我が家の鄙桜はすっかり葉桜になりましたので、吉野山へ桜を訪ねてみました。名古屋駅から近鉄特急で訪れた早朝の吉野山は時折小雨のちらつく生憎の天候でしたが、そのぶん訪れる方も少なく、静御前や西行法師、そして後醍醐天皇ゆかりの吉野山を堪能できました。
「 願わくば 花の下にて 春死なん その望月の 如月の頃 」(西行)
昼前は花見客も少なかった吉野山でしたが、昼過ぎる頃の蔵王堂門前あたりは繁華街の雑踏並みの人出になりましたので、帰りの混雑を思って早々に山を降りました。
花曇り、花冷えのなかでの花見ではございましたが、見渡すかぎりの山々がおぼろに桜色に染まる景色は格別のものでした。下の千本は散り染め、中の千本は満開、上の千本は八分咲きでした。
花のしたで弁当をひろげる人たちもあちこちにいます。 吉野桜の楽しみ方は様々でしょうが、今回の茫猿は近鉄吉野駅に朝早くといっても九時過ぎに到着し、駅前から中の千本まで臨時運行されているシャトルバスに乗り、さくらの広場を歩いたあとは蔵王堂を経由して七曲がりから吉野駅まで歩きました。
近鉄吉野駅から七曲がりを登ってゆくと正面の山がすべて桜色です。
中の千本から如意輪寺を遠くに眺めます。
下の千本、蔵王堂あたりの桜は葉桜気味です。
上の千本でひとやすみした茶店の桟敷は花むしろです。
吉野駅から大阪阿部野橋駅に向かう近鉄特急はその名も「サクラ・ライン」。淡い緑を帯びたクリーム色の車体(アーバンライナー型)に桜色のラインがスマートな電車です。
御衣黄桜(ギョイコウさくら)が咲き始めていました。 御衣黄桜は花弁に葉緑素を持つ桜で、京都仁和寺が発祥と伝えられている桜です。御衣黄色(貴族の装束の色である浅緑色)の桜と名付けられ、浅葱(アサギ)桜とも呼ばれているようです。 写真の桜は京都市二条城前:東堀川・二条橋北に植えられている若木です。
春の和菓子を思わせる浅緑色の花は、なんとも上品な優雅さを漂わせます。
隣に満開の花を開く濃艶な八重桜と比べてみれば。
もういちど、御衣黄桜。
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