鑑定協会執行部への質問とご回答(2)

 鑑定協会執行部への質問と回答(1)に続く、副会長各位より頂きました御回答です。掲載順も含めて回答原文のまま掲載します。なお、05/03当時の公開質問回答を併載しますが、その質問要旨は以下の記事よりご覧下さい。
「2005年 公開質問」(2005.03.17)
同じく【横須賀 博候補のご回答 05.03.20】


『質問』
 鑑定協会は、直面する鑑定評価を取り巻く疑惑払拭に努め、信頼性を回復しなければならないのであり、「証券化・流動化対象不動産の鑑定評価が適正に行われない場合、不動産鑑定評価制度に対する国民の信用を大きく損うこととなる。」ことを念頭に自ら対応しなければならないのではないか。
このことについて、「会長の補佐」(定款第13条)の任ある副会長各氏のご見解を求めます。
〈稲野辺副会長:御回答〉  「05/03/28・立候補時の公開質問御回答」
鑑定協会の副会長は会員の付託に応えて会長を補佐する役割を担うものと心得ておりますので、質問に対し掻い摘んで回答いたします。
1.会長の個人に関する不動産鑑定評価書について
会長会社の発行する不動産鑑定評価書について、その不当性が総会で指摘されましたが、不当か否かは協会が設置している綱紀委員会乃至は国土交通省の判断に任せるべきで、不当か不当でないかが明らかでない段階で協会として議論すべきものではないと考えます。
2.最近の不動産鑑定評価に関する社会の視線は、証券化関連鑑定評価に関するものに向けられており、抵当証券に係る鑑定評価以外の問題として注視されております。したがって、不動産の証券化に関連する鑑定評価に当たっては、証券取引等監視委員会並びに国土交通省の指摘のとおり、鑑定協会会員に対する倫理の更なる啓蒙を行わなければならないと思っております。その方法については、常務理事会、理事会等で検討されました。
〈増田副会長:御回答〉  「05/03/20・立候補時の公開質問御回答」
先に、別途メールにて個別に回答済。
「増田氏の云われる「私信E.Mai」lの内、開示可能と判断されるを部分を転載します。」
 一連の経緯は、(中略) 
 当初、J・Pモルガン、新生信託で金融庁が鑑定書について、エンジニアリング・レポート(ER)が反映されていないと指摘があり、(中略)次のオリックスでは関係鑑定士等のヒアリングを行ったうえ、2度目の周知徹底の通知となったものです。
 ER作成業者、鑑定依頼者に、ERの取り扱いでより多くの問題があったとはいえ、(中略)評価側にも安易さがあったと思います。また、J・REITに関係している業者は、一握りの業者ですが、上場されているので、相当透明性が高く、現時点では、問題は少ないと思います。(中略)それに比べ、プライベート・ファンドはまったく不透明です。
 これらを踏まえ、金融庁から、国交省土地政策課への圧力が強く、局長通達となったと思います。鑑定協会も遅れていますが、会長を委員長に据え、証券化関連の特別委員会が近く発足します。色々問題がありますが、杞憂に終わるように対応していますので、よろしくご理解を賜りますようにお願いします。        
〈石橋副会長:御回答〉  「05/03/20・立候補時の公開質問御回答」
 近年不動産投資市場の過熱化により、証券化対象不動産の鑑定評価に関して不適切な事例が顕在化してきています。そのため、国土交通省から当協会員に対して「証券化対象不動産の鑑定評価等の適正な実施について」の指導及び徹底が行われました。
 森島先生ご指摘のとおり、早急にこれらの憂慮すべき問題を解決し、社会の信頼性の回復に努めなければならないと思います。
 そのためには、証券化対象不動産の鑑定評価を適正に行っていくうえで、不動産投資市場の条件整備を図ることはいうまでもありませんが、私たち不動産鑑定士においても技術基準の向上及び倫理向上による自己規律化が喫緊の課題といえます。
 本会としては、これらの問題に対処するため、今月4日に開催された第376回常務理事会において「証券化関連鑑定評価の水準向上及び適正確保に関する特別委員会」(委員長:横須賀会長)の設置が承認されました。
 私も当委員会の委員の一人としてこの問題の解決のために積極的に取り組んでいくつもりです。
〈緒方副会長:御回答〉  「05/03/28・立候補時の公開質問御回答」
ご指摘の通り、証券化・流動化評価だけでなく、評価のあらゆる局面において鑑定士は国民の信頼を失ってはいけないと思います。
副会長にはそれぞれの担当役割があり、その立場で会長を補佐する責務を負うものと思います。
総務財務担当の小職としては、国民の信頼を損なわないために、協会が実行できる方策を考えることになります。
たとえば、証券化評価の信頼性を高める評価基準の見直し、証券化評価データの蓄積と会員への公表等は、特別委員会で検討できると思います。
また、評価書の公開レビュー制度が、どのような内容のものかよく理解しておりませんので、意見を申し上げられませんが、レビューをどのように行なうのか、リート評価に限るのか、私募ファンドも含むのか、誰がレビューするか・・・。監査報告書のレビューのような方策が、協会で実行可能なのか。これが実現すれば、何もいうことはありません。
小職といたしましては、特別委員会に直接関与することはできないにしても、鑑定評価の向上につながる項目については意見を申し述べて行くつもりです。
なお、証券化評価のみに係わるものではありませんが、会長を補佐して、本年3月、約20年ぶりに倫理規程の見直しを行ないました。外部意見の導入による客観性・透明性の維持、判断の迅速化、委員の再任回数制限による惰性の排除、隣接周辺業務の倫理等をさだめ、積極的に社会の信頼を得るよう改定いたしました。
もちろん、これによってただちに高い見識と倫理が生まれるとは思いませんが、少なくとも会員の意識を緊張させることはできたのではないでしょうか。このような地道な変更も効果があるものです。
〈平澤副会長:御回答〉  「05/03/22・立候補時の公開質問御回答」
執行部は総辞職し、協会は再スタートすべきである。
 今回のJPモルガン及びオリックス投資法人に対する金融庁の行政処分に伴う国土交通省の指導は今年になって始まったことではなく、先年よりファンド関係者の間では問題視されていたことであり、誠に不名誉なことである。しかも、一ヶ月間に二度(6月5日及び6月29日)に渡って鑑定協会が国交省から指導を受けるという前代未聞の事態となっています。
ここまでの事態にたち至る過程の中で、何らの対応もしてこなかった(社)日本不動産鑑定協会の指導部は、自らその指導責任をとることによって、今日までのイメージを払拭すべく不動産鑑定協会としての社会的責任を明らかにすべきです。これを契機として、協会役員及び会員が一体となって急拡大を続けるプライベートファンドやJ–REIT等の不動産投資市場のトランスペアレンシー(透明性)の向上に努めることが、今後において私達不動産鑑定士が再度社会的信頼を勝ち獲る基本的な姿勢です。
私自身、先年よりこの問題に対し、セミナーや紙面を通して(J−REIT、ファンド関係専門誌、RMJ2005年7月号、「不動産鑑定評価の訴訟リスク」)指摘し続けてきたところではありますが、現執行部に存在する限り責任を回避することはできないものと考えています。誰がどれだけ努力したのかではなく、鑑定協会会員全体に対する指導部の一体責任としてこれを考え、社会に対しては鑑定協会全体で新たに出直す契機とすることが何にも増して重要であると思うからです。よって、横須賀会長及び副会長の全員及び横須賀会長の指名を受けて常務理事に就任していた常務理事の全員並び国土交通省土地鑑定委員会において鑑定協会側の委員として任命されている増田副会長及び緒方副会長は、真しに協議し、鑑定協会指導部としての責任を取り辞任すべきです。本件については、平成18年7月18日開催の正副会長会議においてその旨提案しましたが、賛同は得られませんでした。全会員及び社会に対する指導部の一体責任として早急に対応すべきであると私は思います。理事会の一部には、すでにそのような声があがっています。

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