システム設計

【茫猿遠吠:システム設計:05.02.11】
取引事例開示制度発足に伴う、事例調査新スキームに関わる日程その他が少しずつ明らかに為りつつある。05年09月開始の試験施行は関東圏域では東京都、埼玉県、神奈川県、関西圏域では大阪府、京都府、東海圏域では愛知県のそれぞれ政令指定都市(東京都は区部において)において実施されるようである。
この試験施行開始時期に合わせて、システム設計やネットワーク整備の準備が進められつつある。鑑定協会における準備は、企画・地価調査・資料の関連三委員会合同特別委員会が設置され、この合同委員会主導の下に準備作業が着々と進行中のように側聞する。
側聞する限りにおいてのことではあるが、この準備作業について問題はないかと云えば、問題はあると云わざるを得ない。
先ずは情報開示が非常に不十分と云うことである。
勿論現在は、2月末より全国的で開催される個人情報保護法に関する研修会を控えており、詳細を会員に明らかにするのは、その研修会において、あるいはその後に然るべくということなのかもしれない。
それにしても、既に決定していること或いはほぼ決定していることについての情報開示が不十分であると云える。例えば、今回の新スキーム事例調査に関する公式発表が未だに何も行われていない。検討中あるいは未定だとしても、概要の発表くらいは行われて然るべきであろうと考える。
今回の新スキーム事例調査は、地価公示評価体制に準拠して行われること、
データの種類とそのフロー、調査業務はオンラインネットワークによって行われること位は説明があって然るべきであろう。
同時にそれぞれの予定日程と必要な会員側の準備作業についての発表があってもよかろうと考える。会員はその実施日程に応じて、事務所のインターネット接続環境をADSLに変えたり光通信導入を検討したりするであろうし、使用しているパソコンについて、機種変更やOS改訂を予定できるであろう。
この件に関しては、理事会、地価調査委員会、資料委員会、代表幹事会、全国士協会会長会議等において資料配付がなされており、「それらのチャンネルを通じて全会員に情報が伝達されている」というのが鑑定協会の見解のようであるが、このチャンネルが十分に機能しているとは言い難いのが実情である。
鑑定協会は、理事会や各委員会配布資料は即日PDFファイル等で Web Site 公開すべきであると考えるが、如何なものであろうか。
もう一つの問題点はもう少し根幹的なものである。
一般的によく云われることであるが、新しいコンピュータシステムを導入して生じるトラブルは、単純なミスが原因となることもあるが、最も多いのはシステムを作成したシステムエンジニアとシステムユーザーとの間の意思疎通が欠けていることに原因するものである。
当たり前のことであるが、システムエンジニアはコンピュータプログラムには精通しているがクライアントの業務には精通していない。同じくクライアントは自己の業務には精通しているがコンピュータには精通していないのが普通である。そこでは通訳者や翻訳者の存在が欠かせないのである。
エンジニアに「地価公示業務を勉強しろ」と云うのは簡単であるが、この要求はえてして問題を起こすのみである。それよりも、鑑定士側で「地価公示業務について最近5年程度の実務経験があり、ネットワークやプログラミングに多少の知識がある者」がシステム設計の現場に存在することが必要なのである。
この種の委員会でよく聞かれるのは「私はコンピュータやシステムには不案内だから、後は宜しく」という言辞である。このような言を弄する人々で委員会が構成されるとしたら、無責任極まりないし、何より危険である。なかには地価公示を離れて数年などと広言する人もいるとすれば、論外であろう。
システム設計は、業務全体を分析することから始まり、フローチャートを描き、基本設計を行い、ユーザーインターフェースを設計し、次いで各パートのプログラムを書いて、システム全体を完成されるという工程を踏むものである。
優秀なシステムというものは、ユーザーが扱いやすく、画面が見易く、入力が容易かつ省力的であり、そして速く、トラブルが無いということに尽きる。
そこでは、鑑定側が示すフローチャートがシステム設計者に理解されなければならないし、ユーザーインターフェース(ユーザーが見る入力等画面)が理解し易く入力が容易でなければならない。同時に大事なことは、セカンドオピニオンの存在である。鑑定側の要望や要求にシステム設計側が全て応えてくれる訳ではないが、応えてくれない理由が鑑定側の要求が過大である場合はやむを得ないが、システム設計側が異なった思い込みをしている場合や、不得手だから使いたくないスキルなどに原因する場合もある。
このような場合に、セカンドオピニオンの存在は有効なのである。
以上のような基本的な考え方に則って、鑑定協会理事会や所掌委員会がシステム設計業務を進めているのか否か、疑問なのである。
鑑定協会がシステム設計者に、今回のシステム設計を丸投げしているのでなければ幸いであるが、現実はやや心許ないという感じがするのである。
ユーザーインターフェースについて、もう少し判りやすい説明をしてみよう。
地価公示の事例カード作成ソフトについて、筆者は一社しか利用した経験がないが、他社製も大差がないと聞くから、同工異曲として取り上げてもよかろうと考える。
取引事例カード・データ入力画面の構成は、印刷フォーマットに忠実に従って作成されている。慣れれば、問題ないと云われるかもしれないが、何年入力しても慣れられないユーザーインターフェースなのである。
何故かといえば、データ入力フィールドが鑑定士の思考過程に則した配置が為されていないからである。茫猿が日頃不満に思っている事項は多いが、そのなかでも改善してほしい事項を幾つか例示してみよう。
1.入力画面を画面スクロール方式でなく、数値要因と判断要因に分割してほしいことである。さらに鑑定士は常時データ入力を行っている訳ではないから、入力事項が明認できることが重要であろうし、できれば画面右か左端に入力未了もしくは入力済みの表示が示されると有り難いのである。
2.入力順序も、最初に確定し易い画地条件、街路条件、法規制、次いで入力施設名に判断が伴う接近条件、最後が地域の状況等の文章表現の入力、そして時点修正率及び事情補正率入力であろう。
3.画地条件入力と同時に、標準化補正率も入力できるといいであろう。
これには一括入力が好ましいという意見もあろうが、一括入力か随時入力かの選択が可能であるようにしておけば問題はなかろう。
3.時点修正率や事情補正率が入力されると同時に、数値入力フィールドの近くに入力後の補正数値が表示されれば、入力数値の判断に寄与するところが大きいであろう。
我々鑑定士はどのような思考過程を経て、取引事例の価格時点における推定標準価格を求めているのであろうかという分析のもとに、事例データ入力画面が作成されていないと考ええるのが、現在の公示ソフトの状況であると申して過言はなかろう。
この点に関して、評価したいのは、「個人情報保護法・鑑定協会ガイドライン」について、 Web Site を通じて意見を求めたことである。残念ながら寄せられた意見は、次回のガイドライン改訂に反映させるということであり、意見を直ちに反映させるという作業は行われないようであるが、一応は聞く耳を持ったという点は評価できる。聞きっぱなしという可能性も否定できないであろうが。
そこで、今回のシステム設計に際しても、逐次情報を開示して意見を求め、その意見を新しく造られるシステムに反映させてゆくことが肝要であろうと考えるのである。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
システム開発に関して、下記サイト記事から、その一部を引用します。
「情報システム開発方法論」
http://www.naska.co.jp/index.shtml
※方法論?
情報システム開発の「方法論」とはなんでしょう。
これは単なる「方法」とは明らかに違うものです。「論」は無意味についているのではなく、とても大事なものなのです。
「方法論」は、ある仕事をするための「方法」に加えて、適用する「コンセプト、原理、ルール」を明確にし、これら全てを統合した一連のシステムなのです。「方法論」においては、「方法」との差分に当たる「論」の部分が、その仕事を実行する際に「何故こうするの?」という疑問に答えてくれます。
※利用部門主導によるユーザ要件の実現
あるユーザのプロジェクト・マネジャ(利用部門出身)の言葉を借りると、「業務設計とは、利用部門の漠然とした二一ズを論理的に細分化し、定義していく作業であり、利用部門が責任を持つべき内容である。」と言えます。
そのために情報システム開発方法論では、開発初期の段階で業務側とシステム側のメンバの両方が共通に理解できる「言葉」と「地図」を提供するのです。
この「言葉」と「地図」を持つことにより、経営トップと利用部門、そして情報システム部門の意志を統一し、この3者の「三位一体」を実現します。
そしてこの「言葉」と「地図」は、以後の設計局面においても一貫して使用されます。
これにより、情報システム部門の独り善がり的開発ではなく、経営トップと利用部門の真の情報要求を満たす開発を実現することを可能にします

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