデックス専門委員会が開催されました。
その審議内容について御案内申し上げます。
 当委員会は鑑定協会による不動産インデックス(主に賃貸不動産イン
デックス)作成を目的として設置され、インデックス作成の為の手法、
資料収集範囲方法等を企画することを目的としています。
現段階では、インデックスの定義付けも収集資料範囲の確定も行ってお
らず、各委員が提起する諸事項を基礎として、フリー討議による全体像
の把握を中心として審議が重ねられております。
2月24日に主に話題となったこと。
1.インデックスの必要性の再確認。同時に継続性が重要なこと。
2.考えられる賃貸資料、建築資料の収集先。
3.成約賃料データベースセンターの設置検討、同時にセキュリテイ確保。
4.東京会や静岡会における賃貸資料データ収集の状況把握。
5.インデックス作成に当たって、建築面積と施工面積の違いの認識。
6.取引利回りと期待利回りの把握。
7.標準賃料の公示並びに標準建物想定の手法。
8.インデックスがエリア情報である以上、エリア悉皆情報の把握。
9.データベース化に際しての標準フォーマットについて。
等々でした。
 参加委員は、当日の討議結果を基礎にして、次回(3月21日)までに、
意見集約担当委員までに、各々が考える全体企画案(メインフレーム或
いはスキーム)をEmailにて届けることとなりました。
当メールマガジン購読者の皆様におかれても、私宛に御意見や御提案を
積極的にお寄せいただきたいと存じます。集約担当委員宛転送させてい
ただきます。私の企画提案は、3月10日前後にはWebに搭載する予
定です。
このインデックス問題は、唐突に出現したものではなくて、一昨年のデ
ユーデリ騒ぎ当時から或いは識者の間ではそれ以前から課題視されてい
たものです。
御承知のように収益価格を考えてゆく上で或いは投資採算分析を行って
行く上で、指標とできる取引利回りや期待利回り或いは賃料水準その他
の賃貸条件、建築費、必要経費等々について、データの集積と分析を行
うことはとても重要であります。と同時に、信頼できる指標として、責
任ある機関が公表することも社会的責務であると認識されつつあるもの
です。
 国土庁や傘下の土地総合研究所も、この問題には大きな関心を持って
おり、平成12年度予算にも相当額が計上されております。
これは、平成11年1月13日付け「土地政策審議会意見取りまとめ
“ポスト「右肩上がり」時代の土地関連諸制度のあり方”」に基づくも
のであります。同報告については、末尾に転載再掲致します。
 さて、インデックス専門委員会を語る上で、エポックメーキング的な
出来事がございます。それは、委員会のWeb化です。委員会が扱うテー
マが緊急性を要すると云っても、毎週のように東京へ集まるのは事実上
不可能に近いことですが、Web上であれば毎日でも可能です。
少なくとも、意見集約担当委員の許へ随時意見をEmailで届ければ、担
当委員は、寄せられた意見の整理・集約がデジタルデータであるが故に
容易であり、討議の集約速度もはるかに速いと考えられます。
 既に、Web上での意見交換が始まっており、鑑定協会のデジタルデ
バイドの解消にも一石を投じる委員会になると思いますので、興味と関
心を深めて見守って頂きたいと考えます。同時に前述しましたように、
ご自身のこととして、積極的な提案をお寄せ頂きたいと考えます。(鑑
定士であり協会員であれば、当然のこととも云えますが)
※※※ご参考※※※
「土地政策審議会意見取りまとめ
“ポスト「右肩上がり」時代の土地関連諸制度のあり方”」
公共の福祉を優先させ、適正かつ合理的な土地利用計画に従った利用が
必要と、他方、経済財として一層有効かつ効率的に利用できるよう、利
用計画をはじめとする諸規制の緩和等を求める声がある。
今日この二つの要請をどう調整していくべきかという2点について検討
を行ってきた。具体的に検討の対象とした事項は次のとおりである。
中略
③収益を重視する方向での不動産鑑定評価制度の確立
④土地情報の開示・提供の仕組みの整備
中略
5 最後に、③と④は、不動産鑑定評価の分野における収益重視の方向
と土地情報に関する開示・提供についての提言であるが、これらにおい
ては、右肩上がりの地価上昇が見込まれなくなった現在、既成市街地等
に存する不動産の有効利用とそれにつながる土地取引の活性化を実現し
ていくことが必要であるという観点に立ちつつ、ボーダーレス化が進む
我が国経済の中で不動産に対する必要な投資を確保していくためには、
収益力に着目した不動産の評価を重視していかざるを得ないこと、我が
国における不動産に関する情報の開示不足が不動産取引市場における合
理的な価格形成を妨げているきらいがあること等を指摘したものである。
③においては、収益還元手法を中心に、不動産鑑定評価基準に係る分野
において、当面具体的に検討を必要とすると考えられる有期還元手法や
DCF法の採用、適正評価手続の採用、収益還元手法を支える具体的な
データの整備、大都市の高度商業地における現実の複合不動産の収益還
元価格の算定・公表の試行等についての検討を行うべきこと、
④においては、不動産関連の各種情報の具体的な開示を進めるためのネッ
クとなっているプライバシーや守秘義務との関係を整理した上で、特に
実売価格については取引関係者に対する開示方法の検討を行うべきこと、
不動産の収益価格を算定する上で不可欠な成約賃料については、不明確
な場合の鑑定評価における取扱方針を明らかにすべきことと成約賃料デー
タの収集及び活用の仕組みを検討すべきことを示している。

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