インデックス委員会報告00.03.25

資料委員会・インデックス専門委員会の討議も煮詰まって参りました。
成案がまとまるのも近いように感じられます。去る3月21日の委員会
審議を踏まえて、小生の提案を発表します。
提案は、データファイルの構成とデータの入手方法とから成ります。
一、データファイルの構成
賃貸資料等ファイルは、アクセス等のファイルソフトで作成されるのは
当然であるが、ファイルの全体構成を判りやすくするために、表計算形
式にて説明します。
シートNo1 共通事項入力シートである。
a.資料の種類を明らかにする。後述する、建築事例、賃貸事例、賃貸
物件取引事例のいずれであるかを区分する。
b.土地について、所在地、地積、所有者、接面道路、都計規制、その
他の前項各資料に共通の要因を入力する。
c.建物について、家屋番号、種類、構造、建築年月日、建築面積、各
階床面積、所有者、その他の前項各資料に共通の要因を入力する。
d.将来的にファイルの精度と説明能力を高めるために、設計図面、地
図、地形図、建物写真等のイメージデータを入力するフィールドもしく
はリンクフィールドを用意しておくべきである。
又、GISとのリンクフィールドも準備しておくべきである。
シートNo2 建築事例入力シートである。
(入力シートを基礎にして建築事例印刷シート作成)
a.賃貸建物の建築事例に限らず、自用建物の建築事例も入力する。入
力のポイントは、建築工事費積算との関係から、施工面積が重視される。
他に建物の仕様、使用資材、施工の程度、共用面積及び専用(賃貸)面
積、実際容積率及び実際建蔽率(自動計算)、建物の実際有効率(自動
計算)、施工単価(実額or査定額)
シートNo3 賃貸事例入力シートである。
(入力シートを基礎にして賃貸事例印刷シート作成)
a.支払い賃料、一時金、預かり金、契約時期、空室率、回転率等を入
力する。これらの全てが入力されるにこしたことはないが、部分入力デー
タも相当な資料である。
b.次回もしくは近い将来にテナントへの賃貸条件アンケート調査の実
施を予測すれば、テナント毎のデータ入力も行っておくべきである。
シートNo4 建物取引事例入力シートである。
(入力シートを基礎にして建物及び敷地取引事例印刷シート作成)
a.賃貸建物の取引事例を入力するものであるが、建物の時価判定資料
として、自用の建物事例も入力する。
b.取引価格(入力段階では土地・建物の内訳にはこだわらない)、取
引時点、取引当事者
c.その他の資料として、賃貸物件競売結果の入力も考慮しておきたい。
不良債権処理データとして有効なものと考える。競売ファイルとのリン
クという方法も考えられる。
シートNo5 賃料比準試算シートである。
(入力シートを基礎にして比準賃料印刷シート作成)
シートNo3で集積される賃貸事例を基礎にして、標準賃料を試算するシー
トである。賃料比準には解明されていない事項が多いが、地価公示直接
法賃料比準よりは精度と説明能力を高めることが求められよう。
シートNo6 インデックス試算シートである。
(入力シートを基礎にしてインデックス印刷シート作成)
a.地価公示の代表標準地等に想定する想定建物、及び想定標準賃料に
基づいて標準収益価格を試算する。(公示収益価格直接法に類似する)
期初、期末の土地価格、建物価格を試算し、期間の土地建物価額の増減
額を計算し、インカム収益率(年間純収益÷想定標準初期投資額)とキ
ャピタル収益率(土地建物全体価格増減額÷想定標準初期投資額)を計
算する。両者の合計値が標準総合収益率である。
b.最近のデータが充足する資料について、実際インデックスを試算す
る。賃貸物件が取り引きされ、しかも取引データをはじめとして賃料デー
タや建物データが充足すると云ったケースは考えられないので、一般的
には時点の新しい賃料データを読み込んで、土地建物時価を試算し、当
該事例の利回りを試算するということになる。尚、賃貸物件が取り引き
された場合に取引価格・賃貸条件等のデータが判明すれば、取引利回り
の試算は可能である。
シートNo7 その他のシート
その他のシートとして、データ一覧、インデックス一覧等の印刷シート
が考えられる。
更に、最も大事なシート(テーブル)としては、地価公示等とのデータ
交換用シートである。基本的に、このファイルは地価公示フォーマット
に基づいて作成されるものであり、コード変換を前提にしている。
特に、地価公示との互換性保持は必須条件である。
二、データの入手方法と入力方法
a.前項のデータファイルを作成するには、地価公示ソフトと同様の方
法が最も望ましい。地価公示との連携・互換を前提にする以上、現在存
在する地価公示ソフト作成業者に仕様を公開し、作成を依頼する。
会員は、公示と同様に業者より有償配布を受けることになる。
b.データ入力は、地価公示担当評価員が入力し、相互にデータ交換を
行うという、現在の公示賃貸事例入力と同様の方法が、当面は相当であ
ろう。
c.データの入手については、現在の賃貸事例資料の入手と同様の方法
で出発することにならざるを得ないが、鑑定協会及び単位会としての共
同作業も視野に入れておく必要がある。
α.宅建協会との提携事業として、データ提供を求める。先例有り。
  入力解析は鑑定側の作業とし、成果物版権は共有とする。
β.募集広告を基礎資料として、常時入力する体制を整える。
γ.有力仲介業者との提携を考える。
θ.行政側の協力を得ると同時に、住宅地図資料等も併用して、建築確
認申請の閲覧等の手法により、賃貸物件を調査入力し、テナントや
オーナーへアンケート調査を行う。法務局調査は地価公示等に並行
して行う。
 これら組織共同作業の発送入力等業務は、組織の事務局等にて一括処
理されるのが望ましい。
 さらには一過性の側面を持つ取引事例と異なり、継続性という特性を
有する賃貸事例等であるだけに、これら調査結果を地図情報化すること
により、公的評価結果データや取引資料データと合わせて一元管理すれ
ば、都市情報的なデータベースを構築できるものと考えます。

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