新基準を考える-DCF補足

【茫猿遠吠・・新基準を考える-DCF補足・・02.10.22】
 「鄙からの発信」は、読者諸兄から頂いた収益還元法に関する投稿を掲載して
まいりましたが、収益還元法についての理解を前提にしなければ、一連の投稿を
正しく理解するのは難しいことです。
 といっても、市井に流布する多くの大部の書籍を読破することは、日々の仕事
に追われる茫猿のような者にとっては、これも至難であり、同時に文系・散文系
の粗雑な頭(これを分(文)散系頭脳と云います)では数式を見ただけで頭痛薬の
お世話になる有り様です。
 そんな茫猿にとって、下記のサイトは有効・有力な応援団です。
以前にも「鄙からの発信」で紹介し、投稿者署名でも引用しているサイトですが、
手軽に(失礼な表現ですがご容赦下さい)読了でき、判りやすい解説です。
DCF、NPV、IRRなどについて、理解を深める近道として改めてご紹介しますので、
ぜひともお読み下さい。いずれの論考もPDFファイルですから、印刷してお読みい
ただくのが宜しいでしょう。
WWW.KANTEISHI.NET 「不動産鑑定士堀田勝己氏主宰サイト」
http://www.kanteishi.net/
▼当サイトの開設にあたって(氏のサイト開設の基本姿勢について)
http://www.kanteishi.net/kantei/opinion/kaisetsu_f.html
 サイトの中の論考中、特にお薦めする論考は次の三本ですが、お読みいただく
順序は掲載順でなく最初に05、次いで02をお読み下さい。そして新基準に改訂さ
れた地域分析についての示唆に富む06に進まれるのがお薦めです。
05 DCF法のタテマエと本音~文系にもよく分かる
http://www.kanteishi.net/kantei/paper/005what_is_dcf.pdf
02 DCF法に対する誤解、無理解、過剰期待
http://www.kanteishi.net/kantei/paper/002dcf.html
06 都市の構造変化と不動産市場分析
http://www.kanteishi.net/kantei/paper/006marketanalysis.pdf
『追記』
 論考を読むことをお薦めした以上、お読み頂いた結果に委ねるべきであり、部
分引用は著者の真意を誤解させる畏れもあることですが、あえて我田引水的部分
引用を致します。著者の立脚点を知るという意味にご理解頂ければ結構です。
※収益還元法の精緻化(堀田氏の論考より部分引用・項名は茫猿付加)
 しかし、従来このように収益還元法が曖昧な点を多く残していたのは、ひとえ
にわが国における不動産の取引慣行に起因することを付言しておく。現在でこそ、
不動産から得られる収益によって投資額を決定するという状況が訪れたのであっ
て、高度成長期以後のわが国では、土地は必ず値上がりするものという常識の下、
インカムゲインを厳密に測定する必要性は乏しかった。
 従って、不動産取引を行う主体は、常に類似不動産の取引価格にのみ着目し、
収益性(インカム部分)は何らの指標にもなっていなかったのである。
昨今の収益還元法の精緻化は、ひとえに時代の要請なのである。
※DCF法の今日的意義(堀田氏の論考より部分引用・項名は茫猿付加)
 これまで見てきたように、DCF法(正味現在価値法)は、将来収益の割引現
在値を求める場合の一般式であり、一定の条件が整えば、それは、直接還元法の
ような単純な式に変形することができる。エルウッドらの功績は、現代のように
コンピュータが全盛となる以前の時代には大きな意義を持っていたものと言える。
しかし、収益還元法の一般式であるDCF法がコンピュータによって簡単に行え
る現在においては、あえて直接還元法を用いるべき意義はないように思われる。
※説明責任とDCF法(堀田氏の論考より部分引用・項名は茫猿付加)
 既に繰り返し述べてきたように、従来手法が決して劣っているというわけでは
ない。ただ、DCF法のほうが、収入や支出の具体的な変動予測があからさまに
表現されるので、ごまかしの利かない、正直な手法であると言えよう。
 DCF法を適用しても精度の高い収益価格が求められない状況なのであれば、
従来手法でも事態は同様であり、精度の高い収益価格が求められる状況が整った
ならば、いずれの手法を適用しようが問題はない。
ShinSan Mobile 『鄙からの発信』

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