【茫猿遠吠・・士法検討専門委&鑑政連改編委・・04.08.20】
茫々猿を標榜し公的な活動からの引退を鮮明にしている茫猿ではございますが、妙な(不思議な)成り行きから「士法検討専門委」と「鑑政連改編委」の両委員会委員に委嘱を受けて、来九月から度々上京することなりました。
「士法検討専門委」
不動産鑑定士法検討専門委員会(仮称) 7月理事会にて設置決定(詳細未確認)。
『設置目的』
「不動産の鑑定評価に関する法律」を士法へ改正することのメリット、デメリット及び改正するためにクリアしなければならないハードル等を整理することを目的として設置された専門委員会である。(開催通知より)
委員長:都築武保氏(近畿)
委員:H.H(関東甲信)、I.H(東京)、I.T(東京)
F.K(九州)、茫猿遠吠(岐阜) 以上六名。
※委員名は公開前ですし、個人的に開示を是とされない場合もあろうことから、匿名イニシャルのみとします。
第一回委員会開催予定 九月一日(水)
第一回委員会検討事項として、都築委員長よりの照会事項(例示)
1.士法移行のメリット、デメリット
2.士法移行の手法(法律改正、新法制定)、手順
3.士法移行後の個人業者、実質個人の法人業者、数人鑑定士の法人、大手法人の法人形態
4.鑑定協会本会はどうなる。
5.地方社団はどうなる。
6.その他
以上について、8/23までに事務局宛に回答するようにとの要請がございました。茫猿が回答致しました粗案は本稿末尾に掲載致しますが、この委員会は六月定例総会及びその前後の理事会或いは関東甲信会のアンケート調査等々、様々な事象を受けての委員会設置であろうと推察します。
この委員会がどのような審議を経て、如何なる結論を理事会に答申ができるのか、はたまたできないのか、それは今の段階では何とも申し上げられません。
しかし、間違いなく云えることは、委員会について会員が関心を持って頂けるかどうか、支援して頂けるか否かに、この委員会の成否はかかっていると云うことです。
口さがない都雀のあいだでは、会長や理事者による「ガス抜き」または「ポーズ」委員会であろうから、審議中という時間稼ぎ用委員会という声もあるようです。
茫猿としては折角の機会でもありますし、日本不動産鑑定協会の性格や、鑑定士と鑑定業者に介在する問題、ひいては鑑定士のレーゾンデートルに及ぶ問題を真正面から問い直してみる佳い機会であると考えています。
「鑑政連改編委」
名称:鑑政連・組織改編・委員会 設置経緯不詳。
『設置目的』
鑑政連会費納付が低迷する状況に鑑みて、納付率の向上や鑑政連活性化を目標として鑑政連組織の改編を検討する。(開催案内より)
委員長:稲野辺良一氏(東京)
委員:K.K(関東甲信)、F.S(東京)、E.T(東京)、O.S(東京)
Y.T(東京)、茫猿遠吠(岐阜) 以上七名、同じく委員名は伏せます。
第一回委員会開催予定 九月二日(木)
以上が現時点までの経緯ですが、茫猿が知る限りにおいて両委員会の設置は連動或いは連繋するものではありません。
時期を同じくして両委員会が設置され、偶々に茫猿が共に委員として両委員長より指名されただけのことです。
しかし、よくよく考えてみますと、何の脈絡も無いように見えます両委員会は、その成り行き如何では大きく連繋するものとなりかねません。
つまり、鑑政連の改革改編や会費納付率の向上は、多くの会員にとって是とするに足りる活動目標を鑑政連自体が持ち得るか否かにあると云えます。
その意味で、士法検討問題が日本鑑定協会の正式日程に上ってくれば、鑑定協会一丸となっての活動が当然のごとく要求されるものであり、協会活動を側面から支援する「いわゆるロビー活動」も必須のものとなるでしょう。
現段階で軽々なことを申し上げる訳にはまいりませんが、仮に士法を求めてゆくことに協会の総意が得られるとなれば、鑑定協会と鑑政連は車の両輪のごとき整合性のある活動が求められるでしょうし、そうでなければ目的を達成するには迂遠なものとなるでしょう。
その意味で、茫猿は妙な或いは不思議な成り行きを思いますし、何かしらの符合を感じるのです。
茫猿は両委員会の審議過程を可能な限り『鄙からの発信』にて開示してまいる積もりです。当然のことながら、委員個人名を付しての発言紹介などは致しません。許されるであろう範囲において読者諸兄姉の関心に応えてゆきます。
また、お断りするまでもございませんが、『鄙からの発信』に掲載する記事は全て茫猿の自己責任に帰因する個人的意見であることをお忘れ無きようにお願い致します。
同時に、読者諸兄姉においても、ご意見をお寄せ頂きたいと存じます。お寄せ頂いたご意見は、『鄙からの発信』に掲載すると同時に、委員会へ取り次ぎさせて頂くことをお約束します。
※協会事務局に送付した茫猿提案
不動産鑑定士法検討専門委員会(仮称) 第一回委員会 検討事項
2004年08月20日 委員 岐阜士協会 森島信夫
(1)士法移行のメリット、デメリット
『メリット』…多くは形而上的である。
・鑑定業者態様に営利法人が混在する状況をなくすことにより、外形基準の整合性を図る。
・法第一条に不動産鑑定士の使命を述べることができる。現行法は法の目的を述べるに止まる。
・公示・調査・固評・競売と一般鑑定評価との整合性を図る。(評価書と評価報告書の併存解消)
・個人情報保護法、総合法律支援法等の法体系と整合性を図る。
・士法制定であれば、士即業が実現する。(会員でなければ鑑定士登録不可)
・外形上の業態差違(差別)が解消される。
・ADR機関設置において、代理権を得る可能性が高まる。
・鑑定法人が設立できる。
・取引事例収集方法が大きく変革しデジタル化する際に、現態様が好ましいか否か問われる。
『デメリット』…多くは形而下的である。
・法制定後40年が経過したことにより派生した既得権益等が阻害される。
・補償コンサルタント、固評路線価等業務における、入札参加資格及び事業実績の破棄リスク。
・既存鑑定業者の組織変更によるリスク、特に大規模法人鑑定業者において影響大。
(2)士法移行の手法、手順
・会員意志の集約が先決であり、手順等は事後の課題である。
・現鑑定協会の決議後において、関係諸方面への陳情等の活動開始。
・一気に士法を目指すか、法改正か、鑑定士協会会員資格変更を先行させるか。
(3)士法移行後の業者形態
・経過措置として、現行法による1~2回の更新登録を認める必要がある。
・将来は、個人鑑定事務所と鑑定法人事務所の併存状況に至る。
(4)日本不動産鑑定協会の態様
・法定の鑑定士会設置が認められれば、現会は解散し、新鑑定士会を設立する。
・社団法人態様を維持すれば、会員資格の変更のみ。連合会移行が課題。
(5)単位士協会の態様
・日本不動産鑑定協会と同様の経緯をたどる。
・連合会設立が望ましいが、弁護士法においても重複加入である。
(6)その他
・協会Web Site 、メルマガによって、パブリックコメントの募集を行う。
・農地、林地評価を不動産鑑定評価分野として明示する。
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