シュレジンガーの猫

【茫猿遠吠・・シュレジンガーの猫・・04.10.25】
 確率論の世界では、或る事象の出現する確率はX%である。
しかし、社会現象としては、特に当事者としては、確率0%か100%である。時には半分生き、半分死んでいる。これが、「シュレジンガーの猫」というパラドックスであるらしい。
このような例えが正しいか正しくないか、適切か不適切か茫猿は判らない。知らないし識る必要もない。(量子論と時空概念を無視した筋立てに何の意味もないのであるが、それはさておきということ。)
 今回の事例新スキームが、その実施に向けて徐々に準備の速度を上げつつあるのを見ると、この例えを思い出すのである。認識の甘いままに05/04試行に突入していって、本当によいのかと不安になるのである。つまりのこと、生きているように見えるが死んでいるのではないかということ。
 鑑定士にとって事例収集作業は、永年慣れ親しんだ業務である。守秘義務は意識していただろうが、、『茫猿自身も含めて』個人情報保護までの意識は乏しかったであろうし、何よりも情報保護の観点よりも、事例閲覧とか業務過重とか異なる次元の話題が先行しているようである。
 茫猿は当サイトに記述しているが、不用意に実際事例を掲載してしまった「不動産鑑定誌1987年2月号記事」執筆の責任をとって、87年調査、88年公示の協会推薦を辞退した経験を持っている。当時はそれで済んだが今なら大変なことになるであろう。当時も今も編集部の責任も等しく問われるであろうから、不用意なことは起きないであろうが。それでも、起きるときは起きるのである。
「シュレジンガーの猫」
http://www2.jmpa.or.jp/kou5039/business/business06.htm
http://www.astkingdom.com/dukedom/kurou/setumeikougi.htm
http://members.jcom.home.ne.jp/ksrc/f010023.htm
http://www.jst.go.jp/pr/report/report83/details4.html
 保護法ガイドラインから、今回のスキームを眺めるときに、オンライン部分はIP閉鎖地域網経由であることから、何ら問題はなかろうと考える。
 また、専用レンタルサーバー等を利用すれば、メンテナンス、バックアップ、停電、盗難、火災等のサーバー管理も問題ないと考える。
 問題が生じるとすれば、クライント端末やローテク部分であろうと考える。思いつくままに列挙すれば次の通りであるが、これらの多くは「シュレジンガーの猫」状態であるとも云える。つまり観測されなければ「未必の故意」を問われることもないのである。
1.サーバー管理事務局端末及び会員のネット接続端末について
・パスワード設定はなされているか。
※誰もが起動できるネット端末PCは無防備の極みである。
・ヴィールスチェッカーは用意されているか、アップデート設定はされているか。
※対策ソフトをインストールしてても、最新ワクチンが無ければ無意味。
・ウインドウズについても、アップデート設定はされているか。
※ウインドウズは穴だらけ、アップデートが必須。
・指紋など生体認証を採用できるか、しているか。
※指紋認証起動であれば、パスワード忘れもない。(1万円前後で設置可能)
・スクリーンセーバーにパスワード設定はされているか。
※食事やトイレなどで離席する時に電源切り忘れ対策である。
・ルーターの設定内容について、士協会で一括管理されているか。
※ルーター設定内容は本人が知らない方が無難である。一括漏洩は問題外。
・関連ファイルを脱着可能メデイアやノートパソコンにコピーすることを禁止しているか。
※FDやMO、ノートPCの置き忘れ、車上狙いによる盗難事故が事故原因として多い。
2.ローテクな管理
・ゴミ箱を廃止して、シュレッターを利用しているか。
・照会票や公示評価書2枚目のミスプリントは適正に廃棄されているか。
・クライアント端末がある部屋へ出入りする職員全員の誓約書・住民票は用意されているか。
・個人情報関連ファイルの書庫は施錠されているか。
3.事例ファイル管理ソフトについて
・事例属性データ作成に際して、閲覧並びにダウンロード件数の制限。
・作成後の事例閲覧管理についても、同様の件数制限を課すこと。
4.コンプライアンス・プログラムについて
・会員と会員事務所職員の研修・教育の継続実施。
・年一回程度のセキュリテイ監査の実施。
 いささか、過剰反応に思えるかもしれませんが、頑固なほど慎重なのが望ましいと考える。後ほど緩めるのは可能ですが、緩いガイドラインを厳しくするのは大変なのである。一人の不注意が全体の迷惑になることを考えれば、作成されるであろう鑑定協会ガイドライン未対応会員は、ネットワーク接続拒否もやむを得ない処置と考える。
 また、今後予想されるのは、悪質なクレーマーの出現である。
鑑定業界は金にはなりませんが、ニュースバリューは大きい業界です。クレーマーにとっては、その意味で狙いやすい業界とも云える。
私は先々で、このように伝えています。
『とにかく、一番先に新聞種になったり、是正勧告を受けたりしないように注意しよう。判例や他の士協会への是正勧告等が出されて、詳細が判明するまでは、安全の上にも安全に、頑固に努力しよう。』
『根拠の明らかでない楽観論に傾くことは厳しく戒めなければならないのである。既に法は施行されているのだから、個人情報関連紙ファイルは、製紙業者での溶解処分または公営処分場において焼却処分を行うことが必要である。そのような処分を行うだけでなく、処理記録の保存も必要なのである。
不用意に一般ゴミに混ぜて処分するようなことは決して行ってはならない。』

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