多くの方々から様々なお話しを伺い、疑問を投げかけられそれにお答えしながら、ただ今岐阜に戻ってきました。 来る四月には、九日に全国士協会会長会議、続く十日には理事会が予定されています。 そこで、3月19日の記事「新スキーム改善問題Q&A」を再度考えてみたいと思います。 Answer は茫猿の私見にすぎませんが、それほど的外れな見解ではないつもりです。
一、なぜ今、改善なのか?
個人情報保護法施行(2003.05)以来9年、不動産取引価格情報提供制度創設(2006.04)以来6年間も経過しましたが、その間、改善されることなく放置されてきましたが、放置しておく利益(利害関係調整の困難さから問題を先送りする安易さ)より、不利益(放置しておけば、鑑定協会がそのコンプライアンスを問われかねない危険性)が大きくなったからです。
※何処で間違えたのか: 2012年2月5日
※事例資料:A案開示の日?: 2012年3月22日
※公共サービス改革の話: 2012年1月24日
二、なぜ今まで放置してきたのか?
放置してきた理由は不明です。 たぶん現在話題になっているのと同様の利害関係調整の困難さがあったからだと思われます。 しかし、所掌役員があえて問題提起しなかったのか、問題提起しても他の執行役員が消極的だったせいなのかは不明です。いずれにしても業務執行役員の責任は免れないと考えます。
三、 Rea-Netでは駄目なのか?
Rea-Netの全国展開を図れば、当面の安全性管理は担保できると考えます。透明性確保についてはRea-Netの運用如何に関わることと考えます。 何よりも東京会をはじめ会員数からすれば過半数以上の士協会が安全に運用管理してきた数年間の実績があります。 勿論、アクセス集中対策など幾つかの改善は必要でしょうが、Log管理を含めて現行 Rea-Netは目的達成に当面必要な機能を備えていると考えます。 なお閲覧管理規程とRea-Netの全国展開に伴う不整合は、現行規程を実態に即して改訂すればこと足りると考えます。
※Rea Netの現状と展望: 2012年1月20日
四、士協会から事例管理権限を取り上げるのか?
従来から、いわゆる三次データは鑑定協会管理下にあり、いわゆる四次データも昨年以来鑑定協会管理下にあります。 その観点からすれば管理権限は既に総て鑑定協会の元にあり、特段の権限移行措置を伴うものではないと考えます。
五、 閲覧料はどうなるのか?
改善問題を考える上で、閲覧料から考えるべきではないと従来から申し上げてきたとおりです。 システム構築費・維持費、郵送料等スキーム遂行経常費、そして調査担当評価員への費用弁償相当額から積算されるべきと考えます。 維持費総額を推定される閲覧件数で除した額が閲覧料相当額となります。 士協会財政における閲覧料が占める位置については、別途検討されるべきものと考えます。 同時に改善策は士協会に新たな負担を求めるものではありません。
六、公的土地評価問題はどうなる?
地価公示及び地価調査については明確ですが、相続税土地評価及び固定資産税土地評価については未だ不明確です。 しかし、土地基本法16条他の主旨に則して解決が図られるべきものと考えます。なお、相評については昨年に暫定的措置がとられています。
※公的土地評価・事例資料等取扱基準案: 2012年3月5日
※事例取扱規準対比: 2012年3月5日
何よりも大事なことは、近い将来にやってくるであろう「取引価格情報提供制度のA案への移行」や「公共サービス改革」等の起こりえる諸問題を考えれば、次元の低い論争に終始している場合ではなかろうと考えます。 近い将来とは早ければ五年後遅ければ十年後のことですが、起き得る問題として認識していてほしいという意味です。別の表現をすれば自分はA案指向なのかB案堅持なのかということです。 鑑定協会は2003年にA案を支持するパブリックコメントを提出済みです。
巷に囁かれる非正規利用の蔓延やモラルの低下は由々しきことですが、そのような次元の話に足許をすくわれてもならないと考えます。 とは申せ、妻子を抱えながら所属事務所をリストラされ、否応なしに独立開業を余儀なくされた鑑定士にモラルだとか、将来展望などと言えるだろうかとも考えます。 彼等鑑定士の困窮を放置しておいて良いとも考えません。 有効な処方箋が直ちに得られるわけではないのですが、業界全体で然るべき対応措置を検討しなければならないと考えます。 彼等のモラルを糺す前に、自らのモラルを糺せということです。
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