天神さんと芸妓さん

【只管打座・・天神さんと芸妓さん・・ 01.10.10】
 先日、気のおけない仲間数人と、京都北野上七軒で日本舞踊を鑑賞す
る機会に恵まれました。上七軒は京都市街の北西部・菅原道真公を祭神
とする北野神社(北野天神)の東側にある花街です。
 こぢんまりした花街ですが、室町時代に由来を発する歴史のある街で、
街並みも先斗町や祇園東部など市街中心部にある他の花街が雑居ビルの
進出で古い景観を無くしている中で、木造の京町屋が連旦するしっとり
とした雰囲気を残しているところです。
 鑑賞した踊りの会は「寿会」といい、上七軒芸舞妓の皆さんが日頃つ
み重ねてきた技芸の精進のあとを披露する秋恒例の行事で、別名温習会
とも云います。京都の春の踊りの会はマスコミで取り上げられることも
多い祇園の「都踊り」や、先斗町の「賀茂川踊り」などがあり、上七軒
では「北野踊り」と銘打って、それぞれの花街の歌舞練場で開催されま
す。
 秋開催の温習会は春の踊りほど華やかではないのですが、意欲的な演
しものも多く、また楽しいものです。客席には祇園や先斗町のお姐さん
方の顔もちらほらとあり、眼福を味わえます。京都五花街お互いのライ
バル意識も技芸を磨くよい肥やしとなっているのでしょう。
 当日の演目は「長唄・菊」、「清元・お祭り」、「長唄・二人椀久」、
「長唄・あたま山」などでした。
「あたま山」は、安藤鶴夫作詞の古典落語を題材にした舞踊劇で、コミ
カルな踊りや心中道行きもあり楽しく判り易いものでしたが、鑑賞した
皆が異口同音に感激したのは「二人椀久」でした。
「二人椀久」は椀屋久兵衛:片岡仁左衛門、松山太夫:坂東玉三郎で踊
られたこともある名曲ですが、堺の豪商・椀屋久兵衛が放蕩の未逢えな
くなった馴染の傾城松山恋しさのあまり狂乱し、その幻影と連れ舞うと
いう物語を題材にした舞踊劇です。
 今は落魄した豪商の寂寥感があふれる舞台前半、夢に見た愛しい松山
の幻と椀久が昔の逢瀬を懐かしみ舞い踊る華麗な後半、そして、夢から
覚めた椀久が静かに息をひきとるラスト・・・。
 芸妓「福鶴さんと尚子さん」が永年の修練に磨かれた技芸をみせる、
幽玄と華麗の二つを心にしみわたらせてくれた見事な舞台でした。
 日本舞踊に接する機会など殆ど無い茫猿ですが、仲間達と機会に恵ま
れて観た舞台は華麗で、日本の伝統文化を改めて見直す佳いひとときで
した。
 祇園や先斗町・上七軒など、敷居が高い感じがしますが、以外とそう
ではなく、一般の私達が接することができる機会も結構あります。
前にも紹介したことのある上七軒歌舞練場のビアガーデンなどもその佳
い例です。
 舞台がはねて、踊り装束から座敷衣装に着替えた舞妓や芸妓に「アリ
ガトウサンドシタ、マタ、オコシヤス」と声をかけられて歌舞練場を後
にする至福の茫猿とその仲間達でした。
 尚、上七軒歌舞練場は築後数十年以上と認められる客席数5百ほどの
木造の劇場であり、この小屋の雰囲気を味わうだけでも一見の価値有り
と鑑定士の端くれとしては思いました。
「上七軒」について
 京都の五つの花街の一つであり、お茶屋が軒を連ねる静かなたたずま
いです。室町時代初期に北野天満宮が焼失し、再建の折の残り木で七軒
の茶屋を建てたのがはじまりとの事です。
 遊女街として公許された古い花街で、毎年2月下旬頃の梅花祭にはき
れいどころが献茶を行い、北野をどり(4月開催)では、芸妓・舞妓が舞
踊劇を披露します。又、夏になると、上七軒歌舞練場の庭にビアガーデ
ンがオープンする為、一見さんでも気軽に楽しめます。
http://www.nishijin.or.jp/jpn/town/spot/cont/23.htm
(街並みの写真もあり)
「二人椀久」について
http://www.icompass.ne.jp/mindup/japan_culture/buyou07.html#2

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